食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03321170314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、遺伝子組換え植物の飼料から高等動物への遺伝子伝播に関するBfR遺伝子組換え食品・飼料委員会の意見書(2011年3月17日付)を公表
資料日付 2011年3月22日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、遺伝子組換え植物の飼料から高等動物への遺伝子伝播に関するBfR遺伝子組換え食品・飼料委員会の意見書(2011年3月17日付)を公表した。概要は以下のとおり。
1. 経緯
 TudiscoらがAnimal誌に公表した研究(2010)「Fate of transgenic DNA and evaluation of metabolic effects in goats fed genetically modified soybean and in their offsprings (遺伝子組換え(GM)大豆を給餌した山羊及びその産仔における組換えDNAの運命及び代謝影響評価)」等の科学論文が、GM食品・飼料の摂取によるヒト及び動物の健康リスクに関し、繰り返し議論を巻き起こしているため、Tudiscoらの研究を例に、遺伝子水平伝播及びその影響を評価した。
2. 評価対象
 Tudiscoらの論文(2010)の基となった給餌試験は、試験群及び対照群で妊娠山羊を各10頭用いて実施された。当該山羊は出産の前後各2ヶ月間にGM大豆あるいは従来種大豆の粗挽きを割合を高めながら給餌された。各群から雄の産仔10頭を選び、母山羊の乳を2ヶ月間与えた。
 PCR法により、両群の多数の母山羊から、全試験期間を通じ、植物の葉緑体遺伝子断片のコピーが多数血液から、授乳期には乳からも検出された。30日以降は、これら両群の母山羊数頭から、大豆ゲノムの単一配列レクチン遺伝子の断片が検出され、試験群の母山羊からはGM大豆に挿入されたCP4 EPSPS遺伝子及び35Sプロモーターも検出された。葉緑体断片陽性の子山羊において、両群の約半数に血液、筋肉、腎臓、肝臓、脾臓及び心臓からレクチン断片が検出され、試験群の約半数からは組換え遺伝子の断片も検出された。
 さらに、子山羊の筋肉、腎臓、肝臓及び心臓の検体で、特定の酵素の活性が測定された。対照群の子山羊と比べ、試験群の子山羊の心臓、腎臓及び骨格筋の組織で、乳酸脱水素酵素(LDH)の活性が高かった。また腎臓組織ではガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の上昇が見られた。子山羊の血清では、母山羊の血清と同様に、LDH及びGGTの値に両群に差異はなかった。両群の子山羊の体重及び臓器重量にも差異はなかった。
3. 結果
 当該論文から、GM植物の組換えDNAの高等動物への伝播及びその影響に関し、新たな知見は導けない。食料を介し摂取されたDNA断片の、動物組織への伝播及び一時的な滞留は自然な過程である。GM植物の組換えDNA配列であるからリスクが高いとは言えない。
4. 論拠 (略)
5. 結論
 動物の臓器及び組織での外来DNA断片の検出に関する複数の研究から以下のことが示されている。
(1) DNAは食料の天然成分で、全ての高等生物において同じ化学的構造を有する。組換えDNAは非組換えDNAと同等で、ヒト及び高等動物の体内でそれぞれの原理で代謝される。食料を介し摂取されたDNAは完全には分解されず、微量のDNA断片が消化されずに消化管の上皮細胞から吸収される可能性がある(McAllan(1982)、Schubbert et al.(1994)、Hohlweg and Doerfler(2001))。
(2)食料を介し摂取された植物遺伝子の断片は一時的に、動物の組織または細胞(Hohlweg and Doerfler(2001)、Klotz et al.(2002)、Reuter and Aulrich(2003)、Tony et al.(2003))、哺乳動物の乳(Einspa-nier et al.
, 2001; Phipps et al.
, 2003)、その乳を与えられた産仔(Laudadio et al.
, 2006; Tudisco et al.
, 2006; Tudisco et al.
, 2010)から検出され得る。
(3)GM植物の組換えDNA断片は、動物の組織(Mazza et al.(2005)、Sharma et al.(2006))、哺乳動物の乳、その産仔(Tudisco et al.(2010))から検出された。
(4)動物の細胞または組織での外来遺伝子断片の検出は、遺伝子の複製数及び検出感度に依存する(Nemeth et al.(2004))。
(5)食料を介し摂取された遺伝子断片に関連した遺伝子水平伝播(これは、ゲノムへの機能性外来遺伝子の持続的組み込みを前提とする)は、これまで高等動物で報告されていない。
 Tudiscoらの研究は、哺乳動物の様々な組織及び産仔への食料由来遺伝子断片の伝播に関する既に公表された研究結果を追認するものである。観察された、特定の臓器における酵素活性の上昇は、自然の変動幅がわからなければその生物学的妥当性を判断できない。
6. リファレンス
 Tudiscoらの論文は以下のURLから入手可能。
http://www.global2000.at/module/media/data/global2000.at_de/content/gentechnikbroschuere/Tudisco2010GM_Soya_DNA_Goats-_goats_kids.pdf_me/Tudisco2010GM_Soya_DNA_Goats-_goats_kids.pdf
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL http://www.bfr.bund.de/cm/343/gentransfer_aus_futterpflanzen_auf_hoehere_tiere.pdf
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。