食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04370220149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、グリホサートの発がん性評価の解説(6ページ)を公表
資料日付 2015年11月12日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は11月12日、グリホサートの発がん性評価の解説(6ページ)を公表した。概要は以下のとおり。(訳注:EFSA及び国際がん研究機関(IARC)の評価の主な違いを、この特別な背景文書(background document)で詳しく解説するとある。)
1.背景、2.有効成分グリホサートの発がん性評価、3.遺伝毒性、1)グリホサート、in vitro試験、in vivo試験、2)グリホサート製剤
4.発がん性
 1)動物試験
 グリホサートの長期毒性及び発がん性は、9件のラットの試験及び5件のマウスの試験で評価した。
 欧州連合(EU)のピアレビューは、9件のラットの長期毒性試験で、どの処置したラットにおいても腫瘍発生の有意な増加が見られなかったと結論付けた。IARCの専門家らは、これらの試験の内の3件を評価しなかった。IARCは、1件の試験で、低用量で処置した雄ラットで膵臓の膵島細胞腫の統計的に有意な増加を報告したが、これは高用量で再現しなかった。IARCは、別の試験で、用量に依存していない2つの用量で、雄において膵臓の膵島腫瘍の有意な増加、雄で悪性腫瘍への進展のない肝細胞腺腫の有意なポジティブな傾向(positive trend)及び雌でC細胞腺腫の有意なポジティブな傾向を報告した。これら2つの評価は、統計的評価に関して、もともと一致しない(differ primarily)。すなわち、この試験のプロトコールで計画されたように、非腫瘍性病変及び腫瘍性病変におけるフィッシャーの片側(one-tailed)正確確率検定及びボンフェローニの不等式法との組み合わせ並びに病理組織学的データの評価におけるPeto検定による、多重比較(pair-wise comparison)に従えば、有意な変化は見られないが、一方、IARCの専門家らが行った傾向分析(trend analysis)では、有意な変化を特定した。
 EFSAは、試験そのものを始める前の試験計画は、統計解析を含めることが、試験評価の質の重要な要素であるという意見であり、従って、この試験の実施者の使用した統計解析からの逸脱(deviations)は、限定され(limited)、適切に正しいと証明されなければならない(properly justified)。更に、明確な用量反応が常に見られたわけでなく、見られた場合は、雄では940mg/kg体重/日及び雌では1
,183 mg/kg体重/日の、体重、肝臓、胃粘膜及び白内障に関する他の有害影響を引き起こす用量である、最も高用量レベルでのみ見られた。
 EUのピアレビューは、マウスでの5件の試験を評価した。これらの研究のうち、ただ1件のSwiss albinoマウスでの試験で、最も高用量の1
,460mg/kg体重/日で悪性リンパ腫発症の統計的に有意な増加によって特定される発がん作用が示された。しかしながら、この試験の信頼性は、生存(survival)及び特にリンパ腫の発症に影響を及ぼす可能性のあるウイルス感染の発生によるという疑問が投げ掛けられた。他の個々の試験の最も高用量においても、発がん作用は見られなかった。
 IARCは、これら試験の内の2件を評価し、1件で、雄で腎管状腺腫及び発がんのポジティブな傾向、別の試験で血管肉腫のポジティブな傾向をコクラン・アーミテッジの傾向検定に従い特定した。EFSAは、全ての利用可能なデータを考慮し、ピアレビュ―が同意した、科学的根拠の重み付け手法を採用した。多重比較ではなく、傾向分析で見られた統計的な有意差については、2012年の経済開発協力機構(OECD)の長期毒性及び発がん性試験での経口ばく露の推奨値である1
,000mg/kg体重/日の上限又はそれ以上の用量並びに試験を行った研究室及び前がん病変(pre-neoplastic lesions)のない、有効なヒストリカルコントロールの範囲内での発症例のような同時に起こる毒性の交絡が予想される用量における、複数の動物試験で、わずかに増加した一貫性のない発症例に対して、釣り合いを取った(balanced)。
 2)疫学
  IARCのモノグラフでは、コホート研究、症例対照研究及びメタ解析を含めて、全部で30件の疫学研究を報告した。それら研究論文の内、いくつかは、ドイツによる更新の評価報告書中では報告されていないが、報告担当加盟国(RMS)のドイツによる、IARCのモノグラフの評価に関する補遺(addendum)の中で検討された。グリホサートは、今日までになされた中で、最も大規模な前向きコホート研究であり、数多くの他の論文に引用されている、農業健康調査(AHS)を含む10件のコホート研究において、様々な種類のがんを引き起こさず、あらゆる種類のがんのリスクを増加させなかった。9件の症例対照研究では、グリホサートによる発がん性の増加を示さないか、又は限られたものであった。更に、5件の症例対照研究及び1件の前向きコホート研究では、グリホサートの非ホジキンリンパ腫(NHL)への関連の科学的根拠の強さを評価するため検討され、統計的に有意な関連は、少数の症例で見られるが、結果に一貫性のないことから、これらは因果関係を結論付けるには不十分であると考える。
 疫学研究は、少ないがんの症例数、交絡因子の特定及び除去の困難さに関連したいくつかの問題に直面する。グリホサートは、全般的に、幾つかの他の農薬と共に分析され、質問及び幾つかの潜在的な(intrinsic)思い出しバイアス(recall bias)のある質問表に基づくため、ばく露を調べることは、一般的に、容易ではない。更に、がんの種類の分類が一貫しておらず、有害な結果が必ずしも診療記録から得られるとは限らず、最終的に、補助成分(co-formulant)の毒性の寄与は評価できない。EFSAは、科学的根拠の重み付けを考慮して、グリホサートのばく露とNHLの発症の間の関連は極めて限られた科学的根拠であると結論付け、このことは、グリホサートがヒトに対して発がん性のハザードを有する可能性は低いという動物試験から導き出された分類の提案を変えない。
5.植物保護製剤及び補助成分の評価、6.消費者のリスク評価、7.参考文献
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL http://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/4302_glyphosate_complementary.pdf
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