食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03810510294
タイトル 世界保健機関(WHO)、ヒトの鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染に係るリスク評価書を更新
資料日付 2013年5月10日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  世界保健機関(WHO)は5月10日、ヒトの鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染に係るリスク評価書を発表した(4ページ)。概要は以下のとおり。
1. 概要
 WHOはこれまでに中国の国家衛生・計画出産委員会から計131人、台湾行政院衛生署疾病管制局(台北CDC)から1人の確定患者の届出を受理した。患者は多様な年齢層の男女に及ぶが、中高年以上の男性が多数を占める。32人が死亡し、残りの患者も大半が重症とみられる。台北CDCから届出のあった患者(江蘇省への旅行履歴あり)のほか、安徽省、福建省、河南省、湖南省、江蘇省、江西省、山東省、浙江省、北京市及び上海市から届出があった。
 当該ウイルスに関しては、ウイルスが循環している動物宿主、感染の主たる接触源及び経路、ヒト及び動物間での拡散範囲など、依然として不明な点が多い。調査が進展中であるが、決定的な証拠は得られていない。ただヒトの感染は、生鳥や汚染環境との接触が関係しているとみられる。その理由は以下のとおり。
・ ヒトにおけるウイルスは、動物及び環境(生鳥市場)に見られるウイルスに全体的に類似している。
・ 患者の大半(ほぼ4人に3人)は、動物、ほとんどが鶏との接触履歴があると答えている。
・ ウイルスが生鳥市場の家きんから検出されている。
・ 生鳥市場の閉鎖後、患者数が減少しているとみられる。
 他の家きん・野鳥種、ほ乳動物種など、ウイルスの動物宿主がほかにも存在するかどうかについては、まだ確定するに至っていない。また家族内での感染が2件あるが、以下のとおり持続的なヒトからヒトへの感染を示す証拠はない。
・ 確定患者との接触者(2
,000人超)の監視・検査で見つかった感染者は少ない。
・ 3月と4月に2万人を超えるインフルエンザ様疾患(ILI)患者を検査したが、H7N9感染者はわずか6人だった。この結果、H7N9感染では、比較的軽い症状が多くの患者に生じることはないことが示唆されている。
 ヒトの鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染が見つかったのは、今回が初めてである。従来、他のA(H7)ウイルスによるヒトの感染の届出が散発的にあったが、家きんの集団感染に伴うものであった。死者が1人出たのは例外として、まれに生じるA(H7)感染は総じて軽症で、結膜炎に帰着している。
 ヒトから分離した同ウイルスの遺伝子的特徴及びラボでの特徴解析の結果、以下が判明している。
・ ウイルスには、複数の起源を持つインフルエンザウイルス遺伝子群が含まれている。
・ α2-6レセプターの親和性増大に伴いアミノ酸置換等の変化が生じるなど、いくつか遺伝子の変化が見られることから、当該H7N9ウイルスは、他の鳥インフルエンザウイルスよりも、ヒトをはじめとする哺乳類への感染能力が高いとみられる。
・ 分離したウイルスの遺伝子配列が一様でないことから、動物からヒトに入る際にウイルスでは1つ以上の遺伝子導入があったことが示唆されている。
・ 一般論として、この種のウイルスは総じてノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビル及びザナミビルに感受性を持つとみられるが、抗ウイルス薬のアマンタジン及びリマンタジンには耐性である。
・ 分離ウイルスのヘマグルチニン構造は、鳥においては低病原性である。
 当該ウイルスについては、家きんに重い病気が出たとの報告がない。この徴候がないため、A(H5N1)に比較すると、鳥におけるウイルスの検出能力が制限される。
2. リスク評価
 このリスク評価は、本年4月13日付け評価書に代わるものである。新たな情報が得られ次第逐次更新されるが、リスクは前回以降変わっていない。
(1) 影響を受けた地域における続発のリスクは?
 このウイルスの動物間での疫学は確証されていないが、これまでに発生したヒトの症例のほとんどは、鳥又は生鳥市場との接触が関係しているとみられる。今後もヒトでの続発が見込まれる。
(2) ヒトからヒトへの感染リスクは?
 持続的なヒトからヒトへの感染を示す証拠はない。ただ、家族内で発生したとみられる2症例から、家庭内や医療機関など、患者との密接な接触により、限定的なヒト間感染が生じ得ることが示唆されている。また、哺乳類への順応を示唆するウイルス間に見られる遺伝子変化も懸念材料であり、更なる順応が生じる可能性がある。
(3) 世界的拡散のリスクは?
 このウイルスが世界的に拡散することを示す情報はない。とは言え、症状の有無にかかわらず、感染者が他国に旅行することはあり得る。ただし現状では、ウイルスに持続的なヒト間感染の能力がないとみられることから、大規模な共同社会内の拡散はありそうにない。
(4) WHOはH7N9に関連して旅行上の注意喚起を行うか?
 WHOは本事案に関して、入国地点における特別な検診を勧めるものではなく、旅行制限や貿易制限の提言は行わない。
地域 その他
国・地方 その他
情報源(公的機関) 世界保健機関(WHO)
情報源(報道) 世界保健機関(WHO)
URL http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/RiskAssessment_H7N9_10May13.pdf
(※注)食品安全関係情報データベースに関する注意事項
本データベースには、食品安全委員会が収集した食品安全に関する国際機関、国内外の政府機関等の情報を掲載しています。
掲載情報は、国際機関、国内外の政府機関等のホームページ上に公表された情報から収集したものですが、関係する全ての機関の情報を確認しているものではありません。また、情報内容について食品安全委員会が確認若しくは推薦しているものではありません。
掲載情報のタイトル及び概要(記事)は、食品安全委員会が和訳・要約したものであり、その和訳・要約内容について情報公開機関に対する確認は行っておりませんので、その文責は食品安全委員会にあります。
情報公表機関からの公表文書については、個別項目の欄に記載されているURLからご確認下さい。ただし、記載されているURLは情報収集時のものであり、その後変更されている可能性がありますので、ご了承下さい。