食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03720080482
タイトル 香港食物環境衛生署食物安全センター、「食品中の3-MCPD脂肪酸エステル」に関するリスク評価研究報告書を公表
資料日付 2012年11月7日
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概要(記事)  香港食物環境衛生署食物安全センターは11月7日、「食品中の3-MCPD脂肪酸エステル」に関するリスク評価研究報告書を公表した。香港の消費者が食品中の3-MCPDの毒性の影響を受ける可能性は大きくないと結論づけている。要旨は以下のとおり。
1. 3-MCPDは、いくつかの食品及び食品原料の加工・製造過程で生成する汚染物質である。国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)合同食品添加物専門会議(JECFA)は2006年、3-MCPD脂肪酸エステルが食品中に存在すると報告されたことに留意した旨表明した。近年の研究報告では、食品中の3-MCPDの大部分は3-MCPD脂肪酸エステルの形で存在し、かつ、3-MCPD脂肪酸エステルは異なる食品中に広く存在することが明らかになった。このことから、3-MCPD脂肪酸エステルは、これまでに知られていない3-MCPDの供給源の一つと見られている。
2. 現在のところ、国際的には食品中の3-MCPD脂肪酸エステルの含有量に関するデータは多くない。コーデックス委員会食品添加物・汚染物質部会(CCFAC)は2010年、毒性と摂取状況を評価するために3-MCPD脂肪酸エステルをJECFAの優先項目とした。香港食物環境衛生署食物安全センターは、食品中の化学物質をリスク分析するためのWHO協働センターとして、香港の食品中の3-MCPD脂肪酸エステル含有量に関する状況をWHOに提供し、香港市民にもたらされる潜在的な健康リスクを評価するため、2011年から2012年までに本研究を行った。
3. 3-MCPDはラットの腎臓、中枢神経系、雄の生殖系に影響する。JECFAは3-MCPDの暫定最大耐容一日摂取量(PMTDI)を2μg/kg体重/日としたが、3-MCPD脂肪酸エステルの安全参照値は設定していない。3-MCPD脂肪酸エステルの生成のメカニズム、代謝経路、毒性の特徴については現在のところ定説はない。ある報告では、3-MCPD脂肪酸エステルに関して注目すべき点は主に胃腸での消化過程において、生体内で有毒な3-MCPDが遊離するという点であると指摘している。
 本研究では、3-MCPD脂肪酸エステルの摂取が健康に及ぼすリスクを評価する際、3-MCPD脂肪酸エステルが成人の胃腸内で完全に加水分解され有毒な3-MCPDが遊離すると仮定した上で、市民が食事から摂取する3-MCPD脂肪酸エステル由来の3-MCPDの量と3-MCPDのPMTDIを比較した。このため、本研究の仮説では恐らく実際の3-MCPD摂取量より高い値になるだろう。なお、欧州食品安全機関(EFSA)はこの評価方法を認めている。PMTDIは生後12週以下の乳児には適用されないことから、本研究報告では成人に及ぼす潜在的な健康リスクを評価するため、香港の成人が消費する食品中の3-MCPD脂肪酸エステル含有量に的を絞り討論した。
4. 加熱処理された食品及び精製油脂(食品そのもの又はその他食品の成分として)は消費者における3-MCPD脂肪酸エステルの主要摂取源である。このため、本研究は報告に基づき3-MCPD脂肪酸エステル含有量が比較的高いとみられる食品について検討した。その結果、「ビスケット」、「油脂」、「スナック菓子」、「中華菓子」で3-MCPD脂肪酸エステルの平均含有量が高く、それぞれ440μg/kg、390μg/kg、270μg/kg、270μg/kgだった。
5. 成人が食事から摂取する3-MCPD脂肪酸エステルの量は平均摂取群で0.20μg/kg体重/日(3-MCPDのPMTDIの10%に相当)、高摂取群(95パーセンタイル値)で0.53μg/kg体重/日(3-MCPDのPMTDIの26%に相当)だった。3-MCPD脂肪酸エステルが胃腸内で完全に加水分解され有毒な3-MCPDが遊離すると仮定しても、平均摂取群及び高摂取群とも3-MCPDの毒性の影響を受ける可能性は大きくない。
6. 研究結果に基づくと、単に食品中から摂取する3-MCPD脂肪酸エステルの量から言えば、今のところ、現在の健康的・基本的な市民の食習慣を変えなければならないことを裏付ける十分な根拠はない。市民は多くの種類の野菜や果物を摂る等、バランスがよくバラエティーに富んだ食事を維持すべきである。報告によれば食用精製油は3-MCPD脂肪酸エステルの主要摂取源の一つであるため、市民は3-MCPD脂肪酸エステルの摂取量を更に減らすために、油脂の摂取量を減らすとよい。食品業界は食品の品質を損なわない範囲内で、精製油脂中の3-MCPD脂肪酸エステルの含有量を低減する方法を研究開発すべきである。
 報告書の全文は以下のURLから入手可能(英語版/PDFファイル、37ページ)
http://www.cfs.gov.hk/english/programme/programme_rafs/files/programme_rafs_fc_01_33_3MCPD_Report.pdf
 本研究に関するプレスリリースは以下のURLから入手可能。
http://www.cfs.gov.hk/sc_chi/press/2012_11_07_1_c.html
地域 アジア
国・地方 香港
情報源(公的機関) 香港食物環境衛生署食物安全センター
情報源(報道) 香港食物環境衛生署食物安全センター
URL http://www.cfs.gov.hk/sc_chi/programme/programme_rafs/files/programme_rafs_fc_01_33_3MCPD_Summary.pdf
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