食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04870500314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、ゲノム編集及びCRISPR/Cas9に関するFAQを公表(1/2)
資料日付 2018年1月18日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は1月18日、ゲノム編集及びCRISPR/Cas9に関するFAQ(2018年1月18日付けFAQ)を公表した。概要は以下のとおり。
 ゲノム編集とは、細胞の遺伝物質(ゲノム)への標的介入を可能とする新しい手法の総称である。将来、当該手法は多くの科学領域に影響を与えると考えられる。特に、CRISPR/Cas9は新たな応用が有望視されている。BfRは、当該手法の発展に関して、消費者の健康保護を念頭に、科学に基づいた対応を行っている。
 2016年11月、連邦政府は、「新しい遺伝子工学手法に関する分類及び取扱い」に関する質疑への答弁集を公表した。
 2017年4月、欧州委員会(EC)の科学諮問委員会の上級レベルグループは、農業バイオテクノロジーにおける新技術に関する意見書を公表した。
Q1:ゲノム編集とは?
A1:ドイツ語で「ゲノム編集(Genome Editing)」とは、遺伝情報の改変に関する手法の総称である。標的とした遺伝情報の改変を可能とする複数の新たな分子生物学手法を指す。こうした手法には、ジンクフィンガーヌクレアーゼを用いた突然変異誘発又はTALEN(Transcription Activator-like Effector Nuclease)、オリゴヌクレオチド指定突然変異(ODM)及びCRISPR/Cas9などがある。
Q2:ゲノム編集と従来の植物育種技術との違いは?
A2:従来の植物育種手技術(非遺伝子工学)では、自然界で起きる突然変異や、化学物質又は放射線照射による植物ゲノムの変異誘発が用いられる。この手法では、植物のゲノム改変が正確にどこに生じるかは分からない。従って、意図した形質改変を含む植物の選抜評価においては、当該手法を用いて処理された膨大な数の細胞又は植物クローンを同定し、選抜することが必要である。
 これに対し、ゲノム編集では遺伝子に的を絞ることが可能である。意図した改変を特定の場所に誘導することができる。突然変異が自然誘発によるものか新たな技術によるものかの区別は、結果得られたDNA配列で判別することは困難である。また、ゲノム編集を使えば、自然界では起こりえない遺伝子変異体の作出も可能である。
Q3:遺伝情報における改変は直ちに健康影響となるのか?
A3:生物の発生及び維持のための青写真である遺伝情報は DNA構築物の特別な配列として塩基配列中に保存されている。遺伝情報の改変は突然変異と呼ばれる。突然変異は個々の塩基配列又はより大きいDNA構成要素に影響すると考えられる。また、自然界で誘発される場合もある。遺伝情報に改変が加わることは、生きている限り起こり得る。
 例えば、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)における自然誘発変異発現率は15万kbp(キロ塩基対)に1変異である。また、マウスにおける自然誘発変異発現率は、1世代の生殖細胞で10万kbpに1~3変異である。
 欧州連合(EU)では、考えられる健康影響に関する評価実施のための手法及びガイドラインが確立されている。これらは入手可能な科学情報に基づいており、現在の法規に沿った妥当性を有する。
Q4:CRISPR/Cas9は何の略か?
A4:CRISPRは、英語のClustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat(クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート)の頭文字を取ったものである。多くの細菌(訳注:原核生物)に見られるDNA領域のことで、特定のDNA配列の繰り返しによって構成されている。免疫系において重要な役割を担っている。Cas9は、CRISPRと関連性のあるたん白質である。DNA切断酵素Cas9たん白質は、標的DNAと結合し、侵入したウイルスのDNAを切断する。
Q5:CRISPR/Cas9の作用機序は?
A5:CRISPR/Cas9は、細菌におけるウイルス又はプラスミドを介した外来DNAの侵入に対する獲得免疫機構の一部として発見された。CRISPR/Cas9は、近年、ゲノム編集の優れた手法として用いられており、更なる発展が見られた。
 DNA切断酵素Cas9たん白質は、いわゆる「ガイドRNA」の働きのみで、侵入したウイルスのDNAを見つけ出すことができる(ガイド機能)。ゲノムDNAに求める断片を見つけたCas9は、そのゲノムの鎖を切断する。切断された二本鎖は、細胞の種々の働きにより修復される。その過程で突然変異が生じる。
Q6:ゲノム編集にはどのような用途があるのか?
A6:ゲノム編集は、以前の手法(遺伝子工学を含む)と比べ、簡単かつ迅速に行うことができる。何より、標的性において優っている。科学者は、ゲノム編集の動植物育種への応用により、収量増・生産性向上が見込める系統や、病気抵抗性を有するコムギや冷蔵貯蔵可能なジャガイモといった優れた系統の作出を期待している。
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL http://www.bfr.bund.de/cm/343/fragen-und-antworten-zum-genome-editing-und-crispr-cas9.pdf
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。