食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04450640334
タイトル アイルランド食品安全庁(FSAI)、トータルダイエットスタディ(TDS)の結果を公表
資料日付 2016年3月15日
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分類2 -
概要(記事)  アイルランド食品安全庁(FSAI)は3月15日、トータルダイエットスタディ(TDS)の結果を公表した。概要は以下のとおり。
 このTDSは、過剰摂取すれば健康影響が考えられる多くの化学物質への、アイルランド市民の食事経由ばく露に関する評価のために行われた。
1.アイルランド市民は、食事に基づく分析に基づけば、通常は化学物質へのばく露リスクはない。しかし、世界的な知見に基づけば、アクリルアミド、アフラトキシン類、程度はより小さいが鉛に関して、ばく露懸念が潜在する。これはアイルランド特有の問題と言うよりも、世界規模の懸念となっている。
 リスク管理者は、国及び国際レベルで、ゼロばく露は有り得ないことに留意し、これらの物質へのばく露を合理的に達成可能な限り低い(as low as reasonably achievable)レベルまで低減するように努力している。
 このTDSでは、2012年~2014年にアイルランド市民が摂取した一般的な食事に関して、147種類の食品及び飲料について調査が行われた。分析された検体は、最も一般的な調理法で調理されたものに基づく。
 調査対象化学物質:アルミニウム、ヒ素、カドミウム、クロム、鉛、水銀及びスズ、ヨウ素及びセレン、硝酸塩及び亜硝酸塩、アクリルアミド、マイコトキシン類、多環芳香族炭化水素類(PAHs)、残留農薬、ビスフェノールA及びフタル酸塩。
2.化学物質ごとのばく露量(抜粋)
・アルミニウム:小児及び成人で、欧州食品安全機関(EFSA)の耐容週間摂取量(TWI)1mg/kg体重を下回っていた。食事由来の主なばく露源は、ノンアルコール飲料(茶(40%)など)、穀物(成人では、主にパン及びファインベーカリー(33%)、小児では、主にパン、ファインベーカリー及び朝食用シリアル(54%))。
・無機ヒ素:ばく露量は、成人及び小児どちらにおいても、肺がん、膀胱がん及び皮膚病変リスクが1%高まるベンチ―マーク用量の95%下限信頼区間(BMLD01)、の0.3~8μg/kg体重/日を下回っていた。
 食事由来の主なばく露源は、成人及び小児共に穀類であった(それぞれ81%及び94%)。
・カドミウム:成人及び小児の平均的な集団では、ばく露量はEFSAのTWIである2.5μg/体重を下回っていた。しかし、97.5パーセンタイルでは、どちらの集団においても若干の超過が見られた。
・鉛:食事経由推定ばく露量は、小児及び成人において、BMDLを下回っていた。算出されたばく露マージン(MOE)によれば、食事中の鉛によるリスクは低いと考えられる。
 食事経由の主なばく露源は、成人ではアルコール飲料(28%)、穀物(22%)及び野菜(12%)であったのに対し、小児では、穀物(27%)、ノンアルコール飲料(19%)及び野菜(12%)であった。水道水からは、検出可能レベルの鉛は検出されなかった。しかし、古い家では、多くの場合、過去に鉛が使われた水道管を使用しており、このことが原因で、水道水から許容できない濃度の鉛が検出される場合が考えられる。
・アクリルアミド:ヒトでの研究では、アクリルアミドはヒトに対する発がん性は示されていないものの、算出されたMOEからは、腫瘍作用に関する懸念が示された。同様の結果がEFSAの最新のリスク評価(2015年)でも示された。
 腫瘍作用に関するMOEは、成人の平均ばく露量で452~1
,030、97.5パーセンタイルで166~333と算出された。小児では、平均ばく露量で238~298、97.5パーセンタイルで119~136と算出された。
 主要なばく露源は、成人では穀物(49%)、スナック菓子(28%)及び野菜(23%)、小児では穀物(47%)、スナック菓子(38%)及び野菜(15%)であった。アクリルアミドの毒性を考慮し、EFSAは、他の国際機関と協力して、食品中のアクリルアミド濃度は低減されるべきであると結論付けた。また、2016年には、欧州委員会(EC)による更なる厳格なリスク管理対策(risk management measures)が実施される可能性がある。
・マイコトキシン:アフラトキシン、オクラトキシンA、パツリン及びフザリウム毒素について評価が行われた。フザリウム毒素は、どの検体からも検出されなった。しかし、今後は、マイコトキシンの潜在的なばく露リスクを全て特徴付けるためには、TDSの一環としてフザリウム毒素に関するより高精度の検出方法が求められる。
 成人及び小児におけるオクラトキシンA及びパツリンの推定ばく露量は、健康に関するガイドラインを下回っており、懸念とはならない。アフラトキシンに関しては、健康に関するガイドラインは何も設定されておらず、リスクの特徴づけは、MoEに基づく。この考え方は、遺伝毒性及び発がん性をどちらも有する物質に適していると考えられる。成人及び小児のいずれにおいても、算出されたMoEは小さく、EFSAの結果と合致しており、潜在的懸念が示されている。
 アフラトキシン及びオクラトキシンAに関しては、成人及び小児いずれにおいても、主なばく露源は穀物製品であった(80%)。パツリンに関しては、主なばく露源はアルコール飲料及びノンアルコール飲料であった。
・BPA:小児及び成人いずれの集団においても、ばく露は低いと推定され、暫定耐容一日摂取量(t-TDI)4μg/kg体重/日を十分下回っていた。EFSAが2015年に導き出した結果に沿っており、BPAばく露による懸念は小さいことが示された。
 ばく露に寄与している主な食品群は、成人ではノンアルコール飲料(48%)、野菜(21%)及び肉(14%)、小児では野菜(42%)、肉(20%)及びスープ・ソース類(19%)であった。
 この報告書「FSAIによるトータルダイエットスタディ(2012年~2014年)」(2016年3月、133ページ)は以下のURLから入手可能。
地域 欧州
国・地方 アイルランド
情報源(公的機関) アイルランド食品安全庁
情報源(報道) アイルランド食品安全庁(FSAI)
URL https://www.fsai.ie/news_centre/press_releases/total_diet_study_15032016.html
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