食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03910600295
タイトル 国際連合食糧農業機関(FAO)、旋毛虫(トリヒナ)及び無鉤条虫/牛嚢虫のリスクプロファイル概要を公表
資料日付 2013年10月17日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  国際連合食糧農業機関(FAO)は10月15日、旋毛虫(トリヒナ)及び無鉤条虫/牛嚢虫のリスクプロファイル概要を公表した。概要は以下のとおり。
1.食肉中のトリヒナ(Trichinella spp.)のリスクプロファイル概要
1-1.懸念される健康危害のある食品類
 市場に供給される食肉から感染するヒトのトリヒナ症は、ほとんどの場合トリヒナに感染した豚、イノシシ又は馬が原因である。クマ、セイウチなどの狩猟動物の汚染された食肉の摂取によりヒトが感染する場合もある。トリヒナの全ての遺伝子型はヒトに対する病原性を有するが、動物では臨床的に不顕性感染である。豚で増殖するトリヒナで、豚肉及び豚肉製品を摂取する消費者において食品安全への懸念が高いのは、T.spiralis、T.britovi、T.pseudospiralis、T.Papuae及びT.Zimbabwenisisである。これまで、ヒトのトリヒナ集団感染は、大半がトリヒナに感染した豚が原因であった。過去100年以上にわたり、多くの国でトリヒナの検査及び管理に関する規則が導入された。その結果、検査及び規制体制が奏功した国では、市販の食肉によるヒトのトリヒナ感染はまれである。
1-2.公衆衛生上の懸念
 トリヒナ感染者は、全世界でおよそ1
,100万人と推定されるが、多くの地域でかなりの過小報告であるとされる。最近行われた集団感染データの分析によると、1986年~2009年に世界41か国で65
,818人の患者が報告された。食品の専門家らは、トリヒナ幼虫100匹を経口摂取するだけで、臨床症状を発現するのに十分であると推定される。
1-3.食品生産、加工、流通及び消費
 飼育豚の肉のT.Spralisを殺滅するには加熱処理が適正な方法である。T.Spiralisの死滅温度は54~57℃である。他の宿主種及び他のトリヒナの遺伝子型に関するデータは入手困難である。しかし、十分な加熱調理は全てのトリヒナ種の不活化に効果的であると考えられることから、現時点では、食品の安全性を保証するために最も広く推奨される方法である。トリヒナは少なくとも0.3kGyの低線量照射で不活化することが証明されていることから、放射線照射が認められている場合は、これも食肉をヒトの消費のため安全にする方法として許容できる。
1-4.国際貿易
 食料生産動物及びその製品によるトリヒナ感染リスク低減のためのガイドライン及び管理に関する提言はあるものの(FAO/WHO/OIE、2007)、豚及び馬など感受性のある宿主動物由来の食肉及び食肉製品を介して消費者が感染する可能性は引き続き残る。
2.飼育牛由来の食肉の牛嚢虫(Cysticercus bovis)のリスクプロファイル概要
2-1.懸念される健康危害のある食品類
 牛嚢虫症はヒトの無鉤条虫(Taenia saginata)の幼虫(Cysticercus bovis)によって引き起こされる牛の寄生虫疾病である。条虫症として知られる条虫成虫のヒトへの感染は、加熱又は冷凍が不十分な牛肉の摂取により起こる。無鉤条虫症は世界的に発生している。風土病化していない地域では、公衆衛生が改善され、と畜場での牛のと体検査の法整備などの獣医学的インフラが整っているにも拘わらず、散発性のヒトの条虫症及び牛嚢虫の集団感染が流行する。
2-2.公衆衛生上の懸念
 無鉤条虫感染者は世界中で数千万人いるとされているが、低病原性であること、及びこの感染症が過小報告されることから、信頼性のある感染者推定値はない。
2-3.食品生産、加工、流通及び消費
 牛嚢虫のリスク要因としては、感染性のある卵へ牛が暴露する機会を増大させるものは全てその可能性がある。それらは、ヒトの糞便/公共の場所に近接する下水、洪水、ヒト由来の下水が含まれる可能性のある肥料の使用、汚染されている可能性のある飼料又は飲用水の使用及び無鉤条虫に感染した者による作業などが挙げられる。食肉及び内臓を-10℃以下で10日間以上冷凍すれば、どの嚢尾虫も生育不能となる。また、加熱調理により中心部の温度が最低でも60℃に達すれば、当該寄生虫が死滅するに十分であると考えられる。嚢尾虫は、低線量照射(0.5kGy:世界保健機関(WHO)、1995)によっても不活化される。一般的に、消費者はこの寄生虫について知識はなく、牛肉が条虫を伝播する可能性があることを知らない。加熱調理又は冷凍が不十分な牛肉の摂取がもたらすリスクを消費者に対して啓発していくことが、この人獣共通感染症の包括的管理の改善の一助となる。
2-4.国際貿易
 牛肉の世界規模での取引の多くは、ファストフード市場向けである。ファストフード製品は通常、冷凍、加熱調理又は加工されることから、消費者の無鉤条虫感染の可能性は低い。しかし、冷蔵牛肉として世界中で取引されるものは、特に生又は加熱不十分な食肉を摂取する地域で流通すれば、リスクはより高まる。
 牛嚢虫のリスクファイル概要は以下のURLから入手可能。
http://www.fao.org/fileadmin/user_upload/agns/pdf/Foodborne_parasites/RiskProfTaeniasaginataOct2013.pdf
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) 国際連合食糧農業機関(FAO)
情報源(報道) 国際連合食糧農業機関(FAO)
URL http://www.fao.org/fileadmin/user_upload/agns/pdf/Foodborne_parasites/RiskProfTrichinellaOct2013.pdf
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