食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05920380475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、生乳から作られたチーズを介したダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)のヒト感染例の調査に関する論文の科学誌掲載を公表
資料日付 2022年10月4日
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は10月4日、生乳から作られたチーズを介したダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)のヒト感染例の調査に関する論文の科学誌掲載を公表した。概要は以下のとおり。
 食品を介したダニ媒介性脳炎ウイルス(Tick-borne encephalitis virus: TBEV)によるヒト感染例が、2020年にフランスで初めて認められた。同年春、アン県(※訳注: オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏の県)の住民43人が、TBEVによる感染が引き起こした髄膜炎、髄膜脳炎に罹患、或いはインフルエンザ様症状を呈した。患者は皆、山羊の生乳から作られたチーズを摂取していた。
 TBEVは、一般にマダニに咬まれることによって伝播するため、これはフランスで発生した初めての食品を介した感染であった。「2020年4月、最初の外出制限が地元産食品の消費を促した。患者が一か所にかたまっていたことが、感染原因の特定を容易にした」とANSESの動物衛生研究所ウイルス学ユニットのGaelle Gonzalezプロジェクトリーダーは振り返る。
 ANSESの動物衛生研究所、食品安全研究所、狂犬病・野生動物研究所が、感染源と疑われたチーズの生産農場で実施された調査に参加した。フランスの他の感染症学チームも関与したこれらの科学研究の成果は、Frontiers in Microbiology誌に掲載された。
 関係する全てのチーズは、同一の農場産であることが明らかになった。公衆衛生警報を受け、さらなる感染を回避するために、当該チーズは市場から撤去された。同時に、山羊は屋内に留め置かれた。山羊の四分の一がTBEVに対する抗体を有していた。このことは、山羊が同ウイルスにばく露され、ウイルスがその地域にかなり多く存在していたことを意味する。当該山羊のうち、3頭の乳からウイルスが検出された。TBEVは感染後23日まで乳に排泄されるため、山羊は最近感染していたことになる。ウイルスを保有するマダニが、山羊の放牧地の下草の生い茂る所で見つかった。これらのマダニが恐らく山羊の感染原因である。
 フランスにおけるこの食品を介した最初の感染例は、乳製品からTBEVを検出するための有効な方法を持つことの重要性を浮き彫りにした。したがって、ANSESの研究者は、使用する方法がTBEVに対し、十分な感度と特異性を有していることを確認するための評価に参加した。
 これまでフランスでは、TBEVの存在は主にアルザス、ロレーヌ、サヴォワ、オート=サヴォワ(※訳注: フランス東部の地方)で知られていたが、今回の感染は初めてアン県にTBEVが存在することを明らかにした。しかし、ウイルスの分布域が欧州東部から拡大する傾向にあり、その存在に気が付かないことがあることを知っている研究者にとっては、それは驚くに当たらない。「ダニ媒介性脳炎は、動物には症状が出ない。ヒトで髄膜炎や脳炎を発症するのは、症例の10%~30%にすぎない」と当該論文の第一著者であるGaelle Gonzalez氏は説明する。
 2020年春の最初の事例以降、フランスでは他にも食品を介した感染例が数件報告された。現在、ANSESの研究所内では、これらの感染リスクに影響を及ぼし得る要因を特定するために、複数の研究が進められている。これらの研究のうちの一つは、微生物相が伝播のリスクに及ぼす影響を理解することを目的としており、マダニの消化器系、家畜の消化器系及び乳に存在する微生物全体を考慮に入れる。
 当該論文(Frontiers in Microbiology (2022
, 13:863725、doi:10.3389/fmicb.2022.863725)は、以下のURLから閲覧可能。
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2022.863725/full
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL https://www.anses.fr/fr/encephalites-a-tiques-fromages-lait-cru
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