食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06210460301
タイトル 論文紹介:「現場からの手記:熱波襲来時の重症のビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)感染症-米国東部3州、2023年7月~8月」
資料日付 2024年2月1日
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分類2 -
概要(記事)  MMWR(2024, 73(4):84-85、doi: 10.15585/mmwr.mm7304a3)に掲載された論文「現場からの手記:熱波襲来時の重症のビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)感染症-米国東部3州、2023年7月~8月(Notes from the Field: Severe Vibrio vulnificus Infections During Heat Waves - Three Eastern U.S. States, July-August 2023)、著者MJ Hughes (Division of Foodborne, Waterborne, and Environmental Diseases, National Center for Emerging and Zoonotic Infectious Diseases, CDC, 米国)ら」の概要は以下のとおり。
・イントロダクション
 ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)は水及び食品媒介病原体であり、河口域の環境に生息し、暖かい水域で増殖する。同細菌は、海水、汽水、又は生の魚介類への接触を介し、創傷部に感染する可能性がある。感染はまた生や加熱不十分な魚介類の喫食後にも起こる場合がある。米国では、年間150~200件のV. vulnificus感染症が米国疾病管理予防センター(CDC)に報告されており、そのうち約20%が致命的となる。2023年6月から8月にかけて、米国では広範に熱波が襲来し、平均を上回る海面水温の上昇が発生した。2023年7月から8月にかけて、米国東部3州(コネチカット州、ニューヨーク州及びノースカロライナ州)の公衆衛生当局は、沿岸海域や魚介類へのばく露に関連したV. vulnificus感染症の通知を受け、その多くが重症であり敗血症性ショックや死亡に至るものであった。本報告では、2023年の熱波におけるこれら3州の住民のV. vulnificus感染症について記載する。
・調査と結果(抜粋)
1. 症例の特徴
 2023年7月から8月にかけて、ノースカロライナ州(7人)、コネチカット州(2人)及びニューヨーク州(2人)の保健当局に11人のV. vulnificus感染患者が報告された。患者の年齢中央値は70歳(範囲:37~84歳)であった。7人の患者は男性であった。ノースカロライナ州の患者1人は追跡調査不能となった。情報が得られた10人の患者のうち、1人を除く全員が少なくとも1つの基礎疾患を有しており、多かったのは糖尿病(3人)、癌(3人)、心臓病(3人)、アルコール依存症歴(3人)、及び血液疾患(2人)であった。6人の患者が敗血症性ショック(4人)又は死亡(5人)に至った(3人は両方)。死亡した患者はすべて少なくとも1つの基礎疾患を有していた。
2. 可能性の高いV. vulnificusへのばく露経路
 2023年7月7日から8月22日までの期間における、米国大西洋沿岸での海水又は河口水への創傷部ばく露によるV. vulnificusの水媒介伝播が、6症例の最も可能性の高い感染経路であった。水媒介感染例はノースカロライナ州(3例)、ニューヨーク州(2例)、及びコネチカット州(1例)の住民の間で発生した。ノースカロライナ州住民の別の2症例は、食品調理中に生の魚介類を扱った際の手の傷へのばく露が原因であった可能性が高い。ばく露情報がある残り2例のうち、コネチカット州住民の1例は食品由来ばく露によるもので、同症例は他州での生牡蠣の喫食を報告し、関連する水や環境へのばく露は報告しなかった。残りの1例はノースカロライナ州の住民で、汽水への創傷部のばく露及び生牡蠣の喫食の両方を報告した。
・暫定的結論及び対策
 コネチカット州、ニューヨーク州及びノースカロライナ州の公衆衛生当局は、V. vulnificus感染症例を迅速に特定し、調査を開始した。3州すべての保健局がプレスリリースを発表し、V. vulnificus感染症について住民に情報提供を行い、CDCは健康勧告通知(Health Advisory Notice)を公表した。これらの症例の特筆すべき点は、その重篤な臨床転帰もさることながら、米国の記録的な熱波襲来後に発生したことである。7月から8月にかけて報告されたこれらの症例は、熱波のみに起因し得るものではないが、ビブリオ症の発生率とビブリオ属菌の増殖に好ましい環境条件(すなわち水面温度の上昇と低い塩濃度)の関係性は、十分に立証されている。ノースカロライナ州では2021年~2023年では年間10~13例の症例が報告された一方で、コネチカット州では2021年~2022年の全体でV. vulnificus感染症例は報告されておらず、ニューヨーク州では2021年に3例の報告、2022年には1例も報告されなかった。沿岸の水温が上昇するにつれて、V. vulnificus感染症はより多くなると予想される。汽水、塩水、及び生の魚介類と創傷部との接触を避け、牡蠣やその他の魚介類を喫食前に十分に加熱調理することで、疾病を予防することができる。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) MMWR(2024, 73(4):84-85)
URL https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/73/wr/mm7304a3.htm
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