食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05500190161
タイトル 英国動物用医薬品に関する理事会(VMD)、2019年の動物用医薬品の薬剤耐性及び販売に関するモニタリング報告書を公表
資料日付 2020年11月18日
分類1 生物
分類2 細菌
概要(記事)  英国動物用医薬品に関する理事会(VMD)は11月18日、2019年の動物用医薬品の薬剤耐性及び販売に関する報告書を公表した。概要は以下のとおり。
 当該報告書(UK-VARSS2019)は、英国における動物用抗菌性物質医薬品の販売(2015~2019年)及び食料生産動物部門での使用に関するデータ並びに薬剤耐性に関するデータ(2017~2019年)に関するものである。補足資料として、スコットランド及び北アイルランドの薬剤耐性に関するデータも提供している。
・抗菌性物質の使用に関するデータ
 抗菌性物質の多くは複数の動物種への使用が認可されていることから、販売データから動物種ごとの使用量を判断することは不可能である。VMDは、主要な食料生産動物部門と共同で、抗菌性物質の使用データを収集するシステムの開発、導入及び調整に取り組んでいる。本報告書では肉用家きん、採卵鶏、豚、狩猟鳥類、サケ、マス、乳牛及び肉牛部門の使用データを取り扱う。
・薬剤耐性のモニタリング
 VMDは政府の検査機関からの動物検体で検出された細菌の薬剤耐性データを取り扱う。この作業は統一モニタリング(Harmonised Monitoring)及び臨床監視プログラム(Clinical surveillance programme)を通して実施される。統一モニタリングは法的な義務として健康な家畜を対象に実施されるもので、臨床監視プログラムは農場や獣医から診断のために提出された病気の動物の検体に基づく。
 以下本文より抜粋
・動物用抗菌性物質医薬品の販売量
 2019年に英国で販売された抗菌性物質有効成分の総量は232.2トンであり、2018年から5.9トン(3%)増加したが、2015年と比べると176.0トン(43%)減少している。
 2019年、食料生産動物に使用される動物用抗菌性物質の販売量は31.0mg/kg(動物集団で補正)で、2018年から1.5mg/kg(5%)の増加であった。しかしこれは、2015年と比べると25.8mg/kg(45%)の減少である。
 販売量が最多だったのは、引き続きテトラサイクリン系(総販売量の32%)、次いでβ-ラクタム系(同28%)であった。2018年以降、テトラサイクリン系の販売量に顕著な減少が見られた(12.2トン(14%)減)。販売された抗菌性物質の大半(74%)は経口投与製品(プレミックスを含みタブレットを除く)で占められていた。
 ヒト医療において重要な抗菌性物質(HP-CIA)の割合は引き続き少なく、2019年は1.3トンに減少し、総販売量の0.5%であった。2018年から0.36トン(22%)減、2015年以降では3.3トン(72%)減であった。
・動物種ごとの動物用抗菌性物質医薬品の使用量(抜粋)
 豚における総使用量は110mg/㎏(2018~2019年)であった。これは2015年の数値を60%下回る。HP-CIAの使用は非常に少ない状態が続いており、減少傾向にある。
 ブロイラーにおける総使用量は2018年から5.0mg/kg増加の17.4mg/㎏であったが、2014年以降では64%減である。2019年はHP-CIAは使われなかった。
 採卵鶏における総使用量は2018年から日数ベースで0.13%増の0.68%であった。2016年から3%増である。2019年はHP-CIAは使用されなかった。
 英国の乳牛の34%を占める農場の標本において、HP-CIAの使用量は2017年以降0.73mg/kg(87%)減で、0.11mg/kgであった。グレート・ブリテン島における牛肉生産の5.6%を占める農場の標本に関しては、HP-CIAの使用量は2017年以降0.86mg/kg(96%)減り0.04mg/㎏に減少した。これらの便宜的な標本は英国全体を代表するものであるとは言えないものの、HP-CIA使用量の減少傾向は販売データの動向と一致している。2017年以降、牛に使用される注射液のHP-CIA販売量は63%減、乳房内に使用するHP-CIAの販売量は82%減であった。
 サケにおける総使用量は6.8mg/kg増の13.5mg/kgであり、2017年の数値と比べ16%低下している。マスにおける総使用量は3.0mg/kg減の9.8mg/kgで、2017年以降では50%減であった。
・薬剤耐性(統一モニタリング)
 豚由来大腸菌では、コリスチン又はメロペネムの耐性は見られず、セフォタキシム及びセフタジジムの耐性の割合はそれぞれ1.4%及び1.0%で検出された(2015年及び2017年は未検出)。シプロフラキサシン耐性は豚由来大腸菌の0.5%で検出された(2015年及び2017年も非常に低いレベルで検出)。報告されたアジスロマイシン、クロラムフェニコール、ナリジクス酸、スルホンアミド及びテトラサイクリン系に対する耐性は2015年以降最低水準であった。アンピシリン及びトリメトプリムについて2015年以降の耐性の全体的な減少が示された。カルバペネマーゼ産生性大腸菌と推定される分離株は検出されなかった。
 サルモネラ属菌では、HP-CIAであるセフォタキシム、セフタジジム又はシプロフラキサシンに対する耐性はなかった。2分離株(Salmonella Dublin及びS. Bovismorbificans)ではコリスチンに対する耐性が見られたが、既知の可動性のコリスチン耐性遺伝子は保有していなかった。
・薬剤耐性(獣医学的サーベイランス)
 サルモネラ属菌に関しては、検査対象の全ての抗菌性物質に対し感受性である割合は高く、分離株総数4
,533株の72%を占めており、前年と同様の結果であった。動物副産物モニタリングに関連した環境検体に由来する2つの分離株から、第三世代セファロスポリンに対する耐性が検出された。家畜由来の分離株からは検出されなかった。七面鳥由来の9分離株はシプロフロキサシン(フルオロキノロン系)に対して耐性であった。
 大腸菌の薬剤耐性に関しては、フルオロキノン及び第三世代セファロスポリン系の抗菌性物質に対する耐性は、牛及び鶏以外では低かった(5%未満)。牛では、分離株の7%がフルオロキノロンに対して、5%がセフタジジムに対して及び12%がセフォタキシムに対して耐性であった。これらの分離株は主に子牛から収集された。鶏では、分離株の11%がフルオロキノロンに対して耐性であった。いずれの動物種でも、コリスチン耐性は検出されなかった。
 当該報告書「UK-VARSS2019」(2020年11月、103ページ)は以下のURLから入手可能。
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/936107/UK-VARSS_2019_Report__2020_.pdf
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) 英国動物用医薬品に関する理事会(VMD)
URL https://www.gov.uk/government/publications/veterinary-antimicrobial-resistance-and-sales-surveillance-2019
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