食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05990770314
タイトル ドイツ連邦リス評価研究所(BfR)、ドイツ国民におけるヨウ素摂取量の減少: 特に子供と青少年のヨウ素摂取量改善のためのモデルシナリオに関する意見書を公表
資料日付 2022年10月17日
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分類2 -
概要(記事)  ドイツ連邦リス評価研究所(BfR)は2022年10月17日、ドイツ国民におけるヨウ素摂取量の減少: 特に子供と青少年のヨウ素摂取量改善のためのモデルシナリオに関する意見書を公表した。概要は以下のとおり。
 ヨウ素は甲状腺ホルモンを生成するために必要な必須微量元素である。甲状腺ホルモンは多くの代謝プロセスを制御し、特に成長、骨形成、臓器及び脳の発達等に生まれる前から関与している。ヨウ素は日常の食事の一部として摂取する必要がある。ドイツでは土壌内のヨウ素濃度が低いため、国内の農作物にはほとんど含まれていない。海水魚や魚介類には多くのヨウ素が含まれているが、消費量が少ないため、摂取量も僅かである。ドイツでは、食品中の典型的な天然ヨウ素濃度は、一般国民にとってヨウ素の十分な摂取を確保するほど高くない。食品産業、職人による食品小売業、一般家庭におけるヨウ素添加食塩の使用が推奨された結果、ドイツの一般国民におけるヨウ素摂取量は1980年代半ば以降改善した。しかし、ヨウ素摂取量はまだ最適とは言えず、現在は減少傾向にある。さらに、加工食品に使用されるヨウ素添加食塩の量も最近では減少傾向である。ドイツでは製造者自身が製品へのヨウ素添加食塩の使用を決めることができる。現時点において塩に添加されるヨウ素の量は法律で15~25 mg/kgと規制されている。
 ドイツ連邦食糧農業省(BMEL)の最終製品中の糖分、脂質及び塩分を削減する革新的な政策(NRI)は、工業加工及び職人により製造された食品中のこれらの成分の濃度を、段階的に引き下げることを目標としている。全般的な目標は、太りすぎや肥満と関連した疾病の発生を減少させることである。しかし、食塩消費の望ましい削減が、ヨウ素添加食塩によるヨウ素摂取量の減少に繋がる可能性がある。これにはヨウ素添加食塩におけるヨウ素濃度を高めることで対応できる。
 BfRは、食卓塩におけるヨウ素の法定上限濃度を25 mg/kgから30 mg/kgに引き上げることにより、摂取量が1日の耐容上限摂取量(UL)を超えることなく、ヨウ素摂取量不足のリスクの減少に繋がるかを、モデル計算を用いて推定した。ULを超える長期的なヨウ素摂取は、健康に悪影響を及ぼす可能性がある。このシナリオにおける成人(※)に対する結果は、BfR意見書(005/2021)で発表されている。本意見書では、子供及び青少年に関する結果を示す。
 モデルシナリオでは、30 mg/kgのヨウ素濃度の場合でも、現在のヨウ素添加食塩の使用レベルでは、ヨウ素過剰摂取リスクは低いことが示されている。食塩中の許容ヨウ素濃度を5 mg/kg増加させると、ヨウ素摂取量の一般的中央値が多少増加するため、ヨウ素摂取量不足のリスクは若干減少する。これはNRIで予測されているように、食塩消費を10%削減できた場合に該当する。しかし、特に女子のサブグループでは、ヨウ素摂取不足のリスクを僅かに減少させるに過ぎない。したがって、食塩中のヨウ素濃度を5 mg/kg増加させるだけでは、工業加工及び職人により製造された食品に含まれるヨウ素添加塩の使用量を増やさない限り効果はない。
 BfRはまた、異なるヨウ素化合物が食卓塩の強化にも適しているかを調査した。ドイツではヨウ素酸ナトリウムとヨウ素酸カリウムのみが使用されている。他国でもヨウ素化合物が使用されているが、BFRの見解では、ドイツにおいて食卓塩の濃縮にヨウ素化合物の使用を避けるための栄養学的、技術的、毒物学的議論はない。
 以上の内容(食塩中の最大ヨウ素濃度を30 mg/kgに引き上げ、同時に食塩を10%削減することの利点及びリスク)は、すでにBfRの意見書(005/2021)で成人及び青少年について発表されているが、本意見書では上記のパラメータの変化が子供のヨウ素ばく露にどのような影響を与えるかについて議論している。BfRは、青少年や成人と同様に、子供においても、食塩の消費量を10%削減しても、食塩中の許容ヨウ素濃度を最大30 mg/kg(ヨウ素添加塩の平均値は25 mg/kg)に増加することで補うことが出来ると結論している。しかし、ヨウ素摂取不足のリスクは、特に出産年齢の女性のサブグループにおける成人と、女子のサブグループにおける子供で特に高い。
 BfRは以下のことを提言している。
・工業加工及び職人により製造される食品生産でヨウ素添加食塩の使用を促進する。
・食塩中の許容ヨウ素濃度を30 mg/kgに引き上げることは、工業的加工食品における29%のヨウ素添加塩の現在の使用レベルを仮定すると、食塩消費を減らさず、食塩30 mg/kgの最大レベルのヨウ素が実際に使用されていると仮定しても、成人と子供の両方で健康に有害ではないと考えられる。
・モデルシナリオに基づき、平均ヨウ素濃度が25 mg/kgで、同時に食塩消費量を10%削減した場合、全ての食品におけるヨウ素添加食塩の使用レベルが少なくとも37%以上であれば、子供は十分なヨウ素を摂取できると推定された。
・ヨウ素添加塩の使用率が少なくとも37%であり、同時に42%を大幅に超えなければ十分なヨウ素を摂取でき、健康被害もないと考えられる。
・BfRのMEAL調査及びマックス・ルブナー研究所(MRI)の青少年と成人のヨウ素摂取量に関するモデルシナリオにより、肉類やソーセージを除けば、パンやベーカリー製品はヨウ素摂取量不足の予防の関連からヨウ素塩強化の最も重要な柱の一つである。これらの食品群におけるヨウ素添加塩の使用率を増加させることが望ましい。
 規則(EC) No 1925/2006で承認された全てのヨウ素化合物が食卓塩のヨウ素添加に適しているか、それともヨウ素酸塩又はヨウ素化合物のみを食卓塩のヨウ素添加に認可する栄養学的又は技術的理由があるのかという問題について、MRIとBfRと共に、栄養学的、技術的、毒性学的にヨウ素化合物の使用を否定するデータはないと結論している。
(※脚注)「全国食品消費実態調査II」に基づき、14歳以上の青少年も含まれている。
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL https://www.bfr.bund.de/cm/349/declining-iodine-intake-in-the-population-model-scenarios-to-improve-iodine-intake-in-children-and-adolescents.pdf
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