食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu01510400329
タイトル 英国海綿状脳症諮問委員会(SEAC)、慢性消耗性疾患(CWD)に関する現状報告書を公表
資料日付 2006年7月16日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国海綿状脳症諮問委員会(SEAC)は7月16日、慢性消耗性疾患(CWD)に関する現状報告書を公表した。概要は以下のとおり。
1.背景
 CWDは、北アメリカの家畜又は野生のシカに発生した風土病の伝達性海綿状脳症(TSE)である。数週間から数ヶ月間にわたり体重減少及び挙動変化を起こし、その後死に至る疾病で、欧州では発見されていない。また、ヒトに対する感染例の報告もない。
 SEACは、発行された文献、未発行の文献の一部及び欧州のシカに関するTSEサーベイランス結果等を検討した。
2.原因について
 原因は不明であるが、疫学的なデータから推定し、CWDが哺乳動物のたん白質のリサイクルにより加工飼料に混入したことから派生した可能性はかなり低い。
 CWDは、めん羊の内部に存在するプリオンたん白質(PrP)が自然発生的に変異して非定型疾病に関連する型になった可能性、或いはめん羊のスクレイピーが未知の感染源から、シカに感染した可能性を示唆している。
 仮説に関する直接的な裏付け情報はないものの、CWDはめん羊の内部に存在するプリオンたん白質(PrP)が自然発生的に変異して、疾病に関連する横断的な(laterally)伝達性を持つプリオンたん白質になった結果から生じたという仮説が最も可能性がある。
3.宿主
 知られている宿主は、ミュールジカ、オグロジカ、オジロジカ、ロッキーマウンテンオオジカ及びムースである。CWDの報告件数の増大は、主にサーベイランス件数の増加によるものである。
 CWDの英国のシカへの伝達性に直接関連する情報は報告されていないが、限られた数のPrPコドンの比較から英国及び北アメリカのシカ類における内因性PrP遺伝子に、ある種の相似性が示唆される。このことは、英国のシカ、特にロッキーマウンテンオオジカに近いアカシカに、CWDへの感受性がある可能性は除外できない。
 限定された情報ではあるが、CWDに感染したシカ及び牛、めん羊及び山羊を共同飼育していた施設においても、牛等の動物に感染していないことから、伝達性に関して強いバリアがあるということが出来る。
4.伝達経路
 疫学的データから、感染したシカから感受性のあるシカへの感染のみならず、過去に感染したシカが飼育されていた小規模放牧場で、CWDが他のシカに感染することが確認されている。感染の詳細な経路は不明であるが、感染源が唾液、糞及び尿に排出され、又は感染したと体の分解物等を通じ、他のシカの牧草に移行する可能性がある。また、母子感染の可能性もある。
5.病原論
 CWDの病原論に関する情報は限定されている。経口投与実験では、CWDプリオンたん白質(PrPCWD)は、まず経口部及び腸管関連リンパ系組織で検知され、更に広くリンパ系に拡散し、最後に脳に到達する。しかし、ある種のオオジカでは咽頭後リンパ節及び扁桃においてPrPCWDが検知されていない。顕微鏡による検査では、組織の損傷の状態及び分布はスクレイピーと似ており、入手可能な情報からCWDの病原はスクレイピーに似ていることを示唆している。
6.英国のシカにおけるBSE
 限定されたサーベイランス結果によると、1996年の飼料規制強化以前にBSEにより汚染された飼料に暴露した可能性がある家畜及び野生のシカへのBSE感染は確認されていない。
7.ヒトへの健康影響
 CWDのヒトへの感染に関する疫学的情報は非常に少ない。米国におけるプリオン疾病に罹患した30歳以下の若者6人には、CWDに感染したシカ肉の摂取との関連性は確認されなかった。また、孤発型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と診断された54歳以上のハンター3人にも、CWDに感染したシカ肉の摂取との関連性は確認されなかった。
 SEACは、シカ肉の摂取によるヒトへのCWDの感染の証拠は確認できず、感染に関し高い種によるバリアが存在するらしいと結論付けた。
8.結論
 英国におけるCWDのヒト、牛、めん羊及び山羊への健康リスクは比較的小さいといえる。しかし、リスクを完全に除外できないため、監視は継続すべきである。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国海綿状脳症諮問委員会(SEAC)
情報源(報道) 英国海綿状脳症諮問委員会(SEAC)
URL http://www.seac.gov.uk/statements/state0706.htm
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