食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05610500378
タイトル 欧州委員会(EC)、新ゲノム技術に関する調査研究に関する委員会作業文書(調査研究結果報告書)を公表(1/2)
資料日付 2021年4月29日
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概要(記事)  欧州委員会(EC)は4月29日、欧州理事会からの要請により実施された新ゲノム技術に関する調査研究の関係文書を公表した。委員会作業文書(調査研究結果報告書)の概要は以下のとおり(PDFファイル17ページ)。
 欧州連合理事会は、司法裁判所の判決・ケースC-528/16を鑑み、連合法の下における新ゲノム技術の状況に関する調査研究を、2021年4月30日を期限として提出するよう委員会に要請した。さらに、当該調査研究の結果を考慮して適切と判断した場合は影響評価を伴う提案を提出すること、あるいは、当該調査研究のフォローアップとして必要となるその他の措置を通知するよう要請した。
 本調査研究では、「新ゲノム技術」(NGT)は、生物の遺伝物質の改変を可能とし、遺伝子組換え生物(GMO)に関する現在の法律が採択された2001年以降に出現又は開発された技術として定義される。agri-food、産業、製薬用途に向けた植物、動物、微生物における新ゲノム技術の状況及びその適用に関する情報と見解は、対象を絞った協議を介して、加盟国及びEUレベルのステークホルダーから取りまとめられた。本調査研究は、安全性、試験手法、技術及び市場の発展に関わる特定の側面において、専門家からの貢献によって尚一層証拠立てられた。
 本調査研究は、新ゲノム技術により獲得される生物はGMO法の対象であることを明示している。しかしながら、バイオテクノロジーにおける発展は、重要な用語の定義(あるいは、意味の明確さ)の欠如と相まって、一部の概念の解釈において曖昧さを生じさせており、これは、規制の不確実性をもたらす可能性がある。
 NGT及びその派生製品は、世界の多くの地域において過去20年間に急速に開発されており、既に流通している適用例もあり、かつ、今後数年間に多様な部門において適用例の更なる出現が予想される。本調査研究では、EUにおいて新ゲノム技術の研究に対して相当な関心が寄せられていることを確認しているが、その大半はEU域外で開発されている。欧州連合司法裁判所の判決を受け、現在の規制の枠組みが原因となり、EUにおける新ゲノム技術に関する公的及び私的研究に悪影響が及ぶという報告がなされている。
 NGT介して獲得される植物製品の一部は、EUのGreen Dealの目的、中でも、「farm to fork」戦略及び生物多様性戦略、ならびに、より弾性力のある、かつ、より持続可能性のあるagri-foodに向けた国連の持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する可能性がある。例として、病害・環境条件・気候変動の影響に対して全般的に高い抵抗性を示す植物、農学的特性又は栄養特性が改善された植物、(植物保護製品を含む)農業投入物の使用を低減する植物、及び、より迅速な植物育種が挙げられる。
 しかしながら、ステークホルダーの一部は、これらの利点は仮定に基付くものであり、バイオテクノロジー以外の手段で達成可能であると見なしている。なかでも、オーガニック及びGMフリーのプレミアム市場部門は、新ゲノム技術との共存から脅威に直面する可能性があり、それ故、現在のGMO規制の枠組みの範囲外においてNGT製品を検討することは、そのバリューチェーンに深刻な打撃を与え、当該部門における消費者からの信頼を損ねる危険となると報告している。
 NGTは多種多様な一連の技術より構成され、各技術は、様々な方向性において適用され、多様な結果を達成し、多様な製品を生み出す。したがって、安全性上の考慮事項は、各技術、その適用方法、及び、結果として得られる製品の特性に依存するものであり、全ての技術を総括して考慮事項を検討することは不可能である。植物において適用される一部のNGTは、欧州食品安全機関(EFSA)及び加盟国管轄当局の専門家の意見において、また、加盟国及びステークホルダーによる安全性とリスク評価に関する見解において、幅広く対処されている。他種NGTや微生物、あるいは、動物への適用に関しては、入手できる情報は限定的である。
 特定のNGTについて、EFSAは、従来育種及び既成の(established)ゲノム技術(EGT)の双方と比較して、新たなハザードを特定していない。EFSAはまた、ゲノムのランダムな変化は育種手法とは無関係に発生することにも留意している。遺伝物質の挿入、欠失、再編成は、従来育種法、ゲノム編集、シスジェネシス、イントラジェネシス、及び、トランスジェネシスで発生する。さらに、EFSAは、部位特異的ヌクレアーゼ(SDN)技術によって誘発され得るオフターゲット突然変異は、従来育種法における突然変異と同種であり、かつ、その発生頻度はより低いと結論している。したがって、特定のケースにおいて、標的突然変異誘発及びシスジェネシスは、従来育種技術と同程度のリスクを伴うものである。
 EU及び加盟国レベルの専門家の意見において、リスク評価における柔軟性と相応性(proportionality)が必要であると指摘されているが、全てのステークホルダーがこの見解を共有しているわけではない。提起された別の側面は、NGTに特化したリスク評価手順を開発する必要性である。
 協議への回答者は、NGTとその派生製品の安全性の程度、リスク評価の必要性とその要件に関して、多様な、かつ、時には相反する見解を表明した。しかしながら、ケースバイケースの評価は適切なアプローチとして広く認識されている。
 本調査研究は、外来遺伝物質を含有しないNGT製品の検出と関連する課題を中核とし、現在の規制システムが、EU域内における実施及び執行(implementation and enforcement)上の課題を孕むことを確認している。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州委員会(EC)
情報源(報道) -
URL https://ec.europa.eu/food/plant/gmo/modern_biotech/new-genomic-techniques_en
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