食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05870060482
タイトル 香港食物環境衛生署食物安全センター、リスク評価研究「調理済み野菜の貯蔵後の亜硝酸塩含有量の変化」に関する調査の報告を公開
資料日付 2022年6月24日
分類1 化学物質
分類2 化学物質・汚染物質
概要(記事)  香港食物環境衛生署食物安全センターは6月24日、リスク評価研究「調理済み野菜の貯蔵後の亜硝酸塩含有量の変化」に関する調査の報告を公開した。摘要は以下のとおり
1. 野菜は食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富で、野菜を多く食べると、心血管疾患や肥満になる可能性が低くなる。野菜は健康に良いが、調理した野菜を冷蔵庫で一晩保存すると、亜硝酸塩含有量が増加することに注目する人もいる。
2. 新鮮な野菜の硝酸塩の含有量は比較的高いが、亜硝酸塩の含有量は低い。硝酸塩へのばく露は主に野菜の消費によるものであり、亜硝酸塩へのばく露は主に体内の硝酸塩の還元によるものである。体内では、亜硝酸塩は血液中のヘモグロビンを酸化させ、メトヘモグロビン血症を引き起こす可能性がある。 また、体内の特定のアミンやアミドと反応し、実験動物で潜在的にがんを引き起こさせるニトロソアミンを生成する可能性がある。 2010年、国際がん研究機関は硝酸塩及び亜硝酸塩摂取の安全性を評価し、内因性硝化につながる可能性のある条件下で摂取した硝酸塩又は亜硝酸塩は、「ヒトに対しておそらく発がん性がある」(グループ2A物質)であると結論した。 しかし、食品自体に含まれる硝酸塩又は亜硝酸塩がヒトにがんを引き起させる可能性の有無についての証拠は不十分又は限定的であるとした。
3. 硝酸塩は植物に吸収されることができ、植物の主要な窒素源である。 植物細胞の硝酸還元酵素又は環境中の硝酸還元細菌は、硝酸塩を亜硝酸に還元できる。 研究によると、新鮮な葉菜の硝酸塩及び亜硝酸塩の含有量は、貯蔵時間及び温度の影響を受けることがわかっている。 調理済み野菜の場合、ある研究によると、室温で48時間保存した調理済みはくさいには、調理済み冷蔵はくさいの3倍の亜硝酸塩が含まれていた。しかし、調理された野菜の硝酸塩と亜硝酸塩の含有量に対する貯蔵時間と温度の影響に関する科学的研究はほとんどない。 最近、冷蔵庫で一晩保存した調理済み野菜の亜硝酸含有量が大幅に増加することが報告され、その報告は世間の関心を引き起こした。
4. 本研究は、食物安全センターにより、(1)室温及び冷蔵温度で78時間保存された調理済み野菜の硝酸塩及び亜硝酸塩の含有量の変化を調べること、(2)残り野菜の適切な取り扱いを助言するために実施された。
研究方法
5. 2021年6月から8月にかけて、地元のスーパーマーケット及びウェットマーケットの店舗から野菜検体(アマランサス、パクチョイ、菜の花、チャイニーズレタス、ズッキーニ)を収集した。検体はよく洗浄し、沸騰蒸留水で調理した(野菜ソテー)。検体を調理する前に、硝酸塩と亜硝酸塩の含有量を測定し、次に各野菜を調理し、それぞれ2つのグループ(室温及び冷蔵)に分けて保存した。調理後、6、12、24、36、48、72、78時間後の野菜の硝酸塩及び硝亜硝酸塩の含有量を測定した。このほか、蒸留水の中にビートルート、にんじん、キンサイを入れて煮た野菜ブロスを調理し、6、12、24、36、48、72、78時間保存後の硝酸塩及び亜硝酸塩含有量を測定した。
結果
6. 亜硝酸塩は、調理前後は、野菜及び野菜ブロスのいずれからも検出されなかった。
7. 調理した野菜や野菜スープを室温で12時間保存すると、亜硝酸塩の含有量が増加し始め、それに応じて硝酸塩の含有量が減少した。 対照的に、冷蔵温度では、72時間保存後にのみ、一部の検体で、微量の亜硝酸塩が検出され始めた。
討論
8. 野菜中の硝酸塩は、植物細胞中の硝酸還元酵素又は環境中の硝酸還元細菌により亜硝酸塩に転化される。 調理すると硝酸還元酵素は不活性化される。 したがって、調理された野菜を室温や冷蔵で保存中に、野菜から検出された亜硝酸塩は、調理後の環境中の硝酸還元細菌汚染により生成されたものであると推定される。
9. 調理済み野菜を取り扱う場合、適切な衛生習慣が守られていても、調理済み野菜は空気中や調理器具に付着した細菌で汚染されている可能性がある。 調理された野菜が保存される温度は、細菌の増殖及び活性に大きな影響を及ぼす。低温(0〜4℃など)では、増殖できない細菌もあれば、ゆっくりと増殖して繁殖する細菌もある。
10. 本研究では、調理済み野菜の一部の検体が、室温で12時間保存された後、亜硝酸塩が検出され始めた。これは、硝酸還元細菌が調理済み野菜の硝酸塩を亜硝酸塩に還元することを示している。 調理済み野菜を冷蔵温度で保存すると、低温で細菌の増殖が抑制され、細菌が硝酸塩を亜硝酸塩に還元する活性が低下するため、亜硝酸塩の生成を遅らせ、一部の調理済み野菜から微量の亜硝酸塩が検出されたのは72時間保存した後であった。
11. 硝酸塩から亜硝酸塩への還元において、野菜の種類ではなく、貯蔵温度が重要な役割を果たしていることは注目に値する。 これは、保存温度が細菌の成長と活性に直接影響するためである。
結論及び提言
12. 本研究は、貯蔵温度が調理済み野菜の硝酸塩から亜硝酸塩への還元に重要な影響を与えることを示している。 調理した野菜は、冷蔵庫で一晩保存した後に亜硝酸塩の含有量が増加することはない。 実際、冷蔵温度では、72時間の保管後に一部の調理済み野菜サンプルでのみ微量の亜硝酸塩が検出された。
13. 食品安全の観点から、一部の海外の食品規制当局(世界保健機関を含む)は、残り物を清潔な浅い容器で冷まし、調理後2時間以内にフタをして冷蔵することを推奨している。 ただし、冷蔵温度で有害菌が繁殖できない場合でも、腐敗菌が増殖し、食物を変質させる可能性があるため、残り物は冷蔵庫で3日以上保管すべきでない。
14. 室温での調理済み野菜の保存は4時間が限度であり、調理済み野菜は潜在的ハザードをもつ食品である。有害な細菌が含まれている可能性があり、室温は通常、これらの細菌の成長及び毒素の産生に有利に働く。
市民への助言:
15. 慢性疾患を予防するために、市民はさまざまな野菜を、少なくとも毎日、3皿分の野菜及び2皿分の果物、すなわち1日当たり400グラムの果物及び野菜(約5皿分)を摂取する必要がある。
16. 市民は、残り物(調理済み野菜など)の安全を確保するため、次のガイドラインも遵守する必要がある。
・残り物の量を減らすために、適量を準備する。
・残り物は、清潔で浅い容器で冷やし、フタをして、調理後2時間以内に冷蔵する必要がある。 残り物はできるだけ早く食べ、冷蔵庫で3日以上保管しない。
・残り物食品の中心温度が75℃に達するまで完全に加熱する。再加熱は1回を超えてしない。
・残り物は、室温で4時間以上放置した場合は喫食しない。
 報告書(英語)及びダイジェスト(中国語・英語併記)は以下のURLから入手可能。
https://www.cfs.gov.hk/sc_chi/programme/programme_rafs/programme_rafs_fc_01_46.html
地域 アジア
国・地方 香港
情報源(公的機関) 香港食物環境衛生署食物安全センター
情報源(報道) -
URL https://www.cfs.gov.hk/sc_chi/programme/programme_rafs/files/programme_rafs_fc_01_46_1.pdf
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