食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05420430470
タイトル 欧州疾病予防管理センター(ECDC)、Eurasian avian-like A(H1N1)豚インフルエンザウイルスに関する脅威評価報告を公表
資料日付 2020年7月13日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州疾病予防管理センター(ECDC)は7月13日、Eurasian avian-like A(H1N1)豚インフルエンザウイルスに関する脅威評価報告を公表した。主な内容は以下のとおり。
・背景情報
 最近公表された、2011年~2018年に中国で実施された、豚のサーベイランスデータに基づく研究において、新興の遺伝子型4(G4)遺伝子再集合Eurasian avian-like(EA) A(H1N1)豚インフルエンザウイルスが同定された。このウイルスはヒトA(H1N1)pdm09及び北米のtriple-reassortant(TR)系統に由来する内部遺伝子を有する。当該ウイルスはヒト上皮細胞で複製可能であり、フェレットの間で呼吸飛沫を介して広まり得ることが示された。季節性ヒトA(H1N1)pdm09ウイルスに対する抗血清はG4ウイルスに対する反応性に乏しいことが示された。同じ研究の血清学的調査では、豚農場従業者の10%(35/338)でG4 EA A(H1N1)ウイルスに対する抗体に陽性を示し、18~35歳の人ではより高い陽性率(21%、9/44)が示された。これらの結果は、当該ウイルスのパンデミックの可能性に関する懸念を引き起こす。
・ECDCリスク評価
 2009年のパンデミック以降、ヒトの季節性A(H1N1)pdm09ウイルスのヒトから豚集団への導入による人獣共通感染症の伝播が観察されている。欧州の豚集団全体にわたる、A(H1N1)pdm09ウイルス由来の遺伝子分節を含むウイルスの確立及びウイルス系統の多様性の増加は、ヒトにパンデミックを引き起こす潜在性を持つ遺伝子型の出現可能性を高めており、このことは以前から強調されてきた。欧州での関連ウイルスの循環は報告されており、また動物からヒトへの伝播事例が観察され、集中治療室での入院が必要な重症患者を出すまでに至っている。したがって、ヒトに伝播する可能性のある豚のインフルエンザウイルスの循環と存在についての研究結果は驚くべきものではなく、これは過去にも報告されている。また、毎年5億頭以上の豚がと畜されており、豚集団について10州で8年間に採取された3万の検体がどれだけ代表的なものであるかという疑問も抱かなければならない。
 報告されたリスク要因は、農場内や食肉処理場又は市場での豚や豚製品への直接ばく露や接触である。欧州では、人獣共通感染症の豚インフルエンザウイルスのヒトへの感染は稀であり、散発的にしか検出されないが、米国では、大規模な豚のフェアにより、豚インフルエンザウイルスA(H1N1)v、A(H1N2)v、又はA(H3N2)vによるヒト症例がより頻繁に観察されている。米国の豚のフェアでは、人と動物が直接的に接触するため、過去に多くのヒト症例が発生している。しかし、数日間続くこのような大規模なフェアの伝統は、ヨーロッパでは一般的ではない。
 欧州の豚インフルエンザのサーベイランスは現在、自主的又は研究プロジェクトに基づくものであり、全体像の一部しか提供されていない可能性がある。欧州の豚集団における体系的なサーベイランスは存在しない。現在まで、ヒトからヒトへの感染は報告されていない。しかし、ヒト症例に関する調査やヒトの豚インフルエンザウイルスに対する抗体保有率の調査の不足は、当該リスク評価を制限する。
 この研究では、農場従業者からの検体はわずか2016年から2018年の間の、たった2つの州の恐らく無関係の農場から採取されており、ウイルス陽性の動物が同じ農場にもいたかどうか不明である。本研究で示された一般集団における比較的高い抗体陽性率は確認される必要があり、非特異的な交差反応による可能性がある。
 SARS-CoV-2や高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)の突然変異の発生で経験したように、新たなウイルスや遺伝子型の出現、そしてそのヒトや他の動物における疫学的特徴などはまだ予測できない。家畜の軽度の臨床症状や無症状の疾患のデータ収集やサーベイランスは限られている。これはヒトの軽度の疾患についても同様であり、軽度の症状を伴うヒトからヒトへの感染の小クラスターは、通常の定点観測調査システムでは検出が困難な場合がある。しかし、豚インフルエンザ変異型ウイルス感染のヒト症例は、最近ブラジルで報告されたA(H1N2)変異型ウイルスのヒト症例の報告のように、定期サーベイランスを通じて散発的に検出されている。
 当該報告書は以下のURLから入手可能。
https://www.ecdc.europa.eu/sites/default/files/documents/Eurasian-avian-like-A-H1N1-swine-influenza-viruses.pdf
 当該ウイルスについて報告した論文(PNAS
, 2020
, doi: 10.1073/pnas.1921186117)は以下のURLから入手可能。
https://www.pnas.org/content/early/2020/06/23/1921186117
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州疾病予防管理センター(ECDC)
情報源(報道) -
URL https://www.ecdc.europa.eu/en/publications-data/threat-assessment-brief-eurasian-avian-ah1n1-swine-influenza-viruses
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