食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05960650535
タイトル 英国毒性委員会(COT)、ウコン及びクルクミン含有サプリメントがヒトの健康に及ぼす潜在的リスクに関する第2声明草案を公表
資料日付 2022年12月6日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  英国毒性委員会(COT)は12月6日、ウコン(turmeric)及びクルクミン含有サプリメントがヒトの健康に及ぼす潜在的リスクに関し、第2声明草案(TOX/2022/68)を公表した(PDF版49ページ)。概要は以下のとおり。
1. 背景
 食品基準庁(FSA)は、生ウコン、ウコン粉末、及び、ウコン含有サプリメントの摂取と関連する事例を監視している。当該事例に照らし、さらには、上記商品の成分組成及び汚染の可能性を取り巻く不確実性から、COTは、サプリメントを含め多様な形態にあるウコン及びその二次活性代謝産物であるクルクミノイドによるヒトの健康へのリスクに関し、意見を要請された。
 2022年7月のディスカッション・ペーパーの議論では、ミセル製剤、ナノ製剤、マイクロ製剤等、他の「新たな」種類のサプリメントについては、薬物動態やそれらの形態が活性化学物質(クルクミノイド等)のバイオアベイラビリティに及ぼす影響に関し、さらに詳細に検討する必要がある旨強調した。この件に関しては、独自のトピックとして、将来的に新たなディスカッション ペーパーを作成することが決定されている。
 附属書Aとして提示される本声明草案では、食品に含有されるウコンの摂取に関して、及び、「従来の」サプリメントとして、即ち、アジュバント化合物であるピペリン含有あるいは非含有のクルクミノイド/オレオレジン抽出物であるサプリメントの摂取に関して、2019年から現在までのCOTの議論及び結論が総括される。
 本第2声明草案には、2022年10月にCOTが公表した第1声明草案に、最近検討した結果提案された変更、及び、文言の修正が加えられた。文言の変更は主として、潜在的な特異体質反応に関連する。さらに、COTミーティング後に受理した議長からのコメントに由来する修正も含まれる。
2. 概要及び結論
 ウコンは、世界の熱帯及び亜熱帯地域にて栽培される多年生草本であるCurcuma longa L.の根茎(地下茎)の慣用名である。
 クルクミン(E 100)は、EUにて食品添加物として認可されているウコンから得られるジシンナモイルメタン色素であり、FAO/WHO食品添加物専門家会議(JECFA)、食品科学委員会(SCF)、及び、欧州食品安全機関(EFSA)により評価されている。2004年のJECFAによる生殖毒性研究に基づき、許容一日摂取量(ADI)・0 - 3 mg/kg体重が設定されており、2010年、EFSAの評価にて確認された。
 生の状態、粉末状、あるいはサプリメントの形態におけるウコン及び/又はクルクミンの摂取は、健康上のベネフィットが謳われ、人気が高まっている。
 クルクミンのバイオアベイラビリティは低い。しかしながら、サプリメントにおいては、化学合成されたクルクミンや化学修飾されたクルクミンがバイオアベイラビリティ向上を目的に使用されることがあり、その結果として、クルクミンの毒性プロファイルが変化する可能性がある。多くのサプリメントでは、ピペリンがクルクミノイドのバイオアベイラビリティを改善すると主張されているが、不確実性が高く疑念がある。2021年に調査されたサプリメント15種のうち、10種にピペリンが含有されており、内6種では1%超の濃度にて含有されていた。
 食品添加物あるいは香辛料として使用され、食事の一部としてウコン/クルクミンを摂取する場合、ばく露量は、通常、食事性ADIを下回る。しかしながら、健康上のベネフィットが謳われていることから大量摂取した場合、あるいは、サプリメントとして大量摂取した場合は、ADIを超過する可能性がある。サプリメント15種を対象とした最近のクルクミノイド調査から、ラベル記載の推奨用量に従い摂取すると、2種においてADIを超過するばく露量となることが明らかとなった。ラベル記載の推奨に基づき摂取した場合、上記の食事性ADIを僅かに超過する可能性はあるが、摂取した集団に重大なリスクをもたらすことはないと結論される。
 COTは、最近公表された肝毒性の報告に関して入手可能な全データをレビューし、以下のとおり結論する。入手可能なデータは限定的ではあるが、効果が投与時に発生し、除去後に消失することから、ウコン摂取と確認された効果の関連について合理的なエビデンスが存在する。症状は、特異体質反応(idiosyncratic reaction)と一致する。最近報告された肝毒性症例の原因として、汚染物質(重金属等)混入の可能性は低い。
 稀な事例ではあるが、サプリメントに含有される程度のウコンを摂取すると、たとえ低濃度(即ち、ADI未満のばく露)であっても、特異体質反応から、肝臓に悪影響を与えるリスクが生じ得る。当該反応を発症し易い摂取者は、遺伝的に感受性が高い可能性があり、HLA-B*35:01対立遺伝子を有するケース等が挙げられる。しかしながら、摂取者が、サプリメント摂取前に自己の感受性を認識している可能性は極めて低いと考えられ、このようなサプリメントの使用に関するガイダンスを提示する際には、予期せぬ特異体質反応の可能性を考慮する必要がある。
 COTは、ADIの大幅な超過は、ヒトに対して潜在的な健康リスクとなる点に同意する。中でも、他の医薬品を併用している場合や、肝胆機能が変化している摂取者に対するリスクは高くなる。
 ミセル製剤、ナノ製剤、マイクロ製剤等、他の「新たな(novel)」種類のサプリメントは、薬物動態に関してさらに詳細に評価する必要があり、そのためには、上記の製剤の形態がクルクミノイドのバイオアベイラビリティに及ぼす影響について評価を進める必要がある。この領域が最大の懸念となっている。上記の製剤が、現在サプリメント市場におい占める割合は僅かに過ぎないと推測されるものの、将来的に人気が高まる可能性があり、これらの製剤に関する詳細な評価が必要となる。
地域 欧州
国・地方 英国
情報源(公的機関) 英国毒性委員会(COT)
情報源(報道) 英国毒性委員会(COT)
URL https://cot.food.gov.uk/Turmeric_Curcumin_Second_draft_statement
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