食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu05060230149
タイトル 欧州食品安全機関(EFSA)、有効成分ペンシクロンの現行の残留基準値(MRLs)のレビューに関する科学意見書を公表
資料日付 2018年12月17日
分類1 化学物質
分類2 農薬
概要(記事)  欧州食品安全機関(EFSA)は12月17日、有効成分ペンシクロン(pencycuron)の現行の残留基準値(MRLs)のレビューに関する科学意見書(2018年11月22日承認、43ページ、doi: 10.2903/j.efsa.2018.5518)を公表した。概要は以下のとおり。
 ペンシクロンは規則(EC) No 396/2005が2008年9月2日に発効した後に認可されたため、EFSAは同規則の第12条(1)の規定に基づき現行のMRLsのレビューに関する理由を付した意見書を提供しなければならない。次の結論が導出された。
 ペンシクロンの作物における代謝が主要作物及び輪作作物において調査された。様々な種類の作物が調査されたが、本レビューで報告されているいくつかの公認の農業生産工程管理(GAPs)は代謝試験で網羅されていない。したがって、果樹及び豆類に関する残留物定義は導出できなかった。入手可能な試験により規制のための残留物をペンシクロンとして定義することができた。様々な作物において0.01mg/kgの定量限界(LOQ)で残留物定義の規制のためのバリデーションのとれた分析法が利用可能である。ペンシクロンが加工条件を通して安定的ではないことを考慮して、加工食品における規制のための特定の残留物定義がペンシクロン及びペンシクロンに換算したペンシクロン-PB-アミン(pencyclon-PB-amine)の和として提案された。代謝物のペンシクロン-PB-アミンは特定の主要作物(根菜類及び葉菜類)に関連している可能性があり、輪作作物において広く存在しており、加工食品中においても生成される可能性があるため、リスク評価のための残留物がペンシクロン及びペンシクロンに換算したペンシクロン-PB-アミンの和として定義された。ペンシクロンの毒性学的基準値がペンシクロン-PB-アミンにも適用されることが注目されている。
 入手可能な残留物試験ではばれいしょのMRL及びリスク評価値のみが導出可能であった。更に代謝物のペンシクロン-PB-アミンに関するデータが入手できないことを考慮して、これらのMRL及びリスク評価値は暫定的な基準としてのみ導出された。評価対象のその他全ての作物のデータがないことから、他のMRLsを導出することはできなかった。輪作作物における残留量の評価は、後作物において著しい残留物の摂取を避けることが可能であることを示唆した。したがって、輪作作物に関する特定のMRLs及びリスク評価は導出されなかった。
 ペンシクロンは家畜に給与される可能性のあるばれいしょ、キャベツ及びコットンシードへの使用が認可されている。ばれいしょに関する入手可能なデータを考慮して、飼料中の残留濃度が暫定的に算出された。家きんを除く全ての関連する家畜グループに対して、0.1mg/kg 乾物(DM)のトリガー値を超過することが判明した。泌乳やぎに実施された利用可能な代謝試験及び飼料中の残留濃度計算を用いた総放射能量の測定の結果を考慮すると、残留物は全ての畜産物において0.01mg/kgの定量限界(LOQ)未満に留まることが予想される。飼料中の残留濃度計算がトリガー値未満であることを考慮して、家きんの組織に対するMRLsは不要である。
 ペンシクロン及びペンシクロンに換算したペンシクロン-PB-アミンの和を含むリスク評価のための残留物定義を考慮して、ペンシクロンに対する暫定的な消費者リスク評価が実施された。このレビューの枠組みにおいて報告されている認可された用途に由来する慢性消費者ばく露が、EFSAの残留農薬摂取量算出モデル2版(PRIMo)を使用して算出された。MRL及びリスク評価値を導出するために入手可能なデータのない作物に対して、EFSAはペンシクロン用に定義された現行のEUのMRLを考慮した。急性参照用量(ARfD)は必要ではないと考えられるため、急性ばく露計算は実施されなかった。目安としての計算では最大の慢性ばく露量は許容一日摂取量(ADI)の0.6%であった(スペインの成人)。この値は消費者に対するリスクを示唆しないが、この評価は消費者の食品由来ばく露へのペンシクロンの農薬としての用途の影響に関して結論付けるには十分ではなかった。
 残留物の性質に関する試験は、ペンシクロンが加水分解条件を含む工程の影響を受ける際、及び程度は小さいが葉菜類の主要な代謝において、強毒性化合物であるアニリン(aniline)が産生される可能性があることを示唆した。このレビューで評価された全ての食品は加工後に摂取される(又はその可能性がある)。したがって、ペンシクロンの農薬用途がアニリンへの消費者ばく露に繋がることが大いに考えられる。アニリンはカテゴリー2の変異原性物質(H341遺伝性疾患のおそれの疑い(suspected of causing genetic defects))及びカテゴリー2の発がん性物質(H351 発がんのおそれの疑い(suspected of causing cancer))に分類されている。更に遺伝毒性メカニズムが排除できない発がん性物質として考えられており、このことは消費者へのリスクが排除できないことを意味する。アニリンの更なる残留データ及び毒性学的基準値がないこと、及び遺伝毒性を持つ代謝物のリスクを検討するのにばく露マージン法の使用は推奨されないことを考慮して、EFSAはペンシクロンの農薬使用によるアニリンへの消費者ばく露量を十分に評価すること又は精緻化する状況にはなかった。したがって、消費者の食品由来ばく露へのペンシクロンの農薬使用の影響は言及されなかった。このことは主要な不確実性として考えられ、EFSAはペンシクロンのMRLsを勧告できなかった。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) 欧州食品安全機関(EFSA)
情報源(報道) -
URL http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5518
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