食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05970240475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、仏領アンティル諸島におけるクロルデコン(Chlordecone)ばく露に関連する健康リスクの再評価に関する意見書を公表
資料日付 2022年12月6日
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は12月6日、仏領アンティル諸島におけるクロルデコン(Chlordecone)ばく露に関連する健康リスクの再評価に関する意見書を公表した。概要は以下のとおり。
1. クロルデコンへの過剰ばく露のリスク
 2021年、ANSESは最新の毒性学的疫学研究に照らして、クロルデコンの外部(食品)健康影響基準値(valeur sanitaire de reference)を見直し、また、内部(血中)基準値を設定した。
 本日公表された評価報告書で、専門家はこれらの値を、Kannari調査 (2013年~2014年)(※訳注: 仏領アンティル諸島における健康、栄養、クロルデコンばく露調査)のchlordeconemie(血中クロルデコン濃度データ)及び食事性ばく露のデータと比較した。その結果、仏領アンティル諸島の一部住民にクロルデコンへの過剰ばく露のリスクがあることが判明した。
 クロルデコンへの過剰ばく露を回避するために、ANSESは2007年の意見書で、管理下にない流通経路からの特定の食品の摂取を制限する3つの勧告を表明した。当該勧告事項の概要を以下に示す。
・短絡流通からの水産物の摂取を週4回に制限すること(レジャーとしての釣り、自給自足のための漁や沿道での購入)。
・県令が定める漁業禁止区域由来の淡水水産物を摂取しないこと。
・汚染されているとみなされる区域の家庭菜園由来の根菜類の摂取を週2回に制限すること。
 ANSESは今回の評価報告書で、これらの3つの勧告事項全てを遵守することにより、ばく露されている住民が、2021年設定の外部健康影響基準値を超えるリスクを大幅に低減することができると結論した。また、住民の大半がすでに勧告事項を適用しており、勧告事項が仏領アンティル諸島の食慣行と一致していることも分かった。したがって、ANSESは、これらの摂取制限が住民の健康リスクを抑えるための可能かつ有効な手段であることを確認した。
2. 家庭で生産した食品(特に卵)の汚染の管理
 評価報告書により、汚染されているとみなされる区域の家庭で生産された卵を摂取することが、クロルデコンばく露に大きく寄与していることも明らかになった。したがって、ANSESは、グアドループ・マルティニーク地域圏保健庁が主導する家庭菜園プログラム(JAFA)への参加と利用の強化を勧告する。同プログラムは、土壌のクロルデコン濃度を確認し、家庭菜園に適応した飼育方法について個別の助言を提供できる。汚染された土壌から可能な限り家畜を離すこと、及び、汚染されていない食餌を与えることは、優先すべき実践の一部である。
3. クロルデコンばく露を低減する他の手段の特定に必要な新たなデータ
 評価報告書は、2013年~2014年に実施されたKannari調査のデータに基づいている。また、管理下にある流通経路からの食品の汚染結果に関する最新のデータも統合している。一方、ANSESは、摂取習慣及び管理下にない流通経路からの食品の汚染に関する新しいデータの欠如を強調している。
 現在、新たな調査が進められており、これにより最新の補完的なデータが得られる予定である。2021年初頭にANSESが開始したChlorExpo調査は、食品の調達、調理、加熱調理の習慣に関する現場のデータの取得を目的としている。本調査により、仏領アンティル諸島住民のクロルデコンばく露を継続的に低減するための実際的な勧告を表明することが可能になる。また、フランス公衆衛生局が近く開始するバイオモニタリング調査Kannari 2により、体内負荷量のデータに基づくリスク評価の更新が可能になる。
 最後にANSESは、仏領アンティル諸島住民の保護措置を適合させ、補完するため、ばく露の調査範囲をクロルデコン以外の他の化学汚染物質に拡大するよう勧告する。
4. 数字で見る評価結果
・グアドループ諸島の成人人口の14%、マルティニーク島の成人人口の25%が、慢性内部毒性学的参照値(toxicological reference value: TRV)を超過している。慢性内部TRVは、chlordeconemie(血中クロルデコン濃度)に基づいている。ANSESは2021年に初めてこの値を血漿1リットルあたり0.4マイクログラムと定めた(この閾値は当該集団レベルでのchlordeconemieを解釈するのに使用される)。
・仏領アンティル諸島の人口の2%~12%が慢性外部TRVを超えている。慢性外部TRVは、食事性ばく露に関わるものであり、0.17マイクログラム/kg体重/日と定められている。
・汚染されているとみなされる区域に居住するヒトは、非汚染区域に居住するヒトよりもTRVの超過率が高くなっている。
 当該意見書(110ページ、フランス語)は以下のURLから閲覧可能。
https://www.anses.fr/fr/system/files/ERCA2018SA0166.pdf
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL https://www.anses.fr/fr/chlordecone-antilles-aliments-risques-2022
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