食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu02660320188
タイトル フランス食品衛生安全庁(AFSSA)、オストレオプシス・オバータが出現した海域の海産物摂取に関する科学技術支援資料を公表
資料日付 2008年10月17日
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概要(記事)  フランス食品衛生安全庁(AFSSA)はオストレオプシス・オバータ(Ostreopsis ovata:O.ovata、訳注;渦鞭毛藻綱)が発生した海域の海産物摂取に関する科学技術支援資料(Appui Scientifique et Technique)を2007年8月22日付けで公表した。今回は、諮問のうち「フランスにおいて現在使用されているO.ovata産生毒検出法、殊に海産物のパリトキシン検出法の現状把握、及びヒトに健康被害を引き起こす魚介類における当該毒素の閾値」に関する答申で、概要は下記の通り。
1. O.ovata産生毒(殊にパリトキシン)
 世界中の海(温暖海域)に生息するOstreopsis属の底生渦鞭毛藻類がパリトキシン類縁体を産生すると確認されている。パリトキシンの構造はすでに明らかになっているが、O.ovataが産生するパリトキシン類縁毒素の構造は未だ不明である。O.ovata株の検査では遅延性溶血活性を示すとともに、ウアバイン(強心剤)添加培養液では活性が抑制され、マウスでパリトキシン特有の症状を示した。
2. 魚介類への毒素移行
 水棲生物の食物連鎖によってパリトキシン様物質が移行する。最近は温暖地方にもOstreopsis属が発生するようになった。データを収集するには、パリトキシン様物質の検出法や定量法の開発とその妥当性の検証が必要である。
3. 分析法
(1) 生物学的方法
1) マウス・バイオアッセイ法: 類縁体の毒素を取扱えるメリットのある包括的検査法で、回帰直線でマウスの死亡時間と毒素投与量との関連を検証できる。マウス・バイオアッセイの実施は難しくないが、動物実験は近年倫理的批判を浴びることが多大で、今後はそれに換わる試験へと転換しなければならない。
2) 溶血性試験: パリトキシンには強い溶血性があり、マウスの赤血球を毒素と接触させるとヘモグロビンを放出する。この放出ヘモグロビンを分析するもので、この溶血反応は分光光度計を使い450 nmで検出できる。但し、魚介類、甲殻類やウニ類など複雑な基質で使用するには抽出及び精製技術の開発が必要である。
3) 細胞系テスト: 毒素群に特異的作用形態があることに注目したものである。マウスの神経芽細胞腫(Neuro-2A)で実施するパリトキシン様物質のスクリーニングテストの開発が進んでいる。
(2) 物理化学的方法
 パリトキシンは特別な波長の紫外線(UV)を吸収する。この物理化学的性質を利用した高速液体クロマトグラフィーUV分析法(HPLC/UV)による分析法が開発中である。この方法はパリトキシン類縁体の有無を確認できず感度が不十分であるが、簡便な方法なのでサーベイランスの出先試験所でも利用可能である。
 液体クロマトグラフィ/質量分析測定(LC/MS)又は液体クロマトグラフィ/タンデム質量分析装置(LC/MS-MS)を使った分析方法がいくつか開発中である。
 本件の問題に応えるものとしては、質量分析に基づく方法が現在のところ最も可能性が高い。これには前処理としてカートリッジで濃縮し、カラムを使って分離する工程を付け加える必要がある。この方法には高い技術と高価な機材が求められる。
4.毒性の閾値
 パリトキシンのDL50は、犬に静脈投与した場合に33ng/kgで、現在知られている最も毒性の強い海棲生物化合物である。純度100%のパリトキシンをマウスに腹腔内投与した試験でのLD50は、0.75μg/kgであった。投与量1.5μg/kgでは3~5時間で窒息死した。
 現在までのところ、パリトキシンとその類縁体のリスク評価は実施されていない。
 EFSAの欧州レファレンス研究所(CRL)作業部会は2005年10月に衛生上許容できるパリトキシン量を250μg/kg魚体重量(体重60kgのヒトの一回分の食事で魚肉250g)と設定しているが、これは見直されることになる。
5. 結論
 スクリーニング方法は欧州のいくつかの国で開発が進んでいる。フランス・リファレンス研究所(LNR)も参加しているCRLは、海産物中のパリトキシン様物質に関する食品リスクについて科学的問題や性状分析のため作業チーム(WT)を発足させた。第一回会合は2007年10月に予定されている。
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品衛生安全庁(AFSSA)
情報源(報道) フランス食品衛生安全庁(AFSSA)
URL http://www.afssa.fr/Documents/RCCP2007sa0227.pdf
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