食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04870520110
タイトル カナダ保健省(Health Canada)、褐変防止の形質を有する遺伝子組換え(GM)リンゴArctic Fuji Apple系統NF872のカナダでの販売を認可
資料日付 2018年1月30日
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概要(記事)  カナダ保健省(Health Canada)は1月30日、褐変防止の形質を有する遺伝子組換え(GM)リンゴArctic Fuji Apple系統NF872のカナダでの販売を認可した旨を公表した。概要は以下のとおり。
1.認可概要
 同省は、褐変防止の形質を有するGMリンゴArctic Fujiの販売認可申請を2016年に受理した。
 同省は今般、当該リンゴのカナダでの販売を認可した。当該リンゴは科学的には以下のように説明される。
 Arctic Fujiリンゴに一つの遺伝子が導入され、その結果、リンゴをスライスした時に褐変させる酵素量の低減に繋がった。それ以外の点では、Arctic Fujiリンゴは他のあらゆるリンゴと同一である。
 同省は、2015年に、他の2種類の系統のGMリンゴ、Arctic Golden及びArctic Grannyをカナダで販売することを認可した。Arctic Fujiは、これら2種類の系統と同様の遺伝子改変が行われ、同じく褐変防止の形質を有する。
 評価が行われた結果、Arctic Fujiリンゴに加えられた改変は、現在カナダで市販されているリンゴと比べ、ヒトの健康に対するリスクは増大しないと判断された。更に同省は、Arctic Fujiリンゴはアレルギーに関する影響もなく、従来より消費されている通常のリンゴの品種と比べて栄養価に差はないと結論付けた。
 GM食品の安全性評価において同省が用いる手法は、世界保健機関(WHO)、国際連合食糧農業機関(FAO)及び経済協力開発機構(OECD)などの国際機関の専門家会議を通じて、過去20年以上に亘り培われてきた科学的原則に立脚している。現在、同省の手法は、複数の国と地域(欧州連合(EU)、豪州/ニュージーランド、日本及び米国)の規制機関でも採用されている。
 当該認可に伴い、「新規開発食品の決定に関するリスト」が2018年1月30日付けで更新された。同リストには、新たに、Arctic Fuji Apple Event NF872(Okanagan Specialty Fruits Inc.)が収載されている。
2.Arctic Fuji Apple系統NF872のテクニカルサマリー
 Okanagan Specialty Fruits Inc.が開発したArctic Fujiリンゴ系統NF872は、スライスや打撲といった物理的損傷を受けた場合の褐変防止という形質を有する。当該形質獲得には組換えDNA技術が使われた。
 2015年、同省は他の褐変防止の形質を有するリンゴ、Arctic Golden(系統GD743)及びArctic Granny(系統GS784)の販売認可に対して反対しなかった。これらの2種類の系統はArctic Fujiリンゴ系統NF872と同じベクターにより改変が行われた。
 申請者が提出した情報に基づけば、Arctic Fujiリンゴ系統NF872は、ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)酵素抑制カセットの発現(RNA介入(RNAi)による酵素量の減少)を介して褐変防止の形質を獲得した。更に、選択マーカーシークエンスnptIIも発現させている。nptIIは、植物のカナマイシン耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NptII)たん白質をコードする。
 Arctic Fujiリンゴ系統HF872の遺伝子挿入部位数及び組み込みT-DNAのコピー数及びプラスミド骨格シークエンスの有無を判断するため、全ゲノムシークエンス解析を行った。その結果、T-DNA挿入部位は3か所検出され、各部位にはGEN-03断片が複数見られた。
 NF872へは、ベクター骨格の部分的コピーの挿入が1か所見られたものの、当該骨格機能を示すものは存在しない。
 Arctic Fujiリンゴ系統NF872は2003年に開発され、2005年のフィールド試験に先立ち、数世代に亘り組織培養栄養繁殖が行われた。2016年、当該リンゴの繁殖区画に導入遺伝子の存在が確認された(ポリメラーゼ連鎖反応:PCR法による)。栄養繁殖した樹木の場合と同様、導入遺伝子は一貫して安定していた。
 Arctic Fujiリンゴ系統NF872と従来のリンゴとの違いは、PPO阻害カセットの挿入及びその関連調節エレメントと、nptII遺伝子及びその関連調節エレメントの有無である。従来のリンゴと比べ、Arctic Fujiリンゴでは褐変するまでの時間が長かった。
 Arctic Fujiリンゴ系統NF872は、改変が加えられていない非GMリンゴと比べ、栄養面での変更を意図していない。その利用は従来のりんごと同様であると考えられることから、食品としてのりんごの使用には何ら変更はないと考えられる。
 Arctic Fujiリンゴの食事経由ばく露量は、当該リンゴ中の総スモールRNA量を定量して推定した。当該総量から、導入遺伝子に由来する、このリンゴに特有の導入遺伝子由来のsiRNA(例えば、新種のsiRNA)への推定ばく露量を得た。
 バイオインフォマティクスによる分析データからは、Arctic Fujiリンゴ系統NF872により産生されると予見されたsiRNA分子は、たん白質をコードするゲノム領域又はヒト転写配列とは統計的に有意な相同性はないことが示された。
 同省は以下のように結論付ける。
 Arctic Fujiリンゴ系統NF872の食品としての使用を裏付ける情報に関してレビューを行った結果、安全性上の懸念とはならないことが示された。同省は、Arctic Fujiリンゴ系統NF872に由来する食品の安全性と栄養価は、現在市販されているリンゴ品種に由来する食品と同等であると考える。
 同省の意見は、Arctic Fujiリンゴ系統NF872を食品として使用する場合のみを前提としている。飼料として使用する場合に関しては、別途、カナダ食品検査庁(CFIA)による取組みが、現行の規制の枠組みの下で行われている。
 同庁は、評価を行った結果、環境及び飼料安全に関する懸念はないと結論付けた。同庁の結論は、市販が予定されているArctic Fujiリンゴ系統NF872に由来する食品及び飼料への適用が可能である。

 「新規開発食品の決定に関するリスト」は以下のURLから入手可能。
https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/genetically-modified-foods-other-novel-foods/approved-products.html
 Arctic Fujiリンゴ系統NF872のテクニカルサマリーは以下のURLから入手可能。
https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/genetically-modified-foods-other-novel-foods/approved-products/arctic-fuji-apple/information.html
地域 北米
国・地方 カナダ
情報源(公的機関) カナダ保健省(Health Canada)
情報源(報道) カナダ保健省(Health Canada)
URL https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/genetically-modified-foods-other-novel-foods/approved-products/arctic-fuji-apple.html
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