食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06540870535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、「母体の食事におけるシトリニンの潜在的リスクに関する第一次声明案」を公表 (前半1/2)
資料日付 2025年7月7日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は7月7日、2025年7月15日会合用の協議事項及び文書として、「母体の食事におけるシトリニンの潜在的リスクに関する第一次声明案」を公表した(TOX/2025/27、PDF版28ページ)。概要は以下のとおり。
《序説》
 栄養に関する科学諮問委員会(Scientific Advisory Committee on Nutrition(SACN))は前回の会合時、「母体、胎児、小児の栄養摂取が後の人生における慢性疾患の発症に与える影響(The influence of maternal, fetal and child nutrition on the development of chronic disease in later life、2011)」、及び、「生後1年間の栄養法(Feeding in the first year of life、2018)」に関するSACNの報告書において、子孫の健康と関連する母体の食事及び栄養摂取を検討している。後者の報告書では、母乳育児が母体の健康に与える影響も検討されている。2019年、SACNは、妊娠中・出産時・出産後24ヶ月までの母体の転帰に焦点を当て、栄養摂取及び母体の健康に関するリスク評価を実施することに合意した。これには、化学汚染物質や食事に含有される過剰栄養素の影響も含まれる可能性がある。
 SACNは、必要に応じて他の専門家委員会に諮問し、食品安全勧告の分野等の関連するリスク評価を完了するよう要請することに合意している。本テーマは、2020年1月の「食品、消費者製品及び環境中の化学物質の毒性に関する委員会(英国毒性委員会(COT))」の会合時に、ホライズン・スキャンニング項目にて最初に議論され、2020年7月にスコーピング・ペーパーがCOTに提出されている。当該ペーパーには、SACNが提案した化学物質類の暫定リストに関する背景情報が含まれていたが、当該暫定リストは、毒性学的リスク評価プロセスを主導するCOTの議論を経て変更される可能性がある点を指摘している(候補となる化学物質群や化学物質クラス群は、COTが適切と判断した場合には追加又は削除されることがある)。当該リストは、2020年9月に追加情報と共にCOTに戻され、2020年9月の会合における討議の結果、COTは、幾つかの化合物に関するペーパーを優先すべきであることに合意したが、これにはかび毒であるシトリニンが含まれている。
 COTは2024年10月の会合にて、母体の食事に含有されるシトリニンに関するディスカッション・ペーパー(TOX-2024-39)を検討している。COTは当該会合にて、2012年以降に公表された免疫毒性研究の追加を要請した。
 以下は、シトリニンへのばく露が母体の健康にリスクをもたらす否かに関するCOTの提言を提示するものであり、本声明案附属書Aには、母体の食事における潜在的リスクに関するCOTの結論が含まれる。前回のEFSAの科学的意見書(2012年)以降に公表されたシトリニンの免疫毒性に関する研究は、2024年10月の会合にてCOTが要請したものであり、附属書Bとして含め、本声明案にて概説されている。本項目(TOX/2025/16)は2025年3月のCOT会合に予定されていたものの、時間不足のため審議されなかった。
声明の本バージョンは、2025年3月の会合後に書面にて受理されたコメントに対応して改訂されたものである。
「TOX/2025/27 附属書A」
《背景》
 シトリニン(CIT)は、Aspergillus属・Penicillium属・Monascus属に属する数種の真菌類により産生されるマイコトキシンであり、一般に収穫後の保存条件下にて生成される。主として穀粒に発生するが、豆類・果実類・果実及び野菜のジュース類・ハーブ類・スパイス類等の植物由来の他の製品類、ならびに、腐敗した乳製品類にも発生することがある。
 実験データから、高度に汚染された飼料原材料を経口摂取した動物の食用組織や卵にCITが残留する可能性が示されている。しかしながら、2014年のトータルダイエットスタディ(TDS)では、食用動物由来製品においてCITは検出されなかったことから、本評価では、飼料から動物由来製品へのCITのキャリーオーバーに関し、これ以降検討しない。
 くわえて、CITは紅麹(red yeast rice(RYR)あるいはred mould rice(RMR))等のMonascus属真菌を用いた発酵製品に含有される望ましくない汚染物質である。RYRはアジア料理にて食品着色料や風味増強剤として利用され、血漿中トリグリセリド値・コレステロール値を低下させる効果を謳うサプリメントにも使用されている。2019年、「食用製品における特定の汚染物質に対する最大基準値を規定する欧州委員会規則(EC) No 1881/2006」において、RYR製剤中に含有されるCITの最大基準値(ML)は2,000 μg/kgから100 μg/kgに引き下げられた(欧州委員会規則(EU) 2019/1901による改正)。大半のRYRサプリメントの包装には以下の何れかの記載がある。
 a) 小児及び/又は妊婦・授乳婦には適さない
 b) 上記の集団は摂取前に総合医(GP)に相談することが推奨される
包装に警告が明記されていることから、本評価においてRYRサプリメントはこれ以降検討されない。

(後半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06540871535)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/First%20draft%20statement%20on%20the%20potential%20risk%20from%20citrinin%20in%20the%20maternal%20diet..