食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05960300475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、グリホサート及びグリホサートを主成分とする除草剤がニジマスの数世代の健康に及ぼす影響に関する研究結果を公表
資料日付 2022年11月22日
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は11月22日、グリホサート及びグリホサートを主成分とする除草剤がニジマスの数世代の健康に及ぼす影響に関する研究結果を公表した。概要は以下のとおり。
 ANSES Ploufragan-Plouzane-Niort研究所の魚類ウイルス学・免疫学・環境毒性学(VIMEP)ユニットは、単一成分としてのグリホサート及びグリホサートを含有する二種類の除草剤製品がニジマスの健康に及ぼす影響を評価するために、複数の実験を行った。
 本研究はGlyphoTACプロジェクトの一環として行われ、Jessy Le Du-Carre氏の大学での博士論文のテーマである。水生動物の数世代を対象に実施されたこの種の研究は、実施の複雑さからこれまでほとんど行われたことがなかった。
 「我々は、ニジマスの数世代にわたるばく露を研究した。つまり、直接ばく露されたニジマスだけでなく、ばく露の有無に関わらず後続の2世代に及ぼす影響である。ニジマスは、その生物学的機能がよく知られており、また、自身を取り巻く環境の質に対して感受性が高いため、環境毒性学分野の研究にとって適切なモデルである」と同ユニットの研究者であり当該論文の共同指導教官であるMorgane Danion氏は説明する。
・ニジマスの健康状態又は生存に悪影響を及ぼし得る様々な影響
 自然環境で測定された濃度と同程度の濃度で、長期にわたってばく露を行った。有効成分(グリホサート)又はグリホサートを含有する当該2製品へのばく露に直接起因する死亡率の増加も、生殖への悪影響も観察されなかった。しかし、ばく露されたニジマスの行動と複数の生物学的パラメータは変化した。
 特に、単一成分としてのグリホサート又は除草剤にばく露された親及び/又は祖父母から生まれた仔魚(larva)において、明るさの変化に対する反応能力の低下が明らかになった。このことは、自然界では捕食者から逃れるための反応性の低下となって現れる。
 別の実験により、単一成分としてのグリホサート及び除草剤へのばく露の後で、ニジマスの鰓(えら)に存在する微生物の多様性の減少が明らかになった。
・ばく露されたニジマスの子孫に及ぼす影響と、単一成分としてのグリホサート及び除草剤の間で異なる影響
 また、これらの研究により、最も重要な影響は、ばく露されたニジマスの第一世代においては生じず、多くはばく露された親及び/又は祖父母の子孫のニジマスに生じることが明らかになった。さらに、単一有効成分と混合物製品の作用の相違が観察された。実施された様々な実験の条件によって、製品の処方がグリホサートの作用を増大又は低減させること、さらには、単一成分としてのグリホサートにばく露されたニジマスでは観察されなかった作用を引き起こすことが確認された。
 例えば、実験用にウイルス感染したニジマスの第一世代においては、生存率の変化は観察されなかったが、親が除草剤にばく露されたニジマスのウイルス感染による死亡率は変化し、分析対象の製品に応じて、対照群と比較して上昇又は低下した。一方、単一成分としてのグリホサートにばく露されたニジマスとその子孫においては、死亡率は影響を受けなかった。
 また、エネルギー代謝に関係する酵素の発現、特定の免疫細胞の量及び/又は効率、特に仔魚の段階における発達の妨害(奇形)への影響も観察された。
 毒性の影響が世代から世代に伝わる仕組み等、これらの観察の根底にあるメカニズムの理解を試みるために補足の研究が必要である。「分析対象の2製品は2018年と2019年に市場から撤去されている。この決定は我々の研究結果とは無関係である。しかしながら、グリホサート又は他の有効成分を主成分とする、まだ市場に出ている別の製品についても、同様の影響があり得ると考えられる。数世代を対象に研究を行い、環境中の量(doses environnementales)での長期的なばく露を継続して調査検討することは、きわめて適切であると思われる」とVIMEPユニットの責任者であるThierry Morin氏は結論する。
 これらの観察の根底にある毒性学的メカニズムをより良く認識することにより、有効成分や製品の認可に先立つ評価において、これらの影響を考慮することを検討できるだろう。
 当該関連論文は以下のURLから閲覧可能。
・Impact of chronic exposure of rainbow trout
, Oncorhynchus mykiss
, to low doses of glyphosate or glyphosate-based herbicides
https://hal.archives-ouvertes.fr/hal-03494065
・Developmental effect of parental or direct chronic exposure to environmental concentration of glyphosate on the larvae of rainbow trout
, Oncorhynchus mykiss
https://hal.archives-ouvertes.fr/anses-03790762
・Immunological and metabolic effects of acute sublethal exposure to glyphosate or glyphosate-based herbicides on juvenile rainbow trout
, Oncorhynchus mykiss
https://hal.archives-ouvertes.fr/anses-03790784
・Generational effects of a chronic exposure to a low environmentally relevant concentration of glyphosate on rainbow trout
, Oncorhynchus mykiss
https://hal.archives-ouvertes.fr/anses-03790805
・Changes in defense capacity to infectious hematopoietic necrosis virus (IHNv) in rainbow trout intergenerationally exposed to glyphosate
https://hal.archives-ouvertes.fr/anses-03610469
・Glyphosate-based herbicide exposure: effects on gill microbiota of rainbow trout ( Oncorhynchus mykiss ) and the aquatic bacterial ecosystem
https://hal.archives-ouvertes.fr/anses-03790870
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL https://www.anses.fr/fr/connaitre-impact-glyphosate-truites
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