食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05920200149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、植物防護製剤認可のための健康影響に基づく指標値の導出に用いるイヌ試験の妥当性に関する論説を公表
資料日付 2022年9月22日
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概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は9月22日、植物防護製剤認可のための健康影響に基づく指標値(HBGV)の導出に用いるイヌ試験の妥当性に関する論説(2022年8月4日採択、4ページ、doi: 10.2903/j.efsa.2022.e200923)を公表した。概要は以下のとおり。
 農薬の有効成分のデータ要件を規定する欧州委員会規則(EU) 283/2013(※訳注1)に基づき、植物保護製剤(plant protection product; PPP)のハザードの特定及びヒトの安全性に対応し、欧州連合(EU)における有効成分の認可を裏付けるのに、げっ歯類における短期経口毒性試験(90日ラット試験)及び非げっ歯類における短期経口毒性試験(90日イヌ試験)が要件とされる。
 in vivo動物モデルは、従来から安全性及びリスク評価の基準であり、生物における化学毒性の直接的エビデンスを提供する可能性がある。しかしながらその長所は、低い処理能力、資源の過剰な需要、観察される毒性の背後にある機序の限られた理解及び倫理的な理由により減殺される。
 医薬品及び農薬等に用いられる化合物の有害影響の可能性を評価するためのげっ歯類(第一の種)及び非げっ歯類(第二の種)使用の必要性は1960年代まで遡る。第二の種のほ乳類を考察する主な理由は、感受性における種間相違の特定及び許容一日摂取量(ADI)等のHBGV導出のためであった。イヌが第二の試験種とされたのは、主に1950年代に米国ですでに広く使用され、実験に使う一般種として利用可能だったからである。また、心臓のつながり(connectivity)と大きさがヒトの心臓と類似しているためイヌが心血管試験に特に適している点を考慮する理由もあると考えられる。しかしながら、医薬品の開発において総合的な心血管評価が義務である一方で、農薬の領域において、唯一の要件は心臓の形態的評価である。
 したがって、PPPの認可に関して、規制プロセスにおいて第二の種としてイヌを使用する科学的な根拠は長期にわたり議論され、EU、米国、ブラジル、カナダ、豪州及び最近では日本におけるデータ要件から、イヌの一年間試験が除外され(経済協力開発機構(OECD)TG452;OECD 2018)、90日試験(OECD TG 409; OECD 1998)が非げっ歯類におけるハザード評価の唯一利用可能な試験となった。
 EFSAはPPP有効成分を使用して実施されたイヌ試験の現存するデータをレビューし、農薬に対するHBGV設定に関する結果のレトロスペクティブな分析を行った。
 欧州で登録された400以上の有効成分の中から、101のイヌの試験がADIの設定に適切なことが分かった。つまり、ADI設定のためのPOD(point of departure)が他の種におけるよりもイヌにおいて低かったのである。しかしながら、ヒトとの生理学的類似性に基づき、ヒトに関連する毒性エンドポイントの評価にイヌが重要である明らかな事例は特定されなかった。いくつかの有効成分に関して最も感受性が高い種としてイヌを特定するには更なるエビデンスを要することが明らかになった。
 比較in vitro代謝研究の試験及び解釈に関する科学的意見書(EFSA PPPパネル 2021)は、種間の比較in vitro代謝を調査するため適用されるべき試験戦略を示すことを目的にする科学的及び規制上の枠組みを提供し、試験種の正しい選定に向けた重要な一歩である。比較in vitro代謝試験は毒性学的種の選定に用いる科学的に最適のツールであり、規制上の農薬リスク評価にイヌを含めることを考察するため意思決定過程の一部に含めるべきである。
 イヌ試験がどの重要な科学的及び規制上の問題に対応するのかを特定し、動物使用の費用便益、及びエンドポイント観察から生物学的プロセスを評価するためにヒトに関連するシステムを使用する機序に比重を置いた証明へのパラダイムシフトに対するイヌ試験の影響を評価することに努力の焦点を置くべきである。適切な種の選定を結論し、農薬リスク評価における使用が真の利益にならない場合イヌを除外するため、段階的な手法に基づく戦略、及びin vitro比較代謝システムの使用が研究されるべきである。
(※訳注1)植物保護製剤の市販に関する欧州議会及び理事会規則(EC) No 1107/2009に従い、有効成分のデータ要件を規定する欧州委員会規則(EU) No 283/2013
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32013R0283&qid=1663917718101
(※訳注2) 科学的な目的に用いられる動物の保護に関する欧州議会及び理事会指令2010/63/EU
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:02010L0063-20190626&qid=1664165664456&from=EN
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e200923
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