食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03540740475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、ヒスタミンの基準が適用される酵素熟成させる水産物(発酵食品)についての意見書を公表
資料日付 2012年2月21日
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は2月20日、ヒスタミンの基準が適用される酵素熟成させる水産物(発酵食品)の定義に関し、食品総局(DGAL)からの科学的技術的支援要請に対して提出した意見書(2012年1月17日付け)を公表した。
 「ヒスチジン含有量の多い魚種で製造する、塩漬けの酵素熟成処理(発酵処理)を行う水産製品」は独特な加工プロセスを施すが、包装にそれが表示されることは非常に稀である。 
 ヒスタミンは、遊離アミノ酸が変化してできた生体アミン系に属する。食品中では、ヒスタミンは主に菌由来の酵素、また組織由来の酵素、即ちヒスチジン脱炭酸酵素によって遊離L-ヒスチジンが脱炭酸反応して生成されたものである。
 魚のヒスタミン生成は次の3つの基本要素に依存する。即ち、動物種に直接関係する遊離ヒスチジン含有量、ヒスチジン脱炭酸酵素合成能力を持つ細菌の存在、及び細菌増殖と活性酵素生産を助長する条件(基本的には温度及びpH)である。ヒスタミンを生成する主な細菌は腸内細菌科に属している(中低温菌)。
 急性毒性閾値を設定することは、個々には大きく変動する複数の要素に依存するので、非常に難しい。ヒスタミン含有量の多い食品を摂取すると、患者は、摂取量に比例した重症度のアナフィラキシー反応に似た反応、重篤な場合はヒスタミン・ショックを引き起こすこともある。もっとも頻度の高い症状は、顔面頸部紅潮、皮膚発疹、顔面浮腫、突発的潮紅、咽喉の灼熱感、口中に唐辛子味、かゆみ、肌のヒリヒリ感などである。
 疫学データベースから、ヒスタミン含有量が50mg/kg未満までは有害作用はないと考えられる。50~200mg/kgでは、軽度の中毒症状が観察される。200~1
,000mg/kgでは、その食品は有害である可能性が高い。
 改正欧州規則(EC)No.2073/2005は、以下の2つのカテゴリーの食品についてヒスタミンの安全基準を定めている。
・ヒスチジン含有量の多い魚種で製造する水産製品(サンプル数=9、適合品質の濃度限界[上限値]m=100mg/kg及び不適合品質の濃度限界[下限値]M=200mg/kgの間に分析結果が入るサンプルの最大数=2)。
・ヒスチジン含有量の多い魚種で製造する、塩漬けの酵素熟成処理(発酵処理)を行う水産製品(サンプル数=9、m=200mg/kg及びM=400mg/kgの間に分析結果が入るサンプルの最大数=2)
 製品(塩分、pH、水分活性aw)の物理学的化学的特徴を考慮すると、塩漬け塩水中で酵素熟成させる水産製品におけるヒスタミンの生成は、細菌活性によるよりも組織酵素による自己分解由来のものが多い。
 これらの食品に関する法規に導入された耐容性の裏付けとなった科学的要素を見つけることは不可能であった。最も高い耐容閾値の提案は、より少ない消費量を考慮したこれらの食品の最大濃度を考慮して設定されたようである。
 タイの魚醤の消費によるヒスタミン中毒リスク評価が、コーデックス委員会(魚・水産物部会)で行われた(FFP/31 CRD 18-avril 2011)。魚醤では高濃度(しばしば200mg/kgを超える)ヒスタミン含有が報告されている。しかし、タイではヒスタミン集団食中毒の届出は1件もない。これは、魚醤が日常的に摂取するヒスタミンの量への寄与度は、他のヒスタミン源、例えばサバ科の魚に比べて低いことによるものである。検討の結果、耐容量を400mg/kg(200mg/kgの代わりに)としても有意に中毒リスクを引き起こすものではない(食事毎の平均リスクは8.39の10のマイナス6乗に代わって8.47の10のマイナス6乗となる)と結論づけた。
 結論として、ヒスチジン含有量の高い魚を塩漬けにして酵素熟成させる水産食品のサーベイランスについては、以下の食品について現有の生産と消費データに関し、ヒスタミン検査が必要である。
・ほとんどが冷蔵パッケージで供される塩蔵アンチョビ(丸ごと、ヒレ、ヒレ切り身)(以前はチルド半保存包装食品と呼ばれていたもの)
・塩蔵アンチョビを主原料とする調製品(アンチョビのパスタ、バター、クリームなど)
・魚醤
 改正欧州規則(EC)No.2073/2005に定める基準値(m = 200mg/kg、M = 400mg/kg)が上記の製品に適用される。
 食品の物理学的化学的特徴(塩分濃度、色、臭気、脂質の含有率)を考慮することは難しいので、酵素成熟する食品は以下のようなラベル表示で区別する。
・販売呼称「塩蔵アンチョビ」、「塩漬けアンチョビ」など
・保存温度15℃以下
 最高保存温度の15℃は家庭の冷蔵には適用できないので、これらの食品保存方法を明らかにする研究を実施するよう企業に提言する(温度4℃以下で冷蔵又は室温で保存など)。
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL http://www.anses.fr/Documents/MIC2010sa0261.pdf
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