食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03450730475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、アミロース含有量を低くした遺伝子組換え(GM)ジャガイモBPS-A1020-5の認可について意見書を提出
資料日付 2011年9月14日
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、欧州規則(EC)No.1829/2003に基づいて、アミロース含有量を低くした遺伝子組換え(GM)ジャガイモBPS-A1020-5の栽培、輸入、加工、食品や動物飼料としての使用を目的とする市場流通認可申請について競争・消費・不正抑止総局(DGCCRF)から諮問を受けて2011年7月11日付けで意見書を提出した。
 当該ジャガイモのでん粉は、アミロース(15~30%、グルコースがα1-4で結合した直鎖状ポリマー)とアミロペクチン(70~85%、α1-4及びα1-6で結合したポリマー)の混合物である。アミロペクチンは保水特性(抗粘着性と抗接着性)を持っている。アミロースはより構造化されており、水に溶けず、消化されない。アミロースの含有率を低減すると、でん粉に高い便益、特に製紙業に高い便益を供する産業技術特性を付与する。
 遺伝子組換えBPS-A1020-5(別称AM04-1020)の目的は、アミロースの合成を阻害し、アミロペクチンを98%含有するジャガイモを作ることにある。
 この遺伝子組換えは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens) LBA4404株を使って栽培品種ジャガイモKurasを形質転換したものである。
 ジャガイモの遺伝子gbssは、デンプン合成酵素GBSS(Granule Bound Starch Synthase
, accession number A23741:顆粒性でん粉合成酵素、登録番号A23741)をコードする。また、RNA干渉(RNAi)メカニズムによって標的の転写物GBSSに干渉し、内在する合成酵素の発現を抑制してアミロースの生産量を低減するヘアピン構造を形成する。
 ≪アミロースを含まないでん粉≫の特徴は、GBSS酵素の合成を抑制しつつ、GBSSの相補的デオキシリボ核酸(cDNA)の一部に、逆方向反復配列を発現する。この特徴は塊茎のでん粉成分分析で確認された。
 成分比較分析結果からGMジャガイモとKurasの塊茎で計測した濃度が有意に異なることが明らかにされた。遺伝子改変により設計されたとおり繊維、でん粉、炭水化物(果糖:フルクトース、ブドウ糖:グルコース、蔗糖:サッカロース)でこの有意差が現れている。また、総たん白質、アスパラギン酸、リン及びビタミンCも有意差が見られるが、基準範囲に収まっている。また、栄養阻害要因(カコニン、クロロゲン酸、ソラニン、グリコアルカロイドとトリプシンインヒビター)にも有意差が認められたが、コンパレータ(comparateur:非遺伝子組み換えの比較対象作物)と比べGMジャガイモのほうが含有率が低く、予測区間に収まっている。硝酸塩のみがGM塊茎により高い濃度で存在する。計測平均値で予測区間の上限値を6%上回っている。この超過幅は大きくないので、消費者の健康に影響を与える確率はほとんどないと思われる。しかし、硝酸塩含有量をこの化合物の許容限界値と比較検討することを要する。
 亜慢性毒性試験では、対照Kuras、遺伝子組換えBPS-A1020-5及び参照用栽培品種2種それぞれを粉砕し凍結乾燥した塊茎を25
,000ppm(2.5%)及び50
,000ppm(5%)の2種の用量でWistar ラットに90日間反復投与した。
 統計分析で、死亡率、臨床症状、行動様態の変化は観察されなかった。
 ただし、この亜慢性毒性試験に使用した動物数が少ないこと(グループ毎、性別毎に10匹)が、統計試験の検出力不足のリスクを大きくしている。
 BPS-A1020-5の遺伝子組換え分子の特徴に関して申請者が提出したジャガイモの化学成分比較分析、栄養評価、安全性評価、潜在的アレルギー誘発性などの要素について、ANSESは遺伝子組換えジャガイモBPS-A1020-5が食品や動物飼料として対照のジャガイモKurasと同等の安全レベルにあると結論づけた。
 ただし、RNA干渉転写物(RNAi transcrit)と、組織内で酵素GBSSを発現する標的の特徴を明らかにする補完データが必要である。また同様に、硝酸塩含有率の違いの影響について検討すること、成分比較分析同等性の研究を最終段階にまで進めること、及び90日間亜慢性毒性試験の被験動物数を大幅に増やし統計的検出力を向上することが望ましい。
 ANSESは、この意見書が規定の期限内に入手できた最初の申請資料に基づいたものであることを指摘しておく。欧州食品安全機関(EFSA)の要請で補足研究とデータが申請資料に新たに添付された場合を考慮すると、本意見書は後ほどの申請書の要素全体についての結論に予見を与えるものではないことを付言しておく。
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL http://www.anses.fr/Documents/BIOT2011sa0113.pdf
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