食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05400260301
タイトル 論文紹介:「アライグマ(Procyon lotor)のEscherichia albertii保有率、日本」
資料日付 2020年5月19日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  Emerging Infectious Diseases (2020
, 26(6):1304-1307)に掲載された論文「アライグマ(Procyon lotor)のEscherichia albertii保有率、日本(Prevalence of Escherichia albertii in Raccoons (Procyon lotor)
, Japan)、著者A Hinenoya、S Yamasaki(Osaka Prefecture University
, 日本)ら」の概要は以下のとおり。
 Escherichia albertiiはグラム陰性の通性嫌気性細菌であり、新興のヒト腸管病原体である。同細菌は一般的に細胞膨化致死毒素遺伝子を有し、加えて特定の株は志賀毒素2遺伝子(stx2a
, stx2f)を持つ。最近、E. albertiiのヒトでの集団感染や孤発例の増加が、日本を含む複数の国々から報告されている。しかしながら、同菌の病原巣(reservoir)やヒトへの伝播経路はいまだ特定されていない。著者らは、日本においてアライグマがE. albertiiの病原巣となり得るか調べるため、大阪で捕獲された野生のアライグマ中の同菌の存在について調査した。
 著者らは、2016~2017年に大阪で捕獲された野生のアライグマの直腸スワブ430検体を回収した。E. albertiiの存在を確認するためにcdt遺伝子に基づくPCRアッセイが行われ、その結果430検体中248検体(57.7%)で同菌固有のPCR産物の増幅がみられた。その後、PCR陽性の62検体から143株が分離選別された。分離株間の系統学的関係性を明らかにするため、ゲノムDNAを制限酵素XbaIで消化後、パルスフィールドゲル電気泳動を行った。143分離株から59のパルソタイプが示され、アライグマに由来するE. albertii分離株の遺伝的多様性が明らかにされた。
 アライグマ由来のE. albertiiのヒトへの潜在的な病原性を評価するため、著者らは各パルソタイプ(n=59)から1株ずつ選択し、臨床分離株でみられる毒性決定因子の存在について検査した。59株(100%)でeae遺伝子が、5株(8.5%)でEccdt-Iが、2株(3.4%)でstx2f遺伝子が検出された。
 野生動物の中で、アライグマは、農地、森林及び都市地域など広い範囲の生息域で生きる能力のあるシナントロープ動物(訳注:人間の生活圏やその近くに生息し、人間や人工物の恩恵を受けて生きる野生動物)である。アライグマは雑食性で野菜畑で食べ物をあさり、水辺の環境を好む。さらにその上、アライグマは様々な病原性微生物を運ぶことが知られている。したがってこれらが野菜や水の病原菌(E. albertiiを含み得る)汚染を引き起こし、ヒトへの感染をもたらす可能性がある。そこで、著者らはアライグマを対象とした調査を行い、日本の野生のアライグマの高いE. albertii保有率(248/430、57.7%)を明らかにした。これはアライグマの同菌の保有が偶発的なものではないことを示している。アライグマから分離されたE. albertii株は、ヒト臨床株で見られる毒性決定因子(eae、Eacdt、Eccdt-I又はstx2f)を有していた。アライグマ由来分離株のほぼ全てのインチミン亜型はヒト臨床株で同定されたものである。2分離株は機能的なStx2fを生産し、ヒトに重篤な疾病を引き起こす潜在性を有する。総合すると、これらのデータは、アライグマがE. albertiiの主要な病原巣となっており、日本におけるヒトへの感染源である可能性を示唆した。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) Emerging Infectious Diseases (2020 , 26(6):1304-1307)
URL https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/6/19-1436_article
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