食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06020080378
タイトル 欧州委員会(EC)、水政策枠組み指令(the Water Framework Directive)における優先物質(五-六環式の多環芳香族炭化水素(PAHs))の環境基準案についての科学的意見書を公表
資料日付 2023年3月9日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州委員会(EC)は2023年3月9日、水政策枠組み指令(the Water Framework Directive)における優先物質(五-六環式の多環芳香族炭化水素(PAHs))の環境基準案についての科学的意見書を公表した。概要は、以下のとおり。
 多環芳香族炭化水素(PAHs)の環境基準(Environmental Quality Standards (EQS)) (訳注※1)に関する書類は、EQS書類に関する一般的な指令に従って、保健衛生・環境及び新興リスクに関する科学委員会(SCHEER)によって審査される。
 提案された書類は、以前のEQS書類(2018年)の改訂版であり、改訂は最近のデータおよび新しいEQS技術的ガイダンス(2018年)で提案された手順に基づいて行われている。しかし、当該書類のいくつかのセクションは、古い技術的文書(2011年)を参考にしている。SCHEERは、2018年のEQS技術的ガイダンスに従って、すべての手続きが更新されるべきであると考えている。
 欧州委員会(EC)の欧州共同研究センター(JRC)は、欧州食品安全機関(EFSA)(2008)の推奨に従って、測定されるPAHsとして8種類(ベンゾ[a]ピレン(BaP)、ベンズ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、ベンゾ[k]フルオランテン、ジベンズ[a,h]アントラセン、ベンゾ[g,h,i]ペリレン、クリセンおよびインデノ[1,2,3-cd]ピレン)を選択した。
 BaPについて、SCHEERは、 0.022 μg/Lの淡水と海水における生態毒性に対する年間平均基準(それぞれ、AA-QS淡水(eco)とAA-QS海水(eco))を支持するが、最大許容濃度基準(Maximum Acceptable Concentration- Quality Standards (MAC-QSs))を支持しない。
 ベンゾ[b]フルオランテンとベンゾ[k]フルオランテンについては、0.017 μg/LのAA-QS淡水(eco)と AA-QS海水(eco)がSCHEERによって支持された。SCHEERは、MAC-QSsとして同一数値を使用することに同意している。
 ベンゾ[g,h,i]ペリレンについては、AA-QS淡水(eco) = 0.0082 μg/LとAA-QS海水(eco) = 0.00082 μg/Lが、SCHEER によって支持された。SCHEERは、MAC-QSsとして同一数値を使用することに同意している。
 インデノ[g,h,i]ペリレンについては、データ不足のため、MAC-QSとAA-QSを導き出すことができない。
 二次毒性の基準(QS(二次毒性) (訳注※2))を算出するための毒性データは、BaPについてのみ利用可能である。エネルギー規格化食事濃度(Energy-Normalised Diet Concentration (EDC))の計算法(訳注※3)は、5 mg/kg体重/日の無毒性量(NOAEL) (訳注※4)に正しく適用され、最終的なQS(二次毒性)(淡水)として、魚類で0.67 mg/kg体重/日、甲殻類で0.60 mg/kg体重/日、二枚貝で0.19 mg/kg体重/日が得られた。これらはSCHEERによって支持された。水中濃度への逆算(back-calculation)では、魚類における最終的な生物蓄積係数(Bioaccumulation Factor (BAF))の選択が不適切であるため、SCHEERは魚類のQS淡水(biota)を支持しない。SCHEER は、甲殻類のQS淡水(biota) 7.4 ng/L、二枚貝のQS淡水(biota) 5.7 ng/Lを支持する。
 ヒトの健康に関しては、BaPはすべてのPAHsの適切な指標であると見なされている。SCHEERは、BaP等価値として、ヒトの健康に対する食物摂取を通した二次毒性の基準(QS(biota),hh)として0.61 μg/kg(biota)を支持する。SCHEER は、ヒトの健康に対する飲料水の基準(QS(dw),hh)が計算されていないことに留意する。PAHsの合計に対する飲料水のEU基準は0.1 μg/Lであり、BaPは0.01 μg/Lである。SCHEERは、BaPのQS(dw),hhが導出されるべきであると考えている。
 異なる化学物質については、異なる重要なEQSを特定する必要がある。支持されたEQSを考慮すると、BaPについては二枚貝でQS淡水(biota) = 5.7 ng/Lが特定され、ベンゾ[g,h,i]ペリレンについてはAA-QS海水(eco) = 0.82 ng/Lが特定される。
 SCHEERは、当該書類には、書類タイトルが示唆する内容に反して、四環式PAHsも含まれていることを指摘する。
(訳注※1) EQSは、「水、堆積物、生物相において特定の有害物質または有害物質群が、ヒトの健康と環境を保護する上で超えてはならない濃度」と定義されている。
(訳注※2) 二次毒性の基準(EQS for secondary poisoning)。記事原稿では、QSbiota, secpoisと表記されている (「secpois」は、SECondary POISoningの略記だと思われる)。
(訳注※3) エネルギー規格化食事濃度(Energy-Normalised Diet Concentration (EDC))は、一日あたりのエネルギー消費量(Daily Energy Expenditure (DEE))とNOAELから見積もられる。当該記事では、体重235 gのラットで、DEE = 322.6 kJ/日とNOAEL = 5 mg/kg体重/日から、EDC = 3.64 μg/kJが得られている。
(訳注※4) ラットを用いた90日間の生殖毒性試験から得られたNOAEL
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州委員会(EC)
情報源(報道) 欧州委員会(EC)
URL https://health.ec.europa.eu/publications/scheer-scientific-opinion-draft-environmental-quality-standards-priority-substances-under-wfd-5-6_en
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