食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu04580480314
タイトル ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、食品中のピロリジジンアルカロイドに関する最新のFAQを公表
資料日付 2016年9月28日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は9月28日、食品中のピロリジジンアルカロイドに関する最新のFAQを公表した(2016年9月28日付けBfRFAQ)。概要は以下のとおり。
 種々の試験で、高濃度の1
,2-不飽和ピロリジジンアルカロイド(PAs)が茶及びハーブティーから検出されている。一部のはちみつからも、産地により高濃度のPAsが検出される可能性がある。更に、ドイツでは、Senecio属(フキ、サワギク)のPAsを含む植物によるレタスの汚染が1例報告されている。
 主なQ&Aは以下のとおり。
Q1:PAによる汚染例は多いのか?
A1:動物では、Walking disease、dunziekte、Winton disease、Schweinsberger disease及びZdar diseaseなどの名で知られる中毒事例が知られている。きおん(黄苑)を含むサイレージや干草を給餌した家畜は、と畜の際肝硬変が見つかる場合が多い。医学文献には、PAを多量に摂取した場合のヒトの症例があるが、きちんと記録されているものは少ない。症状の多くは肝臓への影響である。
 パキスタン、インド及びアフガニスタンでは、ヘリオトロープ(ムラサキ科キダチルリソウ属の植物)及びタヌキマメ属の種子に汚染された穀物を摂取した後に罹患する。ジャマイカでは、いわゆるブッシュティーによる中毒が発生した。ブッシュティーは、タヌキマメ及びサワギクに汚染されていた。BfRには「中毒に関する医師による報告」により、PAsを含む植物材料を摂取して重篤な肝機能障害を発症した成人患者1人が報告されている。
Q2:PAsによる慢性影響は?
A2:慢性的な摂取でも、先ず肝臓が標的臓器となる。しかし、肺も影響を受ける場合がある。一部のPAsは、長期動物実験により遺伝毒性発がん物質(genotoxic carcinogen)と認められている。
Q3:BfRは、PAsの毒性学調査に関してどのような研究が必要と考えるか?
A3:現時点で、660種類以上のPA化合物及びそのN-オキシドが分かっている。これらの少なくとも半数に遺伝毒性があると推測される。特定されているPAs及びそのN-オキシドのうち、遺伝毒性発がん作用について十分に調べられているのはごく僅かである。従って、現時点では、個々のPAsの発がん性を比較した発言はできない。
 BfRは、個々のPAsの相対的な毒性を見極めることを可能とする新たな毒性試験を行う必要があると考える。これに加えて、BfRは、血中及び尿中のばく露マーカーを特定し、その結果発がん性PAsと非発がん性PAsとの区別が可能となる新しい手法を追求していく。
Q4:PAsはどのようにして食品に入るのか?
A4:最新の知見に基づけば、PAsがフードチェーンに入る経路として、以下の4つが考えられる。
①栽培地における、PAを生成する野生ハーブによる農作物汚染の可能性
②はちみつ及び花粉などの養蜂製品が、シャゼンムラサキ属、サワギク及びルリジサ属などの野生植物に由来するPAsに汚染される場合
③汚染された飼料を与えられた家畜に由来するフードチェーンを介して食品(乳及び卵など)に入る可能性
④自らPAsを生成する植物に由来する食品の生産に使用される原料。「スターフラワー」とも呼ばれるルリサジは、PAs生成植物として知られている。これは、「フランクフルトグリーンソース」(訳注:数種類のグリーンハーブで作るハーブソース)に使用される特有の成分である。ダイエタリーサプリメント(DS)も、PAsを生成する植物及び植物抽出物を基に生産される場合がある。例えば、PAsを生成するヒヨドリバナから作られるカプセルが入手可能である。これらのDSの一部は、PAs濃度が非常に高い場合がある。オイルベースのDSではPAsは検出されていない。
Q5:PAsを僅かしか含まない又は全く含まない食品はあるのか?
A5:BfRも関わって現在行われている欧州連合(EU)のプロジェクトで得られた、種々の食品中のPAs濃度に関する膨大なデータに基づけば、以下である。
・ヨーグルト、チーズ(ゴーダ/エメンタール、ブリー/カマンベール)
・乳児用調製乳(0~6か月児用の粉乳、フォローオン調製乳(6~36か月児用粉乳)
・牛肉、豚肉、家きん肉
・牛レバー、豚レバー、鶏レバー
・卵
Q6:小児及び一般成人においてPAs寄与が最大なのはどの食品か?
A6:0.5~5歳の小児におけるPAs摂取に主に寄与するのはハーブティー(ルイボスティーを含む)、紅茶及びはちみつである。一部のDSを除けば、成人にも同様のパターンが見られる場合がある。成人では、小児と比べて、総PAs摂取に占めるはちみつの寄与は小さく、緑茶による寄与は大きい。新たなばく露源としてのDSは、PAs濃度が高ければ、成人における食品経由の総PAs摂取への寄与が大きい可能性がある。
Q7:PAsを含む食品の摂取は、消費者にとってリスクか?
A7:BfRは現在、種々の食品群が含むPAs濃度に関する最新のデータから得られる推定総摂取量に基づき、考えられる健康影響に関する評価を行っている。それによれば、ハーブティー、ルイボスティー、紅茶、緑茶及びはちみつに含まれるPAsの濃度は、小児及び一般成人が長期間(慢性的に)摂取すれば健康影響の可能性がある。しかし急性の健康影響は無い。
Q8:食品中のPAsの基準値又は食品中のPAs濃度を最小限にする規制はあるのか?
A8:現時点では、食品及び飼料中のPAsに関する基準値は無いが、コーデックス委員会が、「PAsを含む植物の管理」及び「植物の放出及び拡散」に関する行動規範の中で提言を作成した。
 EUでは、遺伝毒性及び発がん性を有する物質は、「合理的に達成可能な範囲でできるだけ低い水準とする」とのALARAの原則が適用されている。
 低量摂取の場合でも、常に摂取する場合は特に、健康影響リスクが増大する可能性があることから、BfRは、全ての食品に由来するPAsへの総ばく露量は、引き続き可能な限り低減すべきであると提言する。
Q9:PAs汚染を最小限にするために消費者ができることは?
A9:多種多様な食品を選択して摂取することにより、消費者への潜在的なリスクは低減可能である。
 花粉又はPAs生成植物をベースとするDSを摂取する消費者は、これらの製品はPAsを高濃度で含む場合があると認識すべきである。このことは、欧州食品安全機関(EFSA)が提供したデータにより正当性が立証されている。
 最新の知見によれば、動物性食品中に存在するPAsに関して、その濃度が消費者の健康に対するリスクとなるとは示されていない。
地域 欧州
国・地方 ドイツ
情報源(公的機関) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
情報源(報道) ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)
URL http://www.bfr.bund.de/cm/349/frequently-asked-questions-on-pyrrolizidine-alkaloids-in-foods.pdf
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