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資料管理ID syu04820340184
タイトル ノルウェー食品安全科学委員会(VKM)、慢性消耗性疾患(CWD)に関する最新の意見書を公表(1/2)
資料日付 2017年9月30日
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概要(記事)  ノルウェー食品安全科学委員会(VKM)は9月30日、慢性消耗性疾患(CWD)に関する最新の意見書を公表した。この意見書は、ノルウェー自然研究所(NINA)が管理するシカ科動物に関するポータルサイト「Hjorteviltportalen」で紹介された。概要は以下のとおり。

1.背景

 ノルウェー食品安全庁(NFSA)及びノルウェー環境庁(NEA)は、カナダ及び米国がウェブサイトで公表したCWDのマカクザルへの感染試験に関する調査研究結果について、VKMによるリスク評価結果(CWDに関するリスク評価(Phase1及びPhase2))の変更に繋がるかに関してVKMの意見を求めている。

 8月28日、カナダ食品検査庁(CFIA)ウイルス部門長Stefanie Czub氏及びMichael Tranulis氏(訳注:ノルウェー生命科学大学(NMBU)教授)との間で電話会議が持たれ、今年前半に発表された調査研究結果を更に解明するための議論がなされた。

2.新たな調査研究結果(カナダの研究)

 2017年5月23~26日にエジンバラで開催された国際プリオン会議において、Czub博士は、2009年に開始した調査研究の進捗状況について発表した。発表された結果は、以下を含む理由で注目される。

(1)マカクザルが、頭蓋内及び経口の双方の経路で投与されたCWDに対して感受性を有することが初めて示された。

(2)接種したCWDは異なる種(オジロジカ及びオオシカ(wapiti))に由来し、分析の結果、種々の型のCWDの存在が示された。オオシカ3頭の脳検体では、CWD2のプリオン株が検出された。臨床的CWDのオジロジカに由来する脳接種材は、明らかに異なる2種類のCWD株からなる異常遺伝子性のプリオンであることが分かり、1頭の患畜に複数のCWD株が共起していることが示された。この現象は、以前にめん羊のスクレイピーで見られたのと同様である。

(3)潜伏期が比較的短い(訳注:4.5~6.3年)。定型スクレイピーを脳内接種したマカクザルの潜伏期は10年であった(Comoy et al., 2015)。BSE感染組織5gをマカクザルに単回経口投与した結果は、平均潜伏期4.7年で100%が発病した(Hoznagel et al., 2013)。

(4)CWD陽性ながらCWD未発症のオジロジカに由来する肉を2匹のマカクザルに経口投与した結果、頭蓋内接種と比べて僅かに長い潜伏期の後に発病した。この試験は、ヒトの実生活におけるシカ肉摂取を介したCWDばく露を模倣する意図で行われた。

 当該調査研究に関する最終結論が今後の分析を基に固まるまでには、数年を要すると考えられる。

3.ノルウェーの現状

 2017年9月20日までに合計4,200頭の野生のトナカイについてCWD検査が行われ、うち6頭(0.14%)が陽性であった。そのうちCWDの臨床症状が見られたのは僅か1頭であった。3頭において、脳組織及びリンパ組織検体のいずれからもCWD病原体が検出された。興味深いことに、他の3頭(検査時期は全て2017年)では、脳検体は陰性であったがリンパ組織は陽性であった。定型CWDの潜伏期は長いのが特徴であることから、この結果は想定内である。CWD病原体は、中枢神経系から検出されるより先に、潜伏期にはリンパ節を含む末梢組織や血液中からも検出される場合がある。

 このような動物に由来する肉は、臨床的CWD動物由来の肉と同様にヒトへの代表的なばく露源となる可能性がある。VKMは以前の意見書で、「臨床症状がないことはヒトへのばく露はないということではない」と強調した。シカ科動物は発症前に数か月間CWD病原体を内含する場合があることがその理由である。従って、今回の結果はVKMによる結論を変えるものではない。

4.不確実性/データギャップ

 前述の経口投与試験は、ヒトの実生活におけるシカ肉摂取を介したCWDばく露を模倣する意図で行われたとは言え、ヒトの疾病を動物モデルで再現することは相当に困難である。

 マカクザルは生のシカ肉を与えられたことに留意すべきである。ヒトの場合、レア又はミディアムの状態のステーキを好む消費者が多いものの、加熱調理したシカ肉の摂取に限られる。しかし、プリオンの感染力は通常の加熱温度でも保たれることから(Rutala、Weber、& Society for Healthcare Epidemiology of、2010)、加熱肉へのばく露によって前述の結果が変わることはない。

 ただ、Czubらによる実験結果は研究の中間段階のものであり、研究完了にはあと数年を要すること、結果の査読や公表はされていないことを強調する必要がある。また、マカクザルに経口投与後10年以上経て感染しなかったとの研究も存在する(Race et al., 2014) 。

 更に、北米では、CWD流行地において、シカ肉摂取を介したヒトのCWD病原体ばく露が報告されている(Sigurdson、2008)。CWD感染シカの肉を数十年以上に亘り大量に摂取してきている、また、CWD感染シカと接触してCWD病原体にばく露している多くのハンターがいるにも拘らず、現時点までに積み上げられたデータには、ヒトでのCWD発生の証拠はない。しかし、潜伏期及びばく露頻度が十分にあることから、このことからヒトのCWD症例は発生していないとは言えない。

 従って、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の疑い例に関するモニタリング及び警戒強化の重要性が強調されるべきである。強化されるべきモニタリング及び警戒には、CWDの特性解明を可能とする分析手法を用いたCJD亜型の特性解明も含まれる。ヒトのCWDの臨床症状は未知であり、CJD及びシカ科動物の定型CWDとも異なる場合も考えられるということを理解するのが重要である。
地域 欧州
国・地方 EU
情報源(公的機関) その他
情報源(報道) ノルウェー食品安全科学委員会(VKM)
URL http://www.hjortevilt.no/skrantesjuke-cwd/cwd-in-norway-english/