食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05530190149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、プロポキスルに関する毒性学的特性及び最大残留基準値(MRL)に関する理由を付した意見書を公表
資料日付 2021年1月18日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は1月18日、プロポキスル(propoxur)に関する毒性学的特性及び最大残留基準値(MRL)に関する理由を付した意見書(2020年12月7日承認、16ページ、doi: 10.2903/j.efsa.2021.6374)を公表した。概要は以下のとおり。
 EFSAは2020年5月、欧州議会及び理事会規則(EC) No396/2005第43条の規定に従って、欧州委員会からプロポキスルに関する毒性学的特性及びMRLに関する理由を付した意見書を提出するよう要請を受けた。特にEFSAは、カナダ保健省(Health Canada)により実施された毒性学的評価に基づき、プロポキスルの毒性学的特性を評価し毒性学的参照値を導出するよう要請された。EFSAはまた、植物及び動物中のプロポキスルの代謝に関するEU加盟国及び英国により提供された情報をレビューするよう要請された。農薬の残留物に関するEUのリファレンスラボラトリー(EURL)からの情報に基づき、様々な食品中のプロポキスルに関する達成可能な検出限界(LOD)、定量限界(LOQ)が報告されなければならない。EFSAはまた、加盟国レベルで現行のEUのMRLの起源に関して利用可能な情報を考慮して、インポートトレランスとしてプロポキスルに関する現行のMRLが維持されるべきかを特定するよう要請された。もし毒性学的参照値が導出できるならば、可能な場合にEFSAにより提案されるMRL又は達成可能なLOQが欧州の消費者にとって安全であることを確認するために、慢性及び急性リスク評価が実施されるべきである。
 プロポキスルは過去にEUにおいて植物保護製剤中に使用されたが、欧州理事会指令91/414/EECにおいても欧州議会及び理事会規則(EC) No 1107/2009においても評価されず認可されなかった。2002年、当該有効成分を認可しないとする決定が下された。EUのMRLは欧州理事会指令86/362/EEC、指令86/363/EEC及び指令90/642/EECの下で設定され、その後規則(EC) No 396/2005付属書II及びIII Bに引き継がれた。LOQよりも大きなMRLがいくつかの作物に対して設定されている。これらのMRLの起源はMRL規則では報告されていない。
 プロポキスルはEUにおいてピアレビューを受けたことがないため、EUが合意した参照値は利用できない。EFSAは、指令91/414/EECの発効以前に加盟国に提出された元になる試験的な毒性学的実験を入手できない。EFSAはカナダにおける農薬規制に責任を持つ管理当局(カナダ保健省)に提出された書類を入手できない。したがって、EFSAはカナダ保健省により作成されたプロポキスルのに関する要約評価書を評価したが、その評価書では、プロポキスルに対して、0.0005mg/kg体重/日の許容一日摂取量(ADI)及び0.0005mg/kg体重の急性参照用量(ARfD)の設定が提案された。加盟国及び英国との協議の後、EFSAは要約評価に記載された情報は、プロポキスルに関する摂食リスク評価に使用されるべき参照値を設定し、カナダの管理当局により設定された参照値を確認するには不十分であり不完全であると結論付けた。
 EFSAは加盟国及び英国に対して、インポートトレランスの設定のために国のレベルで過去に評価されたプロポキスルの用途に関する情報及び裏付けデータ(第三国における農業生産工程管理(GAP)、残留物試験、植物及び動物製品中のプロポキスルの代謝に関する情報等)を共有するよう要請した。EFSAに対してプロポキスルの用途は報告されなかったため、プロポキスルに関する現行のMRLはおそらくインポートトレランスの申請に対応して設定されなかったと結論される。プロポキスルはEU内で植物保護製剤中の使用向けに認可されていないこと、及びコーデックス委員会によりMRLが設定されていないことを考慮して、現行のEUのMRLは全てLOQまで引き下げるべきである。
 植物及び家畜中のプロポキスルの代謝経路を明らかにする情報は加盟国及び英国により提供されなかった。したがってEFSAは、1973年及び1983年に国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)合同残留農薬専門家会議(JMPR)により実施された評価をレビューした。JMPRにより評価された植物及び家畜中の残留物の性質に関する情報は、親化合物がプロポキスルの使用を検出する適切なマーカーであるとのいくつかのエビデンスを提供した。親化合物のプロポキスルに加えて、2-ヒドロキシフェニル-N-メチルカルバメート(2-hydroxyphenyl-N-methylcarbamate)(遊離体及び抱合体)が植物中の主要な代謝物として特定された。リスク管理者は、EURLへの追加の負担になることを認めて、監視計画においてプロポキスルの残留物の存在量の管理を強化するために、規制のための残留物の定義にこの代謝物を含めることを検討すべきかもしれない。全体として、JMPRの評価書で報告された詳細のレベルは限られており、試験の質は現行の科学的基準を満たさない。したがって、適切な残留物の定義に関する勧告は不確実性により影響を受ける。
 EURLによれば、プロポキスルの残留物は植物及び動物由来の製品中で0.01mg/kg以上のLOQで分析可能である。
 毒性学的参照値がないため、LOQで設定されたMRLの安全性に関して確定的な結論を導出することはできない。しかしながら逆計算により、EFSAはプロポキスルに関するADI及びARfDが各々0.00124mg/kg体重/日、0.0015mg/kg体重より高ければ、0.01mg/kgのLOQに設定されたMRLは欧州の消費者にとって十分に保護的であると指摘した。
 さらにEFSAは、プロポキスルはアセチルコリンエステラーゼ阻害により作用するため、神経毒性に関する累積評価グループ(CAG)への収載に関して評価されるべきであると勧告する。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) 欧州食品安全機関(EFSA)
URL https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6374
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