食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06370080535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、缶詰食品の缶内部のコーティングに使用されるテトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル(TMBPF-DGE)の安全性評価書を公表 (1/3)
資料日付 2024年9月20日
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概要(記事) (この記事は 1 / 3 ページ目です)
 英国毒性委員会(COT)は9月20日、缶詰食品の缶内部のコーティングに使用されるテトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル(TMBPF-DGE)の安全性評価書を公表した。概要などは以下のとおり。
 概要
 テトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル(tetra-methyl bisphenol F diglycidyl ether (TMBPF-DGE))は、テトラメチルビスフェノールF(tetramethyl bisphenol F (TMBPF))とエピクロロヒドリン(epichlorohydrin)の反応から得られるモノおよびジグリシジルエーテル(mono- and diglycidyl ether)とTMBPF-DGEオリゴマーの混合物である。TMBPF-DGEはさらに加工されて、エポキシ樹脂と高分子分散体(polymer dispersion)を形成し、あらゆるタイプの食品(飲料を含む)と接触する缶詰食品の缶内部のコーティングの成分として使用される。
 TMBPF-DGEは、エポキシ(グリシジル)基(epoxy (glycidyl) group)を含むため、反応性がある。しかし、ポリマー骨格に組み込まれた塗布済み(硬化)コーティング(finished (cured) coating)では、反応性はごくわずかである。樹脂中に残存するTMBPF-DGE由来のエポキシ基が食品成分と反応する可能性はあるが、重合反応後は食品物質との相互作用は予想されない。
 ばく露の可能性を評価するため、TMBPF-DGEおよびその加水分解生成物の抽出と定量化を用いて、ワーストケースを想定したアプローチが適用された。アセトニトリル(acetonitrile)への移行はワーストケースのシナリオと考えられた。
 TMBPF-DGEへの食事性ばく露のワーストケースを推定する場合、製造工程中および軽金属缶にコーティング剤として塗布される際に形成する加水分解生成物および塩素化生成物を考慮する必要がある。したがって、すべてのTMBPF-DGEモノマー誘導体は、食事性ばく露評価に使用された総濃度に含められた。
 TMBPF-DGEはin vitroでは遺伝毒性を示したが、倍数体形成を誘発する可能性については不確実性が残るものの、in vivoでの変異原性または遺伝毒性については全体的に陰性であると考えられた。しかし、その他の毒性学的エンドポイントを考慮した場合、食品接触材料に関する合同専門家グループ(FCMJEG)とCOTの委員は、長期/慢性毒性試験の欠如やその他のデータベースの不備から、健康影響に基づく指標値(HBGV)を正式に決定することは適切ではないと考えた。入手可能な28日間の試験は有益ではあるが、長期/慢性試験のすべてのエンドポイントを含んでいるわけではなかった。
 全体として、入手可能なすべての情報を考慮しても、それらのデータからは、缶内部のコーティングへのTMBPF-DGEの使用について安全性の懸念は確認されなかった。したがって、委員会は、TMBPF-DGEの使用に制限を設ける科学的理由はないと判断した。
 序論
 2021年末頃、英国食品基準庁(FSA)の政策チームは、食品接触缶コーティング部門から、缶詰食品の缶内部のコーティングに使用されるTMBPF-DGEの適合性を評価するよう要請を受けた。
 欧州食品安全機関(EFSA)はTMBPF-DGEの評価を実施していなかったため、各国当局はTMBPF-DGEの安全性と缶コーティングのエポキシ樹脂としての使用を検討する必要があった。2022年、オランダ当局はオランダ商品法(Warenwet)の改正にTMBPF-DGEを盛り込み、特定の制限を条件として缶詰食品の缶内部のコーティング剤としての使用を許可した。相互承認の原則に従い、EU加盟国内で合法的に上市された商品は、北アイルランド(NI)で自由に上市できる。これはグレートブリテン(GB)には適用されず、GBは独自の結論を出さなければならない。TMBPF-DGEは、ビスフェノールA(BPA)に代わる缶コーティング剤として提案されており、すでにいくつかの世界的ブランドが、TMBPF-DGEベースのポリマーでコーティングした缶を欧州連合(EU)で販売している。そのため、TMBPF-DGEをGB市場で同様の条件下で使用することを認めるべきかどうかの決定が必要である。
 現在のところ、缶コーティング剤に含まれる物質の評価に関する法的枠組みがなく、ポジティブリストを作成・修正することもできないことから、TMBPF-DGEの適合性はFSA/スコットランド食品基準局(FSS)の規制製品承認プロセスの外で評価された。したがって、FSAの政策チームはTMBPF-DGEの正式な認可は想定していないが、リスク管理において最終的なリスク評価を考慮することになるであろう。その目的は、事業者の要件と期待(operator requirements and expectations)を適切に設定することである。
 TMBPF-DGEに関してFSAに提供された情報は、FCMJEG、COT、英国変異原性委員会(COM)の各専門家によって検討された。
 非毒性データの評価(項目のみ示す)
 ・物質の素性
 ・物理化学的性質
 ・食品接触材料(FCM)中における物質の性質
 ・移行
 ・移行するオリゴマーと反応生成物の定量と特定
 ・残留成分

(次ページの内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06370081535)
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Summary%20and%20Introduction