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資料管理ID syu05860110510
タイトル 論文紹介:「米国成人のPFASばく露と死亡の関連についての解析結果が報告された」
資料日付 2022年6月22日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  Environmental Health Perspectives (2022年6月22日電子版、https://doi.org/10.1289/EHP10393)に掲載された論文「米国成人のパーおよびポリフルオロアルキル物質のばく露と死亡数:人口ベースコホート研究(Exposure to Per- and Polyfluoroalkyl Substances and Mortality in U.S. Adults: A Population-Based Cohort Study)、著者Xue Wen (Sichuan University、中国)ら」の概要は、以下のとおり。
 背景:パーおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)は、がんや脂質異常症などの疾患に関連する広く普及している環境汚染物である。しかしながら、PFAS混合物へのばく露と一般の人々における死亡数の関連に関する研究は少ない。
 目的:全米を代表するコホートを用いて、PFAS混合物、パーフルオロオクタン酸(PFOA)およびパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS))と米国成人の死亡数の関連を調べることを目的とする。
 手法:1999-2014年に実施された全米健康および栄養調査研究(NHANES)に登録された18歳以上の人が調査された(n = 11
,747)。PFAS 7種(2-(N-メチル-パーフルオロオクタンスルホンアミド)酢酸 (2-(N-methylperfluorooctane sulfonamido) acetic acid (MPAH))、パーフルオロデカン酸 (perfluorodecanoic acid (PFDE))、パーフルオロヘキサンスルホン酸 (perfluorohexane sulfonate acid (PFHS))、パーフルオロノナン酸 (perfluorononanoic acid (PFNA))、PFOA、PFOS、パーフルオロウンデカン酸 (perfluoroundecanoic acid (PFUA)))のベースライン血清中濃度が計測され(※訳注1)、それぞれの値は2015年12月31日まで追跡された。ハザード比(hazard ratio (HR))と信頼区間(confidence interval (CI))は、Coxの比例ハザードモデルで計算された。PFAS混合物のばく露と死亡数の関連は、PFAS混合物ばく露をサブクループに分けることにより、k平均法で分析された。そして、PFOA/PFOSばく露と死亡数の関連は、連続モデルとカテゴリモデルにより分析された。
 結果:追跡調査期間に、1
,251名の登録者が亡くなった。混合物ばく露の研究では、k平均法アルゴリズムにより、登録者は低ばく露者(n = 3
,913)、中程度のばく露者(n = 5
,491)、高ばく露者(n = 2
,343)の3つのグループに分けられた。低ばく露者に比べて、高ばく露者は、あらゆる原因による死亡(n = 1
,251) (HR = 1.38; 95% CI: 1.07
, 1.80)、心臓疾患による死亡(n = 272) (HR = 1.58; 95% CI: 1.05
, 2.51)、そしてがんによる死亡(n = 248) (HR = 1.70; 95% CI: 1.08
, 2.84)に対して著しく高いリスクを示した。PFAS 1種のばく露では、PFOSばく露はあらゆる原因による死亡(3番目の三分位値 vs 1番目の三分位値 HR = 1.57; 95% CI: 1.22
, 2.07)、心臓疾患による死亡(同HR = 1.65; 95% CI: 1.09
, 2.57)、そしてがんによる死亡(同HR = 1.75; 95% CI: 1.10
, 2.83)との関連が認められた。一方、PFOAばく露は死亡との顕著な関連は認められなかった。認められた関連が因果関係に基づくものであると仮定すると、PFOSばく露による死者数(血清中PFOS濃度3番目の三分位値 ≧17.1 ng/mL vs 1番目の三分位値<7.9 ng/mL)は、全米で考えると1999年から2015年の期間では年平均約382
,000 (95% CI: 175
,000
, 588
,000)であったが、2015年から2018年の期間には年平均約69
,000 (95% CI: 28
,000
, 119
,000)に減少すると見積もられた(※訳注 1999-2015年の低ばく露者(n = 3
,913)/中程度のばく露者(n = 5
,491)/高ばく露者(n = 2
,343)の割合36.2/44.0/19.8%が、2015-2018年では75.0/20.4/4.6%と高ばく露者の割合が大幅に減少したことに起因すると考察されている)。また、PFOSばく露と死亡の関連は、女性と糖尿病ではない人に対してより明瞭であった。
 考察:米国成人のPFASばく露と死亡に関連が認められた。本研究の限界は、未測定交絡(※訳注 交絡とは、統計モデルの従属変数と独立変数の両方に相関する外部変数が存在すること)、選択バイアス、相対的に少数の死亡数、PFASの計測はある時点でのみ行ったことである。PFAS濃度の連続的計測および長期に渡る追跡調査も加えたさらなる研究がPFASばく露と特定の原因による死亡の関連の解明に必要である。
(※訳注1 固相抽出-液体クロマトグラフィー-イオン化タンデム質量分析法 (solid-phase extraction?high-performance liquid chromatography?turbo-ion spray ionization?tandem mass spectrometry(SPE-HPLC-TCI-MS/MS))により血清中濃度(ng/mL)が計測された。数値表示は、幾何平均値 (geometric mean) ± 標準誤差 (standard error);
MPAH 低ばく露者 / 中程度のばく露者 / 高ばく露者 0.118 ± 0.002 / 0.253 ± 0.006 / 0.385 ± 0.006
PFDE 0.159 ± 0.002 / 0.241 ± 0.002 / 0.701 ± 0.010
PFHS 0.781 ± 0.014 / 2.193 ± 0.029 / 2.554 ± 0.052
PFNA 0.605 ± 0.008 / 0.956 ± 0.008 / 2.301 ± 0.031
PFOA 1.607 ± 0.020 / 3.920 + 0.033 / 5.324 ± 0.083
PFOS 4.293 ± 0.064 / 15.609 ± 0.157 / 23.134 ± 0.398
PFUA 0.113 ± 0.001 / 0.158 ± 0.001 / 0.423 ± 0.008)
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) Environmental Health Perspectives
情報源(報道) Environmental Health Perspectives
URL https://ehp.niehs.nih.gov/doi/10.1289/EHP10393
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