食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06210570378
タイトル 欧州委員会(EC)、1月23日開催の農業・漁業理事会(AGRIFISH)の報告においてオーストリア、フランス、イタリアをはじめとする13か国から提出された培養/細胞ベース食品に関する文書を公表
資料日付 2024年1月30日
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概要(記事)  欧州委員会(EC)は、1月23日開催の農業・漁業理事会(AGRIFISH)の報告においてオーストリア、フランス、イタリアをはじめとする13か国から提出された培養/細胞ベース食品に関する文書(note)を公表した。概要は以下のとおり。
(以下、文書から抜粋)
・主題「高品質な農場ベースの一次食料生産を守ることに関する共通農業政策(CAP)の役割」
- チェコ、キプロス、ギリシャ、ハンガリー、ルクセンブルク、マルタ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スペインの代表団によって支持される、オーストリア、フランス、イタリアの代表団からの情報。
 新たな実験室培養食品(laboratory cultivated food)の生産の開発は、加盟国、欧州委員会(EC)、ステークホルダー、一般市民の間で徹底的に議論される必要がある多くの疑問を提起する。新食品に関する規則(EU) 2015/2283の規定により既に部分的に対処・考慮されている疑問も多くある(ヒトの健康に対する安全性上のリスクや消費者の誤解を避けるための特定の表示要件等)。これらの疑問は、我々が欧州において構築したいと考える未来の社会にとって不可欠なものであることから、実験室で培養される食肉(lab-grown meat)に特化した、欧州連合(EU)において再び始められる広範な議論の一部となるべきである。
 これらの疑問は、なかでも、以下のように多岐にわたる。
・倫理的疑問:EUはホルモン処理をした食肉やクローン動物から作られる食品の禁止を決定しているが、実験室で培養される食肉を許可する用意はあるのか? 細胞ベースの食肉(cell-based meat)生産は、動物のと殺(killing)を伴うとしても、畜産に代わるより動物に優しい手段と見なされ得るのか?
・経済的疑問:畜産及び農村地域の存続を我々はどのように保証するのか? 食品市場における独占や寡占の形成を我々はどのようにして防ぐのか? 食品部門における我々の戦略的自立を保証することが不可欠であることを再確認しつつ、新たな依存状態の出現を我々はどのように防ぐのか?
・持続可能性の問題:炭素貯蔵などのかけがえのない環境サービスを提供している農業不適地域や山岳地域を含め、草原や広範な農業慣行を、家畜なしで我々はどのように維持するのか? これらの実験室で培養する食肉生産技術の実際のカーボンフットプリントは如何程か?
・社会的疑問:本物(genuine)の食肉ベースの製品の購入可能な価格という点において、消費者の間で不平等が拡大しない状況の確保のために我々はどうするのか?
・公衆衛生上の懸念:消費者の健康リスクを回避するために、幹細胞技術の安全性を我々はどのように保証するのか?
・透明性の問題:製品が第三国で生産された場合を含め、消費者が製造方法を十分に認識することを我々はどのように保証するのか?
・法的側面:新食品に関する現在の規制は、予防原則を十分に考慮しつつ、これらの製品に関連する潜在的なリスクを評価するための適切かつ包括的な枠組みを提供しているか?
 上記の文脈において、我々は、細胞ベースの食肉生産に関するより広範なアプローチを求め、あらゆる上市認可の決定を下す前に、これらの疑問並びに加盟国及び欧州市民社会とともに行われる議論の結果を考慮することを求める。EUは、これまで細胞培養技術に基づいた動物製品の認可したことはない。したがって、人工的な細胞ベースの食肉生産の開発の評価にあたっては、透明性があり、科学に基づいた包括的なアプローチが必要であるが、我々の見解では、人工的な細胞ベースの食肉生産は、農場ベースの一次生産に代わる持続可能な手段とはならない。
 適切な法的枠組みとしての現在の規制に関する疑問はさておき、この再び始められる広範な議論の結果は、欧州食品安全機関(EFSA)の特化されたガイドラインをはじめとするいくつかの要素に基づくべきであり、当該ガイドラインは、とりわけ、新医薬品に対して現在規定されている評価の一定の側面に対処しなければならない。これには、前臨床及び臨床試験などが含まれ、EFSAの科学的意見表明にあたり安全基準として活用されると推測される。また、EUの消費者・市民の意見を含め、検討すべきすべての課題を考慮したECの包括的な影響評価も実施されるべきである。こうしたすべての段階を経て初めて、欧州理事会はEUにおける細胞ベースの食肉製品の未来について、政治的方向性に関する議論を行うことができるのである。
「事実に基づいた情報:グリーンウォッシング(※訳注)をなくす」
 現在、EU市場での細胞ベースの食肉提供に対する認可はなく、そういった新食品は上市認可前に、EFSAによる潜在的な健康リスクに関する評価を必要としている。さらに、実験室で培養された食肉は、家畜から生産される食肉より環境に優しい代替となるわけでも、より高い動物福祉基準を提供するわけでもない。初期の研究でも、実験室で培養される食肉の気候バランスは悪く、その製造工程は非常に大きなエネルギーを消費するものであり、本物の食肉と比較すると製造された食肉は1 kgあたり最大25倍のCO2換算量を発生することが示されている。我々はECに対し、科学に基づいた正確かつ独立した情報共有を確保し、欺瞞的なグリーンウォッシング・キャンペーンに対抗するよう求める。もしこの情報が、実験室で培養される食肉が環境、消費者の健康、農村地域、農家などに明確な利益をもたらさないことを示すのであれば、我々はEUにおけるこの新たな部門の発展を考慮する立場にないであろう。
「透明性の向上」
 我々は、あらゆる認可に先立ち、実験室で培養される食肉に関する真の包括的な公開協議を開始するようECに求める。さらに、食肉製品の定義に関するEU規則にも規定されている内容に基づくと、決して細胞ベースの製品を食肉と呼ぶことはできない。したがって、我々はECに対し、人工的に実験室で培養される製品が真正(authentic)の食品として宣伝されたり、本物の食品と混同されたりすることが決してないように求める。
「EUの戦略的自立及び食料主権への影響評価」
(略)
 当該意見書は以下のURLから閲覧可能(PDF、5ページ)。
https://data.consilium.europa.eu/doc/document/ST-5469-2024-INIT/en/pdf
※訳注:グリーンウォッシング(green washing)とは、実態を伴わずに環境配慮をしているように装うこと。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州委員会(EC)
情報源(報道) 欧州委員会(EC)
URL https://www.consilium.europa.eu/en/meetings/agrifish/2024/01/23/
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