食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03990630475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、原虫サイクロスポーラ・カイエタネンシスに関するファクトシートを発表
資料日付 2014年2月19日
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2月19日、胞子虫綱コクシジウム類の原虫サイクロスポーラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)に関するファクトシートを発表した(2014年1月23日付け)。
1. C. cayetanensisの特徴と感染源
(1) 主な特徴
 C. cayetanensisはサイクロスポーラ症(cyclosporiasis)の病原体である。感染性のあるスポロゾイト(虫体)を含むオーシスト(接合子嚢)を摂取すると感染する。摂取されたオーシストは、消化液の作用で、スポロゾイトが内腔に放出され、小腸の細胞内に侵入する。同一宿主内で無性生殖期および有性生殖期が完結し、糞便中に未成熟のオーシストを排出する。オーシストは温度依存性があり(温度が23℃~27℃ならば1週間から2週間で)、自然環境で成熟すると感染性を持ち、オーシストは胞子を形成する。
(2) 危害要因
 知られている唯一の宿主はヒトである。危害要因の主な環境感染源は、オーシストを含む糞便排泄物を経由した、水や土壌又は灌漑の散水と接触した植物である。
(3) 感染経路
 寄生虫の伝達は糞口経路で、ヒトの糞便由来のオーシストが付着、又はオーシストを含んでいる食品や水を媒介して感染する。したがって通常は汚染された水や生野菜がリスク食品である。
2. 食品由来疾病
(1) 疾病の特徴
 潜伏期間は2~6日間で、症状は水様下痢、腹痛、吐き気、疲れ、体重減少、食欲不振などである。また、発症期間は平均17.5日間(10~30日間)で、オーシスト排泄期間は数週間である。
(2) 用量影響関係及び用量反応関係
 疫学データは約10個のオーシストで発病することを示唆している。
(3) 疫学
 フランスではサイクロスポーラ症はフランス衛生監視研究所(InVS)の全国感染ネットワークCrypto-Anofelに散発症例の届出があり、毎年10例ほどである。それらのほとんどは輸入疾病である。
 1990年以降、約60件の食品由来サイクロスポーラ症のアウトブレイク(及び飲料水由来が3件)が報告されており、ほとんどが米国(2013年8月のアウトブレイクでは25州で643人が発症)とカナダ(患者数3~1
,475人)である。疫学調査で特定された感染源としての原因食品は主としてサイクロスポーラ汚染国産の主に野菜のラズベリー、バジル、レタス、サヤエンドウなどである。
3. 食品が果たす役割
(1) 主な媒介食品
 水が主な食品汚染の媒介物である。果物や野菜は、土壌や水(栽培かんがい)由来のオーシストで汚染する可能性がある。表面積が大きな園芸品種(葉菜類)や形状や表面の組織(凹凸など)がオーシストをとらえたり付着したりするもの(ラズベリー)などが汚染しやすい。これらの食品は良く洗うか、十分に加熱しないとリスクがある。
(2) 工業的不活化処理
 微生物不活化工程で通常使用されている物理化学的処理に対するサイクロスポーラの耐性/感受性の特性はあまり知られていない。既存の研究では、原虫C. cayetanensisの生残性試験として、胞子生殖するオーシストの能力を利用したものがある。胞子生殖するオーシストの能力を阻害できない処理は有効でないと考えられている。
(3) 食品サーベイランス
 欧州でも世界中でも食品の原虫C. cayetanensisに関する規制、基準値は存在しない。
4. 家庭内における衛生対策
 消費者への推奨事項
・手を良く洗う、特にトイレの後は手をよく洗う、調理器具を良く洗浄する、特に食品を取り扱う前の洗浄を励行するなどの基本的衛生習慣を順守する。
・サイクロスポーラのオーシストが付着していそうな食品(生で食べる果物や野菜)は、飲料水を使って丁寧に洗浄する。
・食品を洗浄できない(水不足や衛生が疑わしい水しかない場合)、また特にサイクロスポーラ症が蔓延している地域では、食品をよく加熱する。
・サイクロスポーラ症が流行している地方では蓋付き(栓)ボトル入りナチュラルウォーターやミネラルウォーターを使うこと。ボトル入りの飲料水が入手できない時は、10分間沸騰させた水や精密ろ過した水を使用すること。
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL http://www.anses.fr/sites/default/files/documents/BIORISK2011sa0279Fi.pdf
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