食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06190660535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、「妊娠中にショウガサプリメントを使用する安全性に関する第2次声明草案」を公表
資料日付 2023年12月8日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は12月8日、2023年12月12日会合用の協議事項及び文書として、「妊娠中にショウガサプリメントを使用する安全性に関する第2次声明草案」を公表した(TOX/2023/60)。概要は以下のとおり。
1. 背景
 母親の食事に関する現在の作業プログラムの一環として、COTは、妊娠中のダイエタリー・サプリメントの使用を検討している。妊娠中に広く利用されるダイエタリー・サプリメントをレビューしたスコーピング・ペーパー(TOX/2020/51)が提示された。当該サプリメントは、関連管轄当局が公式に推奨する製品ではないが、事例的(anecdotal)エビデンスや非公式の情報源により、様々な利点があると謳われ推奨されているサプリメントである。当該レビューは、食品関連法の規制下にあり、かつ、医薬品・医療製品規制庁(MHRA)管轄下にある伝統的生薬(herbal medicine)とはみなされないハーブ系ダイエタリー・サプリメントに限定されている。当該レビュー公表後、COTは、ヒト・動物・in vitroデータが利用可能であることを指摘し、ショウガに関しては追加調査が必要である旨に同意した。
 文書TOX/2020/51には、妊娠中に最も高頻度にて推奨されているサプリメント(ショウガ、カモミール、ラズベリーリーフ、エキナセア、ペパーミントのオイル及び葉、タンポポ、月見草オイル)について詳細な要約が記載されており、利用可能な場合、妊婦及び母親における転帰と関連する研究に焦点を当てている。主な調査分野は、母親に対する一般的な毒性、胎児や胚の発育への影響、医薬品との相互作用の可能性であった。COTは、ショウガについては、ヒト及び動物におけるin vitro及びin vivoの双方のデータが入手可能であることを指摘し、さらなる調査が必要であると示唆した。
 2021年5月、COTは妊娠中・授乳中のショウガ及びショウガサプリメントの潜在的影響について検討している。文書TOX/2021/26では、母親への毒性、胎児や胚の発育への影響、薬物との相互作用の可能性、潜在的ばく露に関する入手可能なデータをレビューしている。
 最終的に、データは限定的であると結論された。提示されたヒトのデータは、毒性学的な懸念を強く示唆するものではなかったが、有害作用の可能性を示唆するものもあり、不確実性も高かった。ショウガに全身毒性はないと見られるが、高用量では生殖毒性作用があると見られる。COTは、動物データをさらに詳細に調査してPOD(point of departure)(無毒性量(NOAEL))を決定し、その後、サプリメントへの潜在的ばく露量を算出して、懸念すべき根拠があるか否かを判断するよう提案している。
 文書TOX/2021/51は、動物実験、汚染物質類、ショウガサプリメントへのばく露に関して追加情報を提供し、主として、プロスタグランジン類に対するショウガの影響、生殖・発達毒性、ショウガに含有される潜在的汚染物質類に焦点を当てている。
 COTは、多種にわたるショウガ抽出物が同等であるとは判断できないものの、妊娠初期に何らかの生物学的活性を示すと思われる点に留意した。ショウガの使用による普遍的な全身毒性の兆候はないことが再確認された。
 COTは当初、ショウガはサプリメントとしてのみならず、ショウガビスケット、ショウガ茶、ショウガビール等の食品に含有され、食事の一部として利用されることが指摘されたため、食料品中に含有されるショウガの摂取量も考慮する必要がある点に留意した。したがって、妊娠中にショウガサプリメントを使用する安全性に対処する際には、包括的なばく露を考慮する必要がある。
 本声明案では、シクロオキシゲナーゼ(COX)及びプロスタグランジン活性に対してショウガ成分が及ぼす潜在的影響について利用可能なデータベースに追加情報を提供するため、COTが新たに特定した研究が含まれる。検討された全ての研究の要約は、参照用として附属書Bに表示されている。
2. 結論
 ショウガはスパイスや風味料として世界中で広く利用されているが、免疫系を高める特性があるとされることから、さらには、乗り物酔い、術後の吐き気・嘔吐、妊娠に関連する吐き気の緩和を目的に、自然療法としての人気が高まっている。
 ショウガサプリメントは、乾燥根のカプセル錠からチンキ剤まで、ショウガ含有量の異なる多様な製品が市販されている。これらに加えて、大量のショウガを圧搾した濃縮ショウガショットの人気が高まっている。当該サプリメント類の成分組成には変動があるため、実際に摂取されるショウガの量には不確実性がある。
 研究の著者らは、観察された毒性の一部は抽出溶媒の性質により変動し、有機溶媒抽出物は水性抽出物より毒性が高く、毒性の異なる化合物が抽出されている可能性が示される旨を指摘している。したがって、個々の抽出物に関する研究から、包含される不確定性の全体像を把握できない可能性がある。
 総括して、COTは入手可能な情報に基づき、サプリメントとして使用されるショウガのリスク評価に適用するPODを決定することは不可能であると結論する。
 COTは、多様なショウガ抽出物を同等とは判断できないものの、妊娠初期に何らかの生物学的活性を示すと思われる点に留意した。一般的に、食品として食事に利用されるショウガに由来する全身毒性を示す兆候は見られない点を強調する。
 妊娠中のショウガの使用に関しては、安全性情報及び毒性学的情報が不足しており、この点に関し、リスクの完全な特性決定は困難である。COTは、ショウガが生殖に及ぼす潜在的影響に関しては、曖昧なエビデンスも一部存在するが、利用可能なデータに基づいた特性決定は不可能である点に留意する。
 さらに、摂取量データは出産適齢期の女性に基づいており、母親の食事を代表するものではない可能性があり、実際のばく露量が過小評価/過大評価される可能性がある。
 ショウガが妊婦に有害であることを明確に示す兆候はない。一般的に、食事において日常的に摂取される量のショウガは、健康上の懸念とはみなされない。COTはまた、提示されたエビデンスから、重金属及び/又はマイコトキシンによりショウガが汚染されている可能性を排除することはできない点に留意する。
3. COTに検討を要請する質問
 i. 提供された追加情報は、本声明の最終結論を変更するか。
 ii. COTは、本声明の内容及び構成について、何かコメントはあるか。
 (注) 本文書はディスカッションを目的とする。COTの見解を示すものではなく、引用されるべきではない。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Introduction%20-%20Second%20Draft%20Statement%20on%20the%20Safety%20of%20Ginger%20Supplement%20use%20in%20Pregnancy
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