研究情報詳細

評価案件ID cho99920110902
評価案件 ビスフェノールAによる神経発達毒性の新たな評価手法の開発(研究課題番号0902)
資料日付 2012年3月30日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
事業概要  妊娠期への微量の化学物質曝露による中枢神経系への影響を見逃さず検出し、その質と程度を明らかにするためには、個体レベルの現象を発達期の一点だけを見るのではなく、発達時系列的変化を捉えることができる評価手法を開発することが必要である。
 本研究では、低用量曝露によっての発達障害を引き起こすことが報告されているビスフェノールA(BPA)をモデル化学物質とし、脳の微細形態の発達形成とこれに及ぼす影響を捉える現象把握型のアプローチによる影響評価手法の構築を目的とした。神経細胞の微細形態を観察するため、神経細胞がまばらに光るThy-1XFPマウスの毒性実験への適用可能性を検討し、これを用いることでBPA曝露が発達期の大脳海馬における微細形態を変化させることを見出した。また子宮内電気穿孔法により新生ニューロン特異的に蛍光遺伝子を導入して可視化することで、大脳形成過程を評価する技術を毒性実験に適用し、BPA曝露により大脳皮質の神経細胞移動に異常が生じていることを見出した。
 さらに、微細形態解析で影響が検出された海馬各領域の遺伝子発現解析を行い、BPA毒性メカニズムに関わる候補遺伝子を絞り込むことができた。
 以上の結果から発達期のBPA低用量曝露は大脳の形成に異常をもたらす可能性があることが示された。個体レベルでの行動試験により得られた異常現象を微細形態レベルで理解するうえで基盤となる知見をうることができた。

(注)この報告書は、食品安全委員会の委託研究事業の成果について取りまとめたものです。
   本報告書で述べられている見解及び結論は研究者個人のものであり、食品安全委員会としての見解を示すものではありません。
事業名 食品健康影響評価技術研究
実施機関 食品安全委員会
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