食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05830970301
タイトル 国際原子力機関(IAEA)、「生物多様性の日」に向けて生物多様性損失への対応策について報道
資料日付 2022年5月20日
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概要(記事)  国際原子力機関(IAEA)は5月20日、「生物多様性の日」に向けて生物多様性損失への対応策について報道した。
 今年の「国際生物多様性の日」のテーマは、「全ての生命に共有される未来の構築(building a shared future for all life)」である。生物多様性が人類史上かつてない速度で悪化している現在、生物多様性損失の曲線を下方修正するためのあらゆる努力を称え、共有するものである。IAEAは、国連食糧農業機関(FAO)と連携し、土壌、植物、動物の生物多様性に貢献すると共に、世界各国が核及び関連技術を適用し、食糧安全保障、持続可能な農業開発、生態系サービスに向けた戦略的目標を達成できるよう支援している。
 2020年以降の生物多様性世界フレームワークを議論している国連環境計画の最新会合によると、推定800万種の動植物のうち約100万種が、生物多様性損失推進力への低減策が講じられなければ、絶滅の危機に瀕しているとされる。
 IAEAは過去数十年にわたりFAOと協働し、農業、森林、海洋環境における生物多様性損失に対処するため、多分野にわたる同位体及び核技術を開発し、検証してきた。IAEAは、その技術協力プログラムや協同研究プロジェクト(coordinated research project(CRP))を通じ、当該技術を世界中の科学者、技術者、実務者に提供している。
1. 持続可能な農業を促進する
 土壌は、地球上の生物多様性の4分の1を受け入れている薄い層である。土壌は、バクテリア、菌類、線虫、脊椎動物、無脊椎動物等、ミクロ及びマクロな生物の最も多様な生息地であり、これらの生物は相互に作用し合い、生命を存続可能とする地球規模の循環に貢献している。土壌の持続可能な利用を促進する活動の一環として、IAEAは来年7月、「クライメート・スマート・アグリカルチャーに向けた土地及び水の管理に関する国際シンポジウム」を開催する。FAO/IAEA共同センターは、世界中の農業従事者が、クライメート・スマート・アグリカルチャー規範を展開し、肥料使用量を低減し、砂漠化と戦い、土壌・水の汚染を防止できるよう支援している。
2. 植物及び動物の遺伝的多様性を向上させる
 58年前の設立以来、FAO/IAEA共同センターは、世界中の何千人もの科学者と共に、主要作物と利用度の低い地域固有作物の双方において植物新品種を開発し、その過程において生物多様性を向上させてきた。2021年だけでも、新奇となる36品種の開発・栽培に向け技術支援を実施している。当該品種は、種子に放射線を照射し、優れた特性を有する系統を選抜して開発された品種である。環境条件適応に向けた植物に内在する自然進化を加速させる技術である突然変異育種を多様な国々において推進させる取り組みの一環として、同センターは、放射線を適用した作物の多様性と遺伝的関連性に関する5カ年CRPを始動させた。
 IAEAとFAOはまた、家畜における生物多様性の特性決定の一助となり、より持続可能な方法で利用するためのプロトコルやガイドラインを開発し、動物の繁殖及び育種の分野において各国を支援している。さらに、農業従事者の生活向上に向け、干ばつ耐性等の気候変動耐性や新興・再興の動物疾病への感受性を低減する優れた遺伝的背景を有する環境適応型品種を特定したり、核技術及び核関連ジェノタイピング技術の適用に関するトレーニング等、動物遺伝学研究機関や家畜専門家にサービスを提供している。当該支援の一環として、地域における遺伝的ストックの生産性及び適応性の向上に向けた、各国の乳牛育種プログラムの効率化を目的とする核及び関連するゲノム技術の適用に関する5カ年CRPを始動させた。
3. 侵略的外来種が生態系に与える影響を緩和する
 侵略的外来種の影響は、世界の生物多様性損失の原因として、自然生息地の破壊に次ぐものとされる。IAEA及びFAOは、不妊昆虫技術(sterile insect technique (SIT))と呼ばれる核技術を適用し、ショウジョウバエ等の侵略的外来種の駆除を支援している。不妊昆虫を野外に放出して同種の野生昆虫と交尾させ、次世代を抑止する。その結果として、害虫個体数の長期的にわたる抑制が可能となる。
4. 生態系を研究し、復元する
 IAEAは、動植物やそれらの統合である生物多様性に生息地を提供するのみならず、生物多様性を繁栄させる均衡維持のための中核である生態系に関し、理解を深め、強化し、回復させるため、核及び同位体技術の適用において各国を支援している。生態系は、多様な構成要素(大気、水、土壌)と生物(動物、植物、微生物)が相互に関連し合うシステムである。都市・農業・産業の拡張は、生態系における生物多様性(biological diversity of ecosystems、主として構成動植物の数、即ち、目視可能な生物の総数として現れる)に影響を与えるだけでなく、生態系生物多様性(ecosystem biodiversity、生態系構成要素と生物群の連携、及び、変化に対する回復力を維持・創成する能力)にも影響を与える可能性がある。IAEAは、生物多様性損失の結果となり得る汚染や気候変動等のプロセス及びストレス要因に関する研究を実施し、専門知識を提供している。2021年には湿地 - 地下水生態系における水の流れに対する理解を深めるため、同位体を用いる4カ年CRPを始動させた。その他にも、海洋酸性化、有害藻類の発生、マングローブ及び海草の再生、氷河の水分析・保護等、生態系保全を目的とするプロジェクトや研究が実施されている。
 (訳注)
クライメート・スマート・アグリカルチャー(Climate-smart agriculture): 生産性向上、気候変動適応、気候変動緩和をコンセプトとする新たな農業形態を表す。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) 国際原子力機関(IAEA)
URL https://www.iaea.org/newscenter/news/biodiversityday-how-the-iaea-contributes-to-bend-the-curve-of-biodiversity-loss
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