食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03880050482
タイトル 香港食物環境衛生署食物安全センター、「第1回トータルダイエットスタディ報告書(第6報):アクリルアミド」を公表
資料日付 2013年7月29日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  香港食物環境衛生署食物安全センターは7月29日、「第1回トータルダイエットスタディ報告書(第6報):アクリルアミド」を公表した。結果及び結論の概要は以下のとおり。
1. 結果
(1)本研究では532の混合試料についてアクリルアミドの分析を行った。14の食品群のうち、アクリルアミドの含有量が最も多かったのは「スナック菓子」(平均含有量は680μg/kg)で、次いで「野菜及び野菜加工品」(平均含有量は53μg/kg)、「豆類、種実類及びその加工品」(平均含有量は40μg/kg)の順に多かった。しかし、「魚類・海産及びその加工品」の大部分(95%)、全ての「卵及び卵類製品」及び「アルコール飲料」からはアクリルアミドは検出されなかった。また、食品別ではポテトチップスが最も多く(680μg/kg)、次いでフライドポテト(平均含有量は390μg/kg)、ズッキーニ(訳注:炒めたもの)(平均含有量は360μg/kg)だった。
(2)香港市民が食事から摂取するアクリルアミドの量は、平均摂取群で0.21μg/kg体重/日、高摂取群(訳注:95パーセンタイル値)で0.54μg/kg体重/日だった。両群の暴露マージン(平均摂取群が847~1
,459、高摂取群が334~576)は10
,000を大幅に下回っている。遺伝毒性発がん物質の点から言えば、これらの暴露マージンの値は低めであり、ヒトの健康に影響を与える可能性が示されており、注目に値する。
(3)「野菜及び野菜加工品」は市民が食事から摂取するアクリルアミドの主要な摂取源で(総摂取量の52.4%)、特に野菜炒め(44.9%)の値が高い。次いで「穀物及び穀物製品」及び「混合食品となっている。また、じゃがいもを揚げた製品(フライドポテトやポテトチップス)、ビスケット、朝食用シリアル中のアクリルアミド含有量も多く、これらも香港市民が食事から摂取するアクリルアミドの主要な摂取源となっている。
(4)研究結果から、野菜炒めのアクリルアミド含有量が多いこと、同種の野菜炒めでもそのレベルに差があることが示された。逆に、生食又は茹でた野菜からはアクリルアミドは検出されなかった。一方、ヒユナ、クレソン、ホウレンソウ、中国レタス等の一部の野菜のアクリルアミド含有量は少なかった。アクリルアミドの生成に影響する要因は多い。例えば、野菜中のアスパラギン及び還元糖の含有の有無、加熱調理の温度・時間等である。本研究では野菜を炒める際に食用油を使用していないことから、家庭で野菜を炒める状況を正確に反映できておらず、検査結果に誤差が生じているかもしれない。
(5)本研究では更に、野菜を炒める際の食用油の使用及び異なる加熱調理条件が、アクリルアミドの生成に影響を及ぼすかについて検討した。実験ではサイシン、空芯菜、ズッキーニ、玉ねぎの4種類の野菜を選び分析した。これら4種の野菜はいずれも市民が食事から摂取するアクリルアミドの主要な摂取源である。研究ではまた、飲食店で提供される野菜炒めに含まれるアクリルアミドの量も測定した。
(6)実験結果より、野菜を炒める際、温度が高く時間が長いほど生成されるアクリルアミドの量は多かった。サイシン及び空芯菜の葉物を炒める際に生成されるアクリルアミドはズッキーニ及び玉ねぎより少なかった。しかし、野菜を炒める際の食用油の使用がアクリルアミドの生成に影響を与えるかどうかについては、実験結果から明らかな関連性は見いだせなかった。これらの実験及び飲食店において採取した野菜炒めから検出されたアクリルアミドの量はいずれもトータルダイエットスタディにおける同種のものより少なかった。このことから、今回のトータルダイエットスタディでは市民が野菜炒めから摂取するアクリルアミドの量を高く見積もっているかもしれない。また、ロット、食品成分(還元糖やアミノ酸の含有量)及び加工条件(加熱温度及び時間)等の違いがアクリルアミドの生成に影響を与えることに注意すべきである。
2. 結論及び助言
(1)香港市民が食事から摂取するアクリルアミドの量は平均摂取群では0.21μg/kg体重/日、高摂取群では0.54μg/kg体重/日で、両群の暴露マージンは10
,000を大幅に下回っていた。遺伝毒性発がん物質の点から言えば、これらの暴露マージンの値は低めであり、ヒトの健康に影響を与える可能性が示されており、注目に値する。
香港は食品中のアクリルアミド含有量を低減するよう引き続き尽力しなければならない。
(2)食品業界は食品中のアクリルアミド含有量を低減する方法を講じなければならない。食品業界は原材料の選定、レシピ作成や加工方法決定の際に、食品中のアクリルアミドを低減するための業界向けガイドラインを参考にするとよい。
(3)市民はバランスのとれたバラエティー豊かな食事を保ち、毎日少なくとも三皿分の野菜を食べるべきである。ポテトチップスやフライドポテト等の揚げ物は食べ過ぎてはならない。
 アクリルアミドの生成を抑えるため、市民は加熱時間が長過ぎたり、温度が高過ぎたりしないようにする。また、野菜から摂取するアクリルアミドの量を減らすため、市民は野菜を炒める前に湯がく・茹でる・蒸すといった方法で先に野菜を加熱することを検討するとよい。さらに、一部の野菜はきれいに洗った後、生食することもできる。
(4)国際組織や多くの国の当局は食品中のアクリルアミドを低減する方法を既に模索している。食物安全センターも最新の動向に留意していく。
 報告書の全文は以下のURLから入手可能(英語版/PDFファイル42ページ)
http://www.cfs.gov.hk/english/programme/programme_firm/files/The_first_HKTDS_acrylamide_final_e.pdf
 報告書をまとめた資料(39ページ)は以下のURLから入手可能。
http://www.cfs.gov.hk/english/programme/programme_firm/files/TDS_results_on_acrylamide.pdf
 報告書に関するプレスリリースは以下のURLから入手可能。
http://www.cfs.gov.hk/sc_chi/press/2013_07_29_1_c.html
地域 アジア
国・地方 香港
情報源(公的機関) 香港食物環境衛生署食物安全センター
情報源(報道) 香港食物環境衛生署食物安全センター
URL http://www.cfs.gov.hk/sc_chi/programme/programme_firm/files/The_first_HKTDS_acrylamide_Exe_Sum_c.pdf
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