食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05580220470
タイトル 欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、同センター、欧州食品安全機関(EFSA)及び欧州連合リファレンスラボラトリー(EURL)による欧州リステリアタイピング演習(ELiTE)に係る合同報告書を公表
資料日付 2021年3月24日
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概要(記事)  欧州疾病予防管理センター(ECDC)は3月24日、ECDC、欧州食品安全機関(EFSA)及び欧州連合リファレンスラボラトリー(EURL)による欧州リステリアタイピング演習(ELiTE)に係る合同報告書(50ページ)を公表した。以下は当該報告書公表を伝える同センターの記事から抜粋。
 欧州リステリアタイピング演習(ELiTE: the European Listeria Typing Exercise)と呼ばれる当該共同調査は、2年を一区切りとした期間中の食品及びヒトのリステリア症の分子疫学についてワンヘルス・アプローチに基づき記述することを目的として2010年に開始された。当該調査では、公衆衛生及び食品に関するデータ(それぞれEU加盟13か国及び23か国から収集)の関連を調べた。食品中のL. monocytogenesについては、以下の3つのカテゴリーの非加熱喫食用食品を対象に実施された。包装済みの温又は冷燻あるいは「gravad」(塩漬け)された魚、ソフト又はセミソフトチーズ及び包装済みの加熱処理された肉製品である。
 当該プロジェクトでは、分子タイピング手法としてパルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)が用いられた。当該手法は調査時点において、十分に確立され、両部門で標準化された分子タイピング手法であり、したがって自然な選択であった。
 分子タイピング手法としてのPFGEは徐々に使われなくなっており、最新鋭の全ゲノムシークエンシング法(WGS)に置き換わりつつある。当該プロジェクトはPFGEによる型別 (pulsotypes)をWGSに基づく対応するクローナル・コンプレックス(clonal complex
, CCs)にマッピングすることで両手法の橋渡しを行った。これにより、過去のPFGEクラスター型をWGSに紐づける参照情報が得られ、各国が過去のPFGEデータを利用して、WGSによる更なる特性評価のための分離株を選択できるようになる。クラスターは、分離株同士が遺伝的に非常によく似ていることを意味し、共通の汚染源に由来する可能性が高いことを意味する。ヒトから分離された株と食品から分離された株が同じクラスターにある場合、その食品が感染原因となった可能性を強く示唆するが、確定させるものではない。微生物学的なエビデンスだけでは、食品とヒトの感染症を結びつけるのに十分でなく、裏付けとなる疫学的なエビデンスが常に必要である。
 当該調査のデータセット中の573株(57.7%)の分離株から、PFGEプロファイルによる78の独立したクラスターが検出された。このうち、21のクラスターはヒト及び食品からの分離株を含み、47クラスターはヒト分離株のみ、10クラスターは食品分離株のみを含んでいた。21のヒト-食品クラスターでは、食品分離株の大半(89.7%)は魚製品由来であり、残りの分離株はデリカテッセンの肉製品(9.3%)及びチーズ製品(1.0%)に由来したものであった。魚製品中のリステリア菌の量は概して少なかったが、48の魚検体中のリステリア菌数は微生物学的基準値(100cfu/g)を超過していた。これらの汚染魚検体は、リステリア菌数が100cfu/gを超えた食品検体全体(55検体)の87.3%を占めていた。
 PFGEプロファイルによる78クラスターのうち、57クラスター(73.1%)は小規模で、1クラスターあたり最大5分離株から成る。最大のPFGEクラスターは、L. monocytogenes CC8で構成されていた。このクラスターには、15か国から分離されたヒト由来の30株及び食品由来の56株が含まれており、EU内のフードチェーンにこのクローンが高度に広まっていることが示唆された。一方で、リステリア菌がフードチェーンの中で何年も存続できることを考慮すると、このクローンは最終的に国境を越えた大規模な食中毒を引き起こす可能性がある。
 当該プロジェクトの結果は、非加熱喫食用魚製品中のL. monocytogenesのリスクについて、さらなる注意が必要であることを示している。特に魚製品については、食品事業者が規定の微生物学的基準値を遵守しているかどうかの見直しも考慮され得る。欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)では、高齢者人口の割合が増加しており、当該グループのばく露の評価に関する課題が残っている。ヒト分離株と比較することのできる食品由来分離株の遺伝学的ライブラリは、集団感染調査での感染源の特定のスピードを最大化することができる。当該調査で収集したデータと適用した手法は、このようなライブラリの優れたバックグラウンドとなるものである。
 当該報告書は以下のURLから入手可能。
https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/joint-ecdc-efsa-and-eurl-lm-report-european-listeria-typing-exercise-elite
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州疾病予防管理センター(ECDC)
情報源(報道) 欧州疾病予防管理センター(ECDC)
URL https://www.ecdc.europa.eu/en/news-events/pioneering-project-molecular-epidemiology-listeriosis-and-listeria-monocytogenes
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