Q&A詳細

評価案件ID mob07014000009
タイトル 高濃度にジアシルグリセロールを含む食品について ②
公表日 2009年12月7日
問い合わせ・意見 食品安全委員会で安全性の審査が行われている高濃度にジアシルグリセロール(DAG)を含む特定保健用食品の油や、含まれているグリシドール脂肪酸エステルについて、どのような問題があるのでしょうか。
問い合わせ・意見分類 新開発食品関係
コメント元 食品安全委員会
コメント (平成21年9月分)
1.DAG油について
 食用油の主要成分は、「グリセリン」に「脂肪酸」と総称される複数の炭素原子の鎖状構造が結合したものです。
 一般的な食用油の主成分は、グリセリンに脂肪酸が3個結合しているトリグリセロールです。一方、グリセリンに脂肪酸が2個結合しているジアシルグリセロール(以下「DAG」とします。)は、脂肪が吸収されにくいため、体に脂肪が付きにくいとされ、このDAGを高濃度に含む油(以下「DAG油」とします。)を用いた製品に対し、平成10年5月に厚生労働省から特定保健用食品の表示許可が出されました。
 DAGを高濃度に含むマヨネーズタイプの製品についても、平成15年に、「発がん性を示す所見は認められず、(発がん)促進作用を引き起こすとの報告もない」として特定保健用食品として認められました。
※  DAG油を用いた製品に対する特定保健用食品の表示許可については、その製品の製造事業者から平成21年10月8日付けで、失効届が提出されています。

 この審議の過程で、DAGにプロテインカイネースC(PKC)を活性化するという作用があることが確認されました。これを受けて、「DAGとは別のPKC活性化作用をもつ化学物質」と「DAG」との比較検討が行われました。この比較対象物質は、DAGと違い、発がん促進作用があることが知られていました(DAGに発がん促進作用があるという報告はありません)。このため、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は、DAGについても、念のため、より高感度の発がん促進作用の試験を行っておくこととしました。
 この追加試験に基づく厚生労働省からの諮問を受け、食品安全委員会では、平成17年より、「高濃度にDAG を含む食品の安全性」について審議を行っています。
※  ここでいう発がん促進作用とは、それ自体が発がんを引き起こすものではないが、遺伝子に直接作用する発がん物質によって変異した細胞に働きかけてがんを発生させる作用のことをいいます。

2.グリシドール脂肪酸エステルについて
  平成21年7月に、DAG油には、油脂を作る時の脱臭工程で生じるグリシドール脂肪酸エステルが、通常の食用油に比べて多く含まれることが判明しました。
  グリシドール脂肪酸エステルについては、消化されると分解されて発がん可能性のあるグリシドールを遊離する可能性が否定できないとの指摘があり、また、体内に入った場合、どのように代謝され、どの程度が体内に吸収され、また排泄がどのように行われるのか、といったデータは得られていません。
  このため、食品安全委員会では、「高濃度にDAG を含む食品の安全性」についての審議に加え、グリシドール脂肪酸エステルについても検討を行うため、追加資料を早急に提出するよう、平成21年9月に、厚生労働省へ要請したところですが、これまでのところ、グリシドール脂肪酸エステルが含まれるDAG 油を用いた各種試験等から得られた科学的知見からは、高濃度にDAG を含む食品に対して、緊急に対応しなければならないほどの毒性所見は得られていません。
  食品安全委員会では科学的なデータに基づき中立公正に評価を行っています。追加資料が提出されましたら、これまでに得られている科学的知見と併せて、速やかに食品健康影響評価を取りまとめていくこととしています。
  より詳しい情報をホームページに掲載しておりますので、ご覧ください。
  「高濃度にジアシルグリセロール(DAG)を含む食用油等に関連する情報」
  http://www.fsc.go.jp/sonota/diacylglycerol_dag5_qa_20091015.pdf
  なお、これまでの検討の経過や内容については、すべて食品安全委員会のホームページで公表しています。
  http://www.fsc.go.jp/senmon/sinkaihatu/index.html
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