食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05880370301
タイトル 論文紹介:「現場からの手記:ネブラスカ州で2022年に発生した機械分離鶏肉(mechanically separated chicken)を使用する刑務所におけるSalmonella Enteritidis集団感染」
資料日付 2022年7月15日
分類1 --未選択--
分類2 --未選択--
概要(記事)  MMWR(2022
, 71(28):908-909、doi:10.15585/mmwr.mm7128a4)に掲載された論文「現場からの手記:ネブラスカ州で2022年に発生した機械分離鶏肉(mechanically separated chicken)を使用する刑務所におけるSalmonella Enteritidis集団感染(Notes from the Field: Outbreak of Salmonella Enteritidis at a Correctional Facility Using Mechanically Separated Chicken-Nebraska
, 2022)、著者SJ Oppegard (Nebraska Department of Health and Human Services
, 米国)ら」の内容は以下のとおり。
 2022年1月14日、ネブラスカ州Lincoln-Lancaster郡の衛生局(LLCHD)は、同州の保健福祉局(NDHHS)に対し、刑務所(施設A)の収監者におけるサルモネラ属菌による検査確定症例2例を届け出た。集団感染の原因の特定及び勧告作成のため、LLCHDはNDHHSと協力して調査を開始した。調査により、機械分離鶏肉の摂取と疾病の関連が示された。機械分離鶏肉は、鶏肉加工施設において加圧下で骨及び軟骨から可食鶏肉を分離することにより製造されるもので、その手頃な価格から、刑務所等の施設用にしばしば購入される。
 施設Aの職員は約100名の収監者が数日の間に胃腸症状を訴えたと報告したが、職員の疾病は報告されなかった。LLCHDは罹患した収監者に対する自由回答の聞き取り調査を行った。当該施設では同時にCOVID-19の集団発生が生じており、聞き取り調査のための収監者との接触が制限されていたため、当該調査で特定された症例以外にも、聞き取り調査や検査を受けていない収監者の中に更なる症例が存在していた可能性が高い。他者への伝播リスクのため、食品を取扱う役務に指名された収監者への聞き取り調査が優先され、検査を受けていない収監者は施設Aの医療スタッフを通して治療を受けることができた。当該施設の収監者で2022年1月9日から11日までの間に下痢、胃痙攣、又は嘔吐を発症した者で陽性の糞便検査の結果を有しない者を推定例と定義し、臨床検体から分離されたSalmonella属菌血清型Enteritidis株がcgMLST解析により当該集団感染株と極めて近縁(3アレル以内)であった者を確定症例と定義した。LLCHDは2022年1月15日に環境の評価を実施した。食品取扱者のリスト、1月の食事メニュー及び温度の記録の提出が求められた。この環境の評価において、2022年1月8日の食事の調理に使用されたものと同時に仕入れられた未使用の50ポンドの箱にあった未開封の生の機械分離鶏肉の検体が検査のために採取された。
 5例の確定症例及び10例の推定症例から成る合計15例のS. Enteritidis感染例が特定された。患者の年齢中央値は39歳(範囲:24~62歳)、93%が男性で、2名の患者が入院した。症例15例全員が食品作業者であり、生の機械分離鶏肉製品を材料に調理されたチリコンカルネ(chili)を喫食したと報告した。
 集団感染株と遺伝的に一致したS. Enteritidisが生の機械分離鶏肉検体から分離された。米国農務省の食品安全検査局(USDA-FSIS)は、NDHHSから当該集団感染に関連する鶏肉製品についての通知を受けた。しかし、サルモネラ属菌は鶏肉製品に一般に存在し、安全な標準的加熱調理慣行で通常死滅するため、同細菌は生鶏肉製品における不純物(adulterants)とみなされていないため、規制措置は講じられなかった。
 環境の評価では、機械分離鶏肉に関する不完全な解凍及び加熱調理工程で潜在的な食品安全上のリスクが特定された。質的聞き取り調査では、加熱調理時に機械分離鶏肉が時折凍ったままであったり、一部が凍っていたりしていたことが明らかにされた。この調理工程はLLCHDのフォローアップ現地訪問調査時にも確認された。調理温度が定常的には監視されないまま調理が行われており、LLCHDは当該機械分離鶏肉製品が提供前に安全な内部温度に達していたかどうかを確認することができなかった。
 LLCHDは施設Aに対し集団食中毒の予防に関する勧告を行った。この勧告には、病気の作業者を食品の調理に就かせないようにするための方針、冷蔵下での機械分離鶏肉の解凍時間の延長、調理温度の定常的な監視及び記録、食品安全リスクを低減するために調理量を少なくする調整が含まれる。LLCHDは施設管理者と協力し、新たな方針及び食品安全慣行手順の実施を進めた。
 S. Enteritidisによる当該集団感染は、機械分離鶏肉と基準から外れた加熱調理工程に関連していた。機械分離鶏肉製品は定常的にUSDAにより検査されており、2013年6月1日から2014年12月31日までの期間に検体採取及び検査が行われた検体において、そのサルモネラ属菌汚染率は鶏ひき肉(39.0%)及びその他の鶏ひき肉製品(41.7%)よりも高い(82.9%)ものであった。機械分離鶏肉は通常、ホットドッグなどの他の加工肉製品の原料として使用され、これらは確実に安全な内部温度に達するよう加熱処理される。過去に発生した一州内でのサルモネラ症集団発生及び複数州にわたる集団発生のいくつかは、刑務所における感染源として機械分離鶏肉が関わっていた。特定の場所で食事をする義務があり、何を食べるかの選択が限定されている者は、その健康を確保するための社会的責任及びその施設の食品安全手順に依存している。影響を受けやすい集団や施設における食品取扱及び加工・調理のリスクを低減するためには、以下の2点の行動が必要である。1)家きん製品に関する汚染閾値の法的要件がない場合、汚染率がより低い家きん製品を提供すること、2)食品安全要件を満たす解凍、加熱調理及び冷却工程を保証するための予防的食品安全管理システムを導入すること。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) MMWR (2022 71(28):908-909、doi:10.15585/mmwr.mm7128a4)
URL https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7128a4.htm
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