食品安全関係情報詳細

資料管理ID syu06720760482
タイトル 香港食物環境衛生署食物安全センター、「非定型牛海綿状脳症(BSE)は懸念すべきか」と題する記事を公表
資料日付 2026年4月22日
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分類2 -
概要(記事)  香港食物環境衛生署食物安全センターは4月22日、「食品安全トピックス(2026年4月第237号)」において、「非定型牛海綿状脳症(BSE)は懸念すべきか」と題する記事を公表した。概要は以下のとおり。
 BSEは、ヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)との関連が指摘され、1990年代に世界的な食品安全問題を引き起こした。数十年間の協調的な国際的対策により、世界的に定型BSEの発生は大幅に減少している。一方で、比較的認知度の低い非定型BSEは現在も散発的な発生が確認されている。本稿では、定型BSEと非定型BSEの相違点を整理し、非定型BSEの特性及び既存の疫学的知見を踏まえ、このあまり知られていない病型の公衆衛生上の懸念の要否について評価するものである。
1. 起源及び伝播経路
 定型BSEは1980年代に発生したものであり、その主因は反すう動物由来タンパク質の畜牛飼料への再利用にある。感染牛由来の加工組織を含む飼料の給与により、プリオン(BSEの原因となるミスフォールディングタンパク質)が牛群内で蓄積・拡散し、連鎖的な感染拡大を引き起こした。その結果、非常に多数の動物が影響を受け、ヒトにおいても汚染牛肉製品の摂取を通じて変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生が確認された。
 非定型BSEは2003年に監視体制の強化により初めて確認されたものであり、その発生様式は定型BSEとは異なる。主として8歳以上の高齢牛において自然発生するものであり、汚染飼料との関連は認められていない。発症機序の詳細は未解明であるが、加齢に伴うタンパク質のミスフォールディング又は遺伝的要因が関与する可能性が指摘されている。現時点において、非定型BSEが自然環境下で動物間又はヒトに伝播することを示す科学的証拠は確認されておらず、各症例は独立した事象とされる。
2. 食品安全への影響
 定型BSEと非定型BSEの食品安全上のリスクには顕著な違いがある。定型BSEは食品安全上の明確なリスクを有し、ヒトが汚染牛肉製品の摂取を通じて変異型クロイツフェルト・ヤコブ病に罹患し得ることが示されている。これらのリスクを低減するため、影響を受けた各国においては、反すう動物由来タンパク質の畜牛飼料への使用禁止及び特定危険部位(脳、脊髄等)の食品チェーンからの除去等の様々な管理措置が講じられている。国際獣疫事務局(WOAH)の公表資料によれば、定型BSEの発生率は現在、無視し得る水準にまで低下しており、畜牛百万頭当たりの患畜はゼロに近づいている。
 これに対し、非定型BSEについては、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病との関連は確認されておらず、高齢牛において極めて低頻度で自然発生するにとどまる。加えて、と畜前検査及び衛生証明制度等の現行の食品安全対策により、ヒトが当該疾病にばく露される可能性は極めて低い。また、定型BSE管理に有効であった対策(飼料規制及び特定危険部位の除去)は、非定型BSEのプリオンのヒト用食品チェーンへの混入防止にも同様に有効である。これまで約20年にわたる国際的監視において、非定型BSEに関連するヒト感染例は確認されていない。それにもかかわらず、研究者はその理論上のリスクについて研究を続けている。
3. 規制措置
 WOAHは、定型BSEと非定型BSEに対して異なる管理措置を定めており、これは両者の動物及びヒトの健康にもたらすリスクの差異を反映している。定型BSEは同機関のリスト記載疾病として位置付けられており、発生時には国際通報義務及び厳格な封じ込め措置が求められる。定型BSE症例が検出された場合、発生国は、同機関への通報、接触個体追跡調査の実施、汚染牛群の隔離及び飼料規制の遵守状況の確認を実施する必要がある。また、同機関は各国の定型BSE発生歴、飼料規制の実施状況及び監視体制を評価し、最もリスクの低い「無視できるリスク」、「管理されたリスク」及びそれ以外の「不明」の区分により各国のBSEリスクステータスを公式に認定し、それぞれのリスクレベルに応じた貿易指針を策定している。香港においては、当該リスク区分に応じた公衆衛生要件を満たす国・地域からの牛肉のみ輸入が認められている。
 一方、非定型BSEは発生頻度が低く散発的であり、動物及び公衆衛生への影響が限定的であるとの知見から、WOAHは2023年に通報対象疾病から除外した。非定型BSEの検出は緊急通報の対象とはならず、貿易の停止措置も生じない。ただし、予防措置として、WOAHは加盟国に対し、非定型BSE確定例の牛については完全に廃棄又は処分し、飼料及び食品チェーンに流入しないことを確保するエビデンスの提供を求めている。なお、非定型BSEはすべての牛群において低頻度で自然発生するものであり、当該疾病の検出はWOAHの各国のリスクステータスに影響を及ぼさない。
4. 結論
 非定型BSEは、定型BSEとは異なり、動物間又は飼料を介して自然に伝播する科学的証拠は確認されておらず、高齢牛における稀な散発事例としてのみ発生するものである。定型BSE対策として講じられている各種防護措置は、この散発的な当該疾病に対しても堅牢な保護機能を提供している。WOAHが当該疾病の通報対象からの除外を決定したことは、その公衆衛生上の影響が極めて限定的であることを示すものである。数十年間の世界的な監視結果においても、これら防護措置の有効性が確認されており、現時点で非定型BSEに関連するヒト感染例は報告されていない。
 当該記事を含む「食品安全トピックス(2026年4月第237号)」は以下のURLから入手可能。
https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/files/FSF237_2026_04_21.pdf
地域 アジア
国・地方 香港
情報源(公的機関) 香港食物環境衛生署食物安全センター
情報源(報道) 香港食物環境衛生署食物安全センター
URL https://www.cfs.gov.hk/sc_chi/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_237_02.html