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資料管理ID syu05950770314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、動物飼料としてのヘンプ(麻)が牛の健康に影響を与える可能性についての研究結果を報告
資料日付 2022年11月14日
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概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は11月14日、動物飼料としてのヘンプ(麻)が牛の健康に影響を与える可能性についての研究結果報告を報告した。概要は以下のとおり。
 市販のヘンプはその用途の多さから現在まさにルネッサンス期を迎えている。市販ヘンプ品種にはΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)を含め、精神活性(興奮作用)のあるカンナビノイド類は少量しか含まれていない。この度、BfRの研究チームが、市販のヘンプサイレージの飼料を乳牛に与えた場合の影響を調査した。サイレージは発酵により保存性を高めた飼料である。科学誌「Nature Food」に掲載された研究結果で、ヘンプサイレージには比較的高い濃度のカンナビノイドが含まれていた場合、動物の行動が変化し、健康状態が損なわれることが判明した。呼吸と心拍も遅くなった。牛は眠気をもたらし、体の動きも不安定になり、食餌量も減少し、乳の出も悪くなった。「我々の研究はさらに乳牛の毎日の飼料にヘンプサイレージを少量加えるだけでΔ9-THCを含むカンナビノイド類が牛乳で検出されることを突き止めた」と、BfRの飼料専門家で研究を担当したRobert Pieper博士は述べ、「動物の健康被害はサイレージのカンナビノイド濃度によるものとされるがその濃度については多くの要因に依存している」と付け加えた。
 研究は10年以上前に始められた。当時EUでは、牛の飼料として利用される市販のペンプに含まれるカンナビノイド類が牛乳に移行する可能性があると指摘されていたが、信頼できるデータが得らなかった。知見のギャップを埋めるためBfRは2016年に関連調査を開始した。今回発表された研究は10頭の乳牛を対象として実施されてきた。乳、血漿、糞便中のカンナビノイド含有量の定量に加えて、脈拍、呼吸などの身体機能のチェックや行動観察も実施した。
 初めに、牛はカンナビノイド濃度が非常に低い植物全体を原料とした市販のヘンプサイレージを一日920 gまで飼料に混ぜて与えられたが、測定可能な健康への影響はなかった。その後、葉、花、種子から作られたカンナビノイドを豊富に含む市販のヘンプサイレージを840~1680 g与えた。このサイレージ内の精神活性物質Δ9-THCの含有量は約0.12%と市販のヘンプの最大許容含有量である0.2%を下回っていることが確認された。それに伴い動物らの行動も明らかに異なってきた。2日目から牛の食餌量が減少し、乳の出も悪くなり、さらに呼吸数、心拍数も減少した。また、唾液分泌の増加や舌の動きのみだれがみられ、目の瞬膜の発赤も見受けられた。
 市販のヘンプの給餌開始後まもなく消費者の健康に影響する多大な量のΔ9-THCと他のカンナビノイド類が牛乳から検出された。この程度のΔ9-THCを含む牛乳及び乳製品を摂取した場合、ヒトの急性参照容量(ARfD)である体重1キログラムあたり0.001ミリグラムのTHCを大幅に超える可能性がある。特に子供の場合の超過が顕著とみられる。
 この研究は市販のヘンプを与えた場合、基本的にどの程度牛乳へ移行するかという問題調査のために実施された。ドイツでは、現在の知見に基づく法的枠組みによる条件により、牛乳中に高いΔ9-THC-含有量が検出されることは予想されない。
研究内容の詳細は下記URLを参照。
https://www.nature.com/articles/s43016-022-00623-7
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL https://www.bfr.bund.de/de/presseinformation/2022/43/studie__hanf_als_tierfutter_kann_gesundheit_von_kuehen_beeintraechtigen-308853.html
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