食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu03420650475
タイトル フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、合成ジヒドロカプシエイトの新開発食品成分(NI)としての認可に関する英国当局の最初の評価報告書について意見書を提出
資料日付 2011年7月13日
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概要(記事)  フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、合成ジヒドロカプシエイト(DHC)の新開発食品成分(NI)としての市場流通認可申請に関する英国当局の最初の評価報告書の評価について競争・消費・不正抑止総局(DGCCRF)から諮問を受けて2011年6月8日付で意見書を提出した。
 ジヒドロカプシエイト(DHC)はカプシノイド系に属し、ある種のピーマンやトウガラシに天然由来で存在する。しかし、これらの植物のDHCの含有量は低い。こうしたことから申請者は合成DHCの生産プロセスを開発した。この新開発食品成分(NI)はバニリルアルコール(VOH)と8-メチルノナン酸をエステル(MNA)化反応させて合成する。合成ジヒドロカプシエイトは、新開発食品(NF)及び新開発食品成分(NI)に関する欧州規則EC No258/97に基づいて英国当局が市場流通認可申請を審査した。英国当局の最初の評価報告書がANSESに提出され、コメントが求められた。
 当該NIは広範な食品に使用する。申請者は、申請資料で当該NIがエネルギー消費と脂質酸化を増加させることを示唆している。また、当該NIは、(カプサイシノイドによる)ピーマン独特の辛味をなくした爽やかな味わいをもたらすとしている。
1. DHCの生物学的利用能/代謝運命
 摂取されたDHCは、速やかにバニリルアルコール、バニリン酸及び8-メチルノナン酸に代謝される。さらに、先の2つはグルクロニド誘導体と硫酸エステル誘導体になって速やかに排出される。DHCの半減期、吸収が速いこと、代謝物の排出が非常に高水準であることを考慮して、申請者はDHCが器官に蓄積することはほとんどないと考えている。
2. 毒性
 申請者は、ラットにおけるDHC急性毒性は低く(> 5000 mg/kg 体重/日)、13~26週間の反復投与試験では耐容性は良好で、DHC催奇形性、変異原性、染色体異常誘発性はないと結論付けている。申請者は無毒性量(NOAEL)を1
,000mg/kg体重/日とした。
 ラットの亜慢性毒性試験と慢性毒性試験で、投与量1
,000mg/kg体重/日を給餌されたグループに肝臓と腎臓の重量増加が認められ、これらのみが有意な変異として観察された。ただし、これらの変異は病理組織学的なものではないとしている。
3. ANSESのコメント
 消化管内でDHCが迅速に代謝を受けバニリルアルコールとなり、次いでバニリン酸とメチルナノン酸になることから、DHCが生体に蓄積することはほとんどない。また、消化管全体にあるTRPV-1受容体以外のTRPV-1受容体を、特に中枢神経系のTRPV-1受容体を標的とすることがないと考えられる。
 メチルノナン酸(MNA)は炭素鎖の炭素数が奇数の分岐短鎖脂肪酸であり、炭素鎖の炭素原子数が奇数であること及び2-ノナン酸の2-メチル化のため、特に代謝量が多い場合にヒトの細胞が、MNAをβ-酸化できるのか疑問符が付く。
 反復投与毒性試験に関しては、当該物質の肝毒性作用が1
,000mg/kg体重/日の投与量で観察されており、この作用は天然エキスでより顕著である。合成DHCの場合は、これらの作用は緩和され、見かけ上は可逆的(有害作用がなくなる)である。しかし、これらの有害作用は見過ごすことができないので、無毒性量(NOAEL)を300mg/kg体重/日にするよう提案する。
 遺伝毒性データは、in vitroの遺伝子変異試験で、CH 19 Sweetの天然エキスと合成DHCがサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella tiphymurium)TA 100株に遺伝子突然変異を誘発したことを明示している。この菌株は塩基対置換型突然変異を明らかにした。
 ヒトについて実施された2件の臨床試験は期間が短く、試験参加人数が少数で、試験投与量が申請者のシミュレーションした想定最大摂取量の1/3でしかない。これらの試験で、プラセボ・グループと被験者グループにランダムで用量依存性でない散発的な影響があったことを示した。その一方で、申請者が提示したシミュレーションでの成人のDHC摂取用量の2倍に等しい摂取用量2mg/kg体重/日に達しそうな子供での試験が行われていない。
4. 結論
 現状では申請者が提案する使用条件で用いられる用量での当該NIの無毒性を結論付けることはできないと考える。
・8-メチルノナン酸、MNAβ酸化に対するヒト細胞の容量に関するデータの欠如、特に代謝量が多いときのデータがない
・TRPV-1受容体に対するバニロイド誘導体の作用に関する問題、特に中枢神経系
・サルモネラ・チフィムリウムTA100株を使った復帰変異試験によるin vitro遺伝子変異検査結果が陽性であったこと
・ヒトの臨床試験方法論の不備(期間、被験者数、用量)
・体重kg当りの摂取量が成人の2倍以上になると懸念される子供について試験が行われていないこと
 当該NIの仕様は満足のいくものであり、提出された分析結果はこれらの仕様に適合していると考える。当該NIの生産プロセスについては申請者の提示条件では消費者に健康リスクを生じることはないと結論付けることができる。当該NIの安定性については申請者が試験した条件において2年間保証できるが、当該NIが取り込まれる最終製品の様々なマトリックスに外挿できないのではないかと考える。
 当該NIを最も多量に摂取する集団についてジヒドロカプシエイト(DHC)の摂取シミュレーション方法及びDHC食品添加の合目的性について詳細に明らかにするよう求めるものである。また、本評価書は、特別評価を要する健康強調表示に使用される懸念があるので、本評価書が当該NIの便益について評価したものではないことを付言する。
地域 欧州
国・地方 フランス
情報源(公的機関) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
情報源(報道) フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)
URL http://www.anses.fr/Documents/NUT2011sa0110.pdf
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