食品安全関係情報詳細
資料管理ID | syu06330761535 |
タイトル | 英国毒性委員会(COT)、「食品中のT-2及びHT-2マイコトキシンのリスク評価」を公表 (後半2/2) |
資料日付 | 2024年7月23日 |
分類1 | --未選択-- |
分類2 | --未選択-- |
概要(記事) | (前半の内容:https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu06330760535) 2. 序説 T2/HT2はA型トリコテセン類であり、様々なフザリウム属菌やその他の菌種により産生される。フザリウム属菌は収穫前の低温・高湿度の条件下にて繁殖し、作物に侵入して、T2/HT2を産生する。T2/HT2は主として穀粒において(検査されたサンプルの11 - 14%に汚染が検出される)、中でも、オート麦、大麦、小麦製品において検出される。T2/HT2の含有は、開花時期等の主要な繁殖段階の天候に左右され、年間の変動率が高い。 「発生」 一般的に、マイコトキシンの発生管理に向け農業生産工程管理が展開されているが、T2/HT2に関しては、気候/天候に大きく左右されることから、その有効性は証明されていない。同様に、信頼性の高い迅速検査は現在のところ利用可能となっていない。産業界による最近の評価では、LC-MS/MS法とCalibre/Charm Elisa半迅速法の間には高い変動が確認された。さらに、T2/HT2の迅速分析法は未だ検証されておらず、現場レベルにて当該毒素類を確実に検出し、低減することを困難にしている。FSA/スコットランド食品基準局(FSS)が実施したT2/HT2に関するデータ募集の文脈において、サイエンス及びエビデンスに基づく英国のオート麦供給に関するレビューがCOTの委員に提供された。未発表の当該レビューは、英国オート麦・大麦製粉業者協会(BOBMA)からFSAに提供されたものであり、COTの委員には機密扱にて提供されている。 2013年3月2日、欧州委員会勧告2013/165/EUは多種の商用品に対して指標値(indicative level)を設定した。これに法的拘束力はないが、リスクへの理解を深めるためのモニタリング・データ収集において、EU及び英国の産業界が利用している。EUはT2/HT2の問題を数年間にわたり検討した後、2023年に最大基準値を提案しており、2024年7月に発効予定である(訳注: 欧州委員会規則(EU) 2024/1038)。 現在までのところ、T2/HT2に対してCODEXで合意された最大基準値はなく、より地理的に代表的となるデータを収集し、JECFAがばく露評価の精度を向上させられるまで、CODEXにおいて何らかの作業が開始される可能性は低いと考えられる。 「トキシコキネティクス」 T2/HT2のトキシコキネティクスに関しては、JECFA(2001年)及びEFSA(2017年)がレビューしている。 要約すると、経口投与後の動物におけるT2/HT2のin vivo吸収に関する情報はほとんどない。トリチウム標識T2を雄ラットの小腸に直接投与した研究では、放射能の40 - 57%が胆汁及び血液中に検出された。これらの研究では、T2が僅かな量しか観察されなかったことから、T2は急速に腸管吸収される間に、その多くがHT2及び他の代謝物に加水分解されることが示唆される。 動物種に関わらず、T2の主要な代謝経路は、T2の4位の炭素における迅速な脱アセチル化であり、その結果として、HT2が形成される。 「毒性」 T2/HT2の毒性に関して、EFSA(2011、2017)、JECFA(2002、2016、2022)、欧州連合食品科学委員会(SCF)(2002)がレビューしている。全ての組織は、当該トリコテセン類が血液毒性、免疫毒性を有し、体重減少及び嘔吐を引き起こす点に同意している。これらの影響は、経皮毒性、発生・生殖毒性、神経毒性等の他の毒性よりも低用量で発生する。血液毒性はT2の深刻な慢性影響であり、その作用機序(MOA)は、タンパク質合成阻害、リボトキシック・ストレス(ribotoxic stress)誘発(MAPキナーゼによる情報伝達を刺激する反応)、アポトーシスである。ミンク及びブタが、トリコテセン類の毒性影響に最も感受性の高い種として同定されている。 3. 結論 急性リスク評価に基づき、英国の消費者に急性の健康上の懸念が提起される可能性は低い。食事全般に由来するT2/HT2への総急性ばく露量の平均推定値はARfD以下であり、データの不確実性を考慮すると、推定ばく露量の97.5パーセンタイルを超過しても、消費者に重大なリスクをもたらす可能性は低い。 同じ不確実性が慢性ばく露推定値にも適用されるが、T2/HT2への推定慢性ばく露は、平均摂取量において、特に高摂取量において、TDIを大幅に超過する。したがって、英国国民に対する健康上の懸念を完全に排除することはできない。 しかしながら、加工食品の総計を構成するサンプルサイズが極めて小さいため、代表的なサンプルではない可能性がある点に留意すべきである。 4. COTに検討を要請する事項 i) ばく露評価の不確実性を考慮した場合、以下に関わる健康リスクがあると考えるか ・ 表3に提示されているARfDの超過 ・ 表4に提示されているTDIの超過 ii) 年間傾向分析等、本リスク評価を証拠付ける追加情報あるいはデータ分析を望むか (注) 本文書はディスカッションを目的とする。COTの見解を示すものではなく、引用されるべきではない。 |
地域 | 欧州 |
国・地方 | 英国 |
情報源(公的機関) | 英国毒性委員会(COT) |
情報源(報道) | 英国毒性委員会(COT) |
URL | https://cot.food.gov.uk/Background%20-%20Risk%20Assessment%20of%20T-2%20and%20HT-2%20mycotoxins%20in%20Food |