食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04540420314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、コリスチン及び伝達性コリスチン耐性に関する最新のQ&Aを公表
資料日付 2016年8月3日
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概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は8月3日、コリスチン及び伝達性コリスチン耐性に関する最新のQ&A(2016年8月3日付け BfR FAQ)を公表した。概要は以下のとおり。
 昨年、細菌のコリスチン耐性が他の細菌に伝達される機序が明らかにされた。この科学的知見が、畜産現場でのコリスチンの使用及びコリスチン耐性の伝播に関する議論に繋がっている。これらを背景に、BfRはコリスチンに関するQ&Aをまとめた。
Q1:コリスチンとは?
A1:ポリミキシン類に属するポリぺプチド系抗生物質である。
Q2:コリスチン耐性とは?
A2:コリスチン耐性が見られるのは、コリスチンの細菌に対する最小発育阻止濃度が所定の閾値よりも大きい場合である。欧州委員会(EC)の抗菌薬感受性試験(EUCAST)では、大腸菌及びサルモネラ属菌に関しては、2mgコリスチン/L栄養培地(疫学的閾値)を上回る濃度でも細菌が増殖すれば、耐性を有すると考えられる。「臨床及び検査規準に関する研究機関」は、臨床での基準を設け、8mg/L以下とした。この濃度で耐性を獲得した細菌による感染症には、コリスチンによる治療は効果的ではない。
Q3:動物用医薬品におけるコリスチンの重要性は?
A3:コリスチンは、家畜の感染症、特に消化器疾患の治療において重要である。2014年にドイツでは107トンのポリペプチド抗生物質が動物用医薬品として供給された。2015年は82トンで、その多くがコリスチンであった。調査が始まった2011年と比べ、35.4%低減した(127トン→82トン)。
Q4:コリスチンはヒトに普通に使用されているのか?
A4:コリスチンは、認容性が低いことからヒトにはほとんど使用されていない。腎臓又は神経系障害などの副作用が考えられる。カルバペネム系抗生物質などの通常使用される抗生物質が効かないグラム陰性菌による重度の感染症の治療において重要である。ドイツでは、グラム陰性菌感染症の患者数は少数であることから、このような治療の必要性はほとんどない。
Q5:コリスチン耐性は新しい現象か?
A5:いいえ。動物のコリスチン耐性菌は数年前に分離されている。科学者らは、この分離株は遺伝子が染色体に固定されている非伝達性耐性菌であるとの仮定の下で活動してきた。現在問題となっているコリスチン耐性の新たな問題は、プラスミド媒介遺伝子による細菌から細菌への伝達の可能性である。この遺伝子はmcr-1と呼ばれ、2015年に中国で初めて確認された。更なる詳細な研究では、この遺伝子は染色体に取り込まれる可能性が示されている。つまり、全ての細菌の増殖に伴い伝達される可能性である。
 ベルギーにおける最近の複数の調査研究には、コリスチン耐性を獲得した別の伝達性遺伝子mcr-2が家畜に存在しているとの記述がある。しかし、この遺伝子の伝播に関して入手可能な調査研究はまだ無い。
Q6:コリスチン耐性に関する新たな知見に基づき、どのような対策が必要か?
A6:BfRによる調査研究では、mcr-1遺伝子は、ドイツの家畜及び食品中の細菌に少なくとも2010年から存在すること及び異なるプラスミド上にあることが示された。
 このコリスチン耐性が見つかったことにより、畜産における治療用抗生物質の使用を可能な限り低減する必要性が強調される。これは、BfRが何年も前から主張してきた点である。
 欧州医薬品庁(EMA)は2014年にコリスチンの動物用医薬品への使用要件を厳しくし、2016年には更に対象動物を制限した。EMAは2016年5月に、コリスチンの使用を最小限度まで削減する提案をしている。同時に、特別に重要なヒトの治療薬(世界保健機関(WHO)による特に重要な物質)の使用及び全体的な抗生物質の使用量は増加させてはならないとしている。更に、コリスチンはリスクカテゴリーが高い抗生物質(抗菌性物質アドバイス特別専門家グループ(AMEG)による分類システムのカテゴリー2、即ち、現時点で公衆衛生リスクがより高いと推定される動物用医薬品に使用される抗菌性物質)に分類されるべきと提言している。
Q7:動物からヒトに感染する細菌にはコリスチン耐性は多いのか?
A7:人獣共通感染症の病原体及び動物の腸管内の共生細菌に関する耐性モニタリングの一環として、コリスチンに関しては2010年より体系的な研究が行われている。2010年~2015年に、コリスチン耐性菌の割合が最も大きかったのが、食肉チェーンにおける七面鳥の大腸菌(11.7%)及び鶏の大腸菌(6.0%)で、この分野では微減が見られた。豚からの分離株(1.4%)及び子牛からの分離株(1.8%)では、コリスチン耐性の割合は少なかった。繁殖用家きん、肉牛及び乳牛におけるコリスチン耐性菌は、ドイツでは検出されていない。コリスチン耐性が見られた大腸菌のうち、BfRの検査で、その大部分が伝達性mcr-1遺伝子を有していることが分かった。
Q8:消費者が、耐性菌から身を守るには?
A8:消費者に対する助言は、生肉は最低でも70℃になるまで2分間加熱してから摂取する、生肉の取り扱いにおいては、手や調理器具(包丁、まな板など)により他の食品へ細菌が移らないよう留意する、などである。
Q9:コリスチン及びその他の抗生物質は、畜産では予防的使用が認められているのか?
A9:抗生物質は、畜産において予防に使用してはならい。
Q10:コリスチンのヒト及び動物への使用に関する特定の規則はあるのか?
A10:コリスチンは、「優先的に極めて重要な抗菌性物質」(ヒト用医薬品及び動物用医薬品として同様に特に重要であるカテゴリー)に分類されていない。この分類表は、国連食糧農業機関(FAO)、WHO及び国際獣疫事務局(OIE)により2007年に合意された。
 世界保健機関(WHO)は、ヒトの医薬品として特に重要な抗生物質(極めて重要な抗菌性物質)の新たなリストを公表した。このリストは、2012年及び2013年に更新された。それ以来、コリスチンは、「非常に重要」に分類されているが、「最優先で非常に重要」なステータス(同じグループの医薬品の中では優先順位が最も高い)」には分類されていない。
 ヒトへのコリスチンの使用要件は、伝達性遺伝子が検出されても当面は変更されていない。しかし畜産においては、他の全ての抗菌性物質同様、コリスチンも使用を控えるべきである。
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL http://www.bfr.bund.de/cm/349/faq-about-the-antibiotic-colistin-and-transferrable-colistin-resistance-in-bacteria.pdf
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