食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04990450314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、小児の歯のエナメル質形成不全(MIH)とビスフェノールA(BPA)との関連性の可能性は低いとの情報提供
資料日付 2018年8月10日
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概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は8月3日、小児の歯のエナメル質形成不全(MIH)とビスフェノールA(BPA)との関連性の可能性は、現在の知見に基づけば低いとの情報提供を行った(2018年8月3日付け情報提供 No.025/2018)。概要は以下のとおり。
・医療団体の報告書によれば、小児における歯の発達期でのエナメル質形成障害の報告が増えている。
 最近のメディア報道では、歯の欠損はBPAの摂取が原因であると報じられている。
 BPAは、特に食品接触材料中に存在する場合がある。2011年以降、BPAを含む哺乳瓶の製造が禁止されている。MIHとBPAとの関連性に関する報道は、BPAばく露とエナメル質形成障害との関連性を調べた動物実験に基づく研究(Jedeon et al、2013年)に拠る。その後公表された文献(Jedeon et al.
, 2016a; Jedeon et al.
, 2014)では、エナメル質形成障害は主に雄ラットで見られた(71%)との結果が示されている。雌ラットでは31%に留まった。更に、エナメル質形成障害の考えられる原因として、ラットにおける歯の発達に影響するホルモンにより活性化するシグナル伝達経路が特定された(Houari et al.
,2016)。
 BfRは、この論文(Jedeon et al.
, 2013)に関して評価を行った。その結果、食品接触材料を介したBPA摂取と小児の歯のMIHとの間には信頼に足る関連性はないと結論付けた。
 オランダの最新の研究からのデータでは、小児におけるBPA経口摂取は、高ばく露集団で0.14μg/kg体重/日である。これは、Jedeon et al. (2013)での実験動物における投与量と比べ35分の1である。
 従って、ヒトにおける実際のBPA摂取や、ラット及びヒトの新生児期におけるトキシコキネティクス上の差異を考慮すれば、ヒトにおいて、BPAとMIHの直接的な関連性の可能性は低いと考えられる。
・BfRは、当該論文(Jedeon et al.
, 2013)に関して、手法の長所とは対照的に数多くの短所が見受けられると指摘する。2013年の論文の結論は雄ラットに限定されており、BPA投与量も1用量であった。雌ラットへの影響がはるかに小さいこと又は影響がなかったことが示されるのはその後である (Jedeon et al.
, 2014)。また、生後100日目における発達への影響に関する情報が十分に説明されていない。他の研究チームが行ったラット及びマウスでの多世代試験では、一部で非常に高用量(複数用量)のBPAが投与されたが歯牙欠損は見られなかった。こうした結果は考慮されていない。
・MIHの発症率は、欧州では3~22%、世界全体では2~40%である(Elhennawy et al.
, 2017)。MIHは種々の発症要因が考えられる。疫学研究で強調されるのは、妊娠後期における母親の疾病、出産時に生じる微妙な影響又は小児の生後5年間における頻病(特に高熱関連)である。
 また、低血中ビタミンD濃度又は抗生物質アモキシシリンへの早期ばく露も議論の対象となっている。複数の研究からは、MIHと高濃度ダイオキシンばく露との関連性が報告されている。セベソ(Seveso)(訳注:イタリア北部の都市。1976年に農薬工場で爆発事故が起き、広範な居住地区にダイオキシン類が飛散した。)の5歳未満の住人で、ダイオキシン類(四塩化ジベンゾジオキシン(TCDD))の血中濃度が高かった人たちの間で、後年、MIH発症率が高かった。
 結論として、MIHの発症には多くの要因があることを考慮しなければならない(Schneider et Silva
, 2018)。
 この論文、「エナメル質形成障害はBPAへの周産期ばく露が関連する」(Katia Jedeonら、The American Jounral of Pathology、Vol.183、No.1、2013年7月)は以下のURLから入手可能。
https://ac.els-cdn.com/S0002944013002794/1-s2.0-S0002944013002794-main.pdf?_tid=899501ae-0109-4d21-9d91-93768cd69b32&acdnat=1534483350_8d127802d9ab08c16b6257b80ec95b49
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL https://www.bfr.bund.de/cm/343/zusammenhang-zwischen-kreidezaehnen-bei-kindern-und-der-aufnahme-von-bisphenol-a-ist-nach-derzeitigem-stand-des-wissens-unwahrscheinlich.pdf
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