食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06470651149 |
タイトル | 欧州食品安全機関(EFSA)、RNAiベースの遺伝子組換え植物のリスク評価における考慮事項に関するガイダンスを公表 (後半2/2) |
資料日付 | 2025年3月21日 |
分類1 | - |
分類2 | - |
概要(記事) | (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06470650149) 2. 結果の検討方法に関する考慮事項 植物における潜在的オフターゲット遺伝子サイレンシングのリスク評価は、以下に基づくべきである。 ・ 同一の潜在的オフターゲット転写産物に対して有意な類似性を示す各々の低分子RNAの数。低分子RNAによる潜在的遺伝子抑制は、同一の転写産物に結合可能な低分子RNAの数と相関する。 ・ 複数回ヒットするオフターゲット転写産物は、評価において最重要の標的とすべきである。しかしながら、(人工miRNAの生産等)単一の低分子RNAが大量に生成されるGMPの申請では、転写産物内の単一のオフターゲット配列も妥当である場合がある。 ・ 潜在的オフターゲット遺伝子群の確立された機能又は予測される機能、及び、それらがGMP及び/又はその派生製品の食品/飼料としての安全性に及ぼす潜在的影響・環境に及ぼす潜在的影響 植物のオフターゲット転写産物解析の結果は、GMP上市申請の一環として収集される農学的/表現型及び成分組成に関する圃場試験データに照らして評価される。植物の潜在的オフターゲット転写産物が特定された場合、予測されるサイレンシング効果を調査するために、ケースバイケースで追加の実験データが必要となる場合がある。 〈形質の確証〉 施行規則(EU) No 503/2013附属IIセクション1.2.2.3では、申請者はインサートの発現に関する情報を提供しなければならない。より具体的には、申請者は「挿入された/改変された配列が、タンパク質、RNA及び/又は代謝物レベルにて意図した変化をもたらすか否かを実証すること」及び「インサートの性質から正当化される場合(サイレンシング・アプローチや生化学的経路が意図的に改変された場合等)、特定のRNA(群)又は代謝物(群)を分析すること」が要求される。施行規則(EU) No 503/2013の要件を満たすには、申請者は形質が観察されていることを確証する情報を提供する必要がある。これは、導入された形質及び短鎖RNAの種類(siRNAあるいはmiRNA)に応じて、ケースバイケースで評価される。さらに、後述するセクションに記載されるとおり、何等かの潜在的オフターゲット転写産物が特定された場合、追加情報が要求される場合がある。 数件のRNAiベースGMPの申請では、申請者は異なるGMP組織にて定量したdsRNA濃度を提供している。しかしながら、植物内在性のDicerタンパク質は、dsRNAの一部をsiRNAへとプロセスする可能性が高く、GMOパネルは「dsRNA濃度は植物に存在する活性siRNA濃度の適切な代理指標とはならない」と判断している。植物組織における短鎖ノンコーディングRNA(ncRNA)の測定を実現する技術(短鎖RNAシーケンス、QuantiGeneアッセイ、miRNAのステムループRT-qPCR等)は存在するものの、これらの分析に向けた最適な実験設計、すなわち、どの組織及びどの発生段階を分析すべきであるかは、依然として不明確である。RNAプールは変動が激しく、生物学的に関連性が認められるmiRNAやsiRNA濃度には明確な閾値がないことを考慮すると、このようなデータ解析は困難であると推測される。以上の理由から、さらに、後述する考慮事項を勘案し、短鎖ncRNAの正確な濃度に対しては、リスク評価において限定的な有用性しか期待できない。 〈ノンコーディングRNA(ncRNA)の安定性及びヒト/動物への影響〉 サイレンシングRNAを含め、ncRNAは、ヒトや動物の食事に遍在する構成成分である。一般的に、食事性のncRNAは、酵素活性(唾液や膵臓のRnase、消化酵素等)や消化管内腔の物理化学的条件(pH等)により、摂取後間もなく、速やかに変性、脱プリン化、分解される。さらに、障壁(粘液、細胞膜等)の存在により、消化管細胞によるncRNAの細胞内への取り込みは制限され、潜在的に内在化したncRNAは細胞内において急速に分解される。以上のことから、経口摂取後に取り込まれ吸収されるRNAの量は、ヒトや動物(哺乳類・鳥類・魚類)では無視できると判断されている。したがって、ncRNAが、経口投与後の消化管における安定性や細胞内への取り込みの向上を目的とする構造的修飾を含まない場合、短鎖ncRNAがヒト・哺乳類・鳥類・魚類に摂取された後に、生物学的効果を発揮する可能性は極めて低いと考えられる。この場合、ncRNAの安定性や運命に関するデータや毒性学的研究は要求されない。一方、評価対象のncRNAが、消化管における安定性や細胞内への取り込み、及び、経口投与後の全身吸収が高まるよう改変されている場合は、ケースバイケースで追加データが求められる可能性がある。 〈短鎖ncRNAの食事性ばく露〉 上述のとおり、一般的にncRNAは摂取後直ちに変性・脱プリン化・分解されることから、さらには、一般的な科学的コンセンサスとして、ncRNAがヒトや動物に摂取された後に何らかの生物学的影響を及ぼす可能性は極めて低いとされていることから、食事性ばく露評価を実施する必要はない。しかしながら、ncRNAが安定性向上に向け改変されている場合、そのような改変がncRNAへの食事性ばく露に与える影響を評価するために、ケースバイケースで追加データが要求されることがある。 《サポート情報》 植物内RNAiオフターゲット転写産物のin silico解析を実施するにあたり、申請者は、EFSAリポジトリにて入手可能なバイオインフォマティクス・スクリプトを文書と共に使用することが推奨される。 当該スクリプトはユーザーが任意の環境で実行することが可能であり、EFSAの如何なるデータベース・リポジトリ・システムにもリンクされていない。必要な入力(クエリー配列、トランスクリプトーム及び/又は他のターゲット配列)は、新規実行度にユーザーが挿入する。スクリプトは機密保持のため、インターネット経由で情報を送信することなくオフラインで解析を実行する。解析の結果(潜在的オフターゲット転写産物を分類・収載するリスト、及び、クエリー配列とそれらのアラインメントが含まれる構造化ファイル)は、申請者の所有物である。対応するドシエをEFSAに提出する際には、本スクリプトを用いて実行した解析結果は、要求される情報と共にドシエに含めるものとする。 |
地域 | 欧州 |
国・地方 | EU |
情報源(公的機関) | 欧州食品安全機関(EFSA) |
情報源(報道) | 欧州食品安全機関(EFSA) |
URL | https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/9321 |