食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06190120149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、マンガンに対する耐容上限摂取量(UL)に関する科学的意見書の平易な言葉による要約を公表
資料日付 2023年12月8日
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概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は12月8日、マンガンに対する耐容上限摂取量(UL)に関する科学的意見書の平易な言葉による要約(3ページ)を公表した。
1.科学的意見書の背景
(1)リスク管理者は、特にフードサプリメント中や食品の栄養強化用に認められる最大レベルを設定するために栄養素の安全性に関する助言を必要とする。
(2)栄養素に関して、摂取量の閾値を越えなければ有害影響のリスクはないことが要求される。この閾値の特定はULを設定する基準として使用される。
(3)過剰なマンガンの食事摂取量は神経毒性等の有害健康影響に繋がる可能性がある。
(4)2000年、食品科学委員会(Scientific Committee on Food (SCF))は、ヒトにおける利用可能なエビデンスが限られ、動物試験からの無毒性量(NOAEL)がなかったため、マンガンに対するULを設定できなかった。しかしながら、SCFは、食品及び飲料中に通常存在する量を上回るマンガンへの経口ばく露は有害健康影響のリスクになる可能性があると結論した。
2.EFSAは何をするよう要請されたか。
(1)欧州委員会は、新たに利用可能なエビデンスに基づき、SCFの科学的意見書のレビューを要請した。
(2)マンガンに対するULを特定するためのデータが不十分である場合、EFSAは、「安全摂取量(safe level of intake)」とする「一般集団において有害影響のリスクを及ぼさないとEFSAが明確に結論できる最大量」すなわち「安全摂取量(safe level of intake)」に関する助言を行うよう要請された。
(3)ULも安全摂取量も、過剰な栄養摂取に関連する潜在的な有害影響に対して消費者を保護することを目的にする。その違いは、それらの値が設定される方法が異なることに関連する。
(4)ULとは対照的に、安全摂取量は、有害摂取のリスクが増大し始める特定の摂取量の閾値に基づかない。
(5)安全摂取量を上回る摂取量は必ずしも有害影響のリスクがあることを意味しない。
(6)安全摂取量は、有害影響のリスクがある集団の割合を特性評価するためには使用できない。
3.EFSAはこの評価をどのように行ったのか。
(1)EFSAは、過剰なマンガン摂取に関するエビデンスを評価するために、ヒト及び動物に関するデータの系統的文献レビューを実施した。
(2)EFSAの「栄養、新食品及び食物アレルゲンに関する科学パネル(NDAパネル)」のガイダンス(NDA、2022)に準拠し、以下の質問に対応した。
①ヒトに対し有害健康影響のリスクを及ぼさないと考えられる(全供給源からの)マンガンの慢性の総一日摂取量の最大レベル
②EU集団における全ての食物源からのマンガンの一日摂取量
③付随する不確実性を含めた、EU集団におけるマンガンの摂取に関連する有害影響のリスクの大きさ
(3)以下の概要を説明するためにエビデンスがレビューされた。
①マンガンの吸収、分布、代謝、排泄(ADME)
②マンガンへのばく露のバイオマーカー(※訳注)
③マンガンの神経毒性
④その他の有害健康影響
(4)EFSAの包括的欧州食品摂取データベースを使用し、自然の供給源からのマンガンの摂取量が推定され、全国食品消費調査報告書から、フードサプリメントと栄養強化食品からのマンガンの摂取量に関するデータが収集された。
4.制約/不確実性は何か。
(1)神経毒性は過剰なマンガンばく露の十分に確立された有害影響である。しかしながら、動物及びヒト両方において、神経毒性のリスクの増大に関連する重大な摂取量を特定するデータはない。
(2)ヒトの試験に関し、
①ほとんどのエビデンスは、(通常はマンガンへの総食事性ばく露のうち比較的小さい部分を占める) 飲料水中のマンガンの濃度と神経学的有害影響との間の関係を示した。
②マンガンへの総食事性ばく露と神経学的有害影響との間の関係を調査した試験は少ない。
③方法論的な制約のため、堅牢な(robust)結論は導出できなかった。
(3)動物試験に関し、
①ほとんどの試験は、マンガンへの食事性ばく露と神経学的影響との間の用量反応関係を調査するために設計されていなかった。
②したがって、これらの試験はヒトにおけるマンガンのULの特定に使用することには適していない。
5.評価結果とそれらが意味することは何か。
(1)利用可能な試験から得られるデータは、リファレンスポイント(reference point)を特定するためにはまだ十分ではなく、マンガンに対するULは設定できなかった。
(2)したがってEFSAは、欧州集団におけるマンガンの摂取が多い消費者の観察された摂取データに基づき安全摂取量を設定した。
(3)これらの安全摂取量は、 
 ①成人(妊婦及び授乳中の女性を含む)に関し8 mg/日
 ②その他の集団グループに関し2~7 mg/日
(4)これらのレベルは、水、栄養強化食品及びサプリメントを含む全ての食物源からの全てのマンガン摂取量を指す。
(5)マンガンに対して設定された安全摂取量は、保守的な(conservative)アプローチに基づいており、マンガンのULを特定するために適したデータが利用可能になるまで適切であると考えられる。
(6)自然の供給源からのマンガン摂取が高い消費者に関して、その他の供給源(栄養強化食品及び(又は)フードサプリメント等)からのマンガンの追加的な摂取に関連する有害影響の潜在的リスクはまだ不明である。
6.主な勧告事項は何か。
(1)政策立案者及びリスク管理者に対する勧告事項
 様々な年齢グループに対し「安全」と考えられる摂取量に関するガイダンスを提供するために、リスク管理者はULの代わりに安全摂取量を使用する必要がある。
(2)研究者グループに対する勧告事項
 ①マンガンに対するULの特定につながる可能性があるさらなる調査と研究が必要ないくつかのデータギャップが特定された。
  ②マンガンに対するばく露の信頼できるバイオマーカーの設定
  ③ヒトの集団におけるマンガンの総摂取(全ての食物源からの)と有害影響との関係の研究
④ヒトにおけるマンガンに対するULを導出するために使用可能な適切な動物の毒性試験
(※訳注)ばく露のバイオマーカー: 体内で、又は体からの排泄後に測定可能で、物質への生物のばく露を測定するために使用される化合物又は化学的代謝物
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/plain-language-summary/scientific-opinion-tolerable-upper-intake-level-manganese
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
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