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資料管理ID syu06530540303
タイトル 米国農務省動植物検疫局(USDA-APHIS)、疫学速報:「2024年高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)家畜発生事案-ネバダ州及びアリゾナ州におけるH5N1 D1.1 HPAI乳牛調査」を公表
資料日付 2025年6月20日
分類1 -
分類2 -
概要(記事)  米国農務省動植物検疫局(USDA-APHIS)は6月20日、疫学速報:「2024年高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)(H5N1)家畜発生事案-ネバダ州及びアリゾナ州におけるH5N1 D1.1 HPAI乳牛調査」を公表した。概要は以下のとおり。
 注:本報告書は暫定版であり、更なる調査の結果次第で後日改訂される可能性がある。2025年4月22日までのデータに基づいている。
 疫学・動物衛生センター(Center for Epidemiology and Animal Health)は、全国乳検査戦略(National Milk Testing Strategy(NMTS))に基づき、ネバダ州及びアリゾナ州で検出された高病原性鳥インフルエンザの異種間伝播(spillover)事例に関する暫定的な最新情報を提供するために、この技術概要を作成した。
 序論(抜粋)
 2025年初頭、NMTSを通じて、USDA、ネバダ州農業局(Nevada Department of Agriculture)、及びアリゾナ州農業局(Arizona Department of Agriculture)は、1つのサイロ乳検体からHPAIを検出した。2025年1月31日、USDAの国立獣医学研究所(NVSL)は、ネバダ州の2か所の酪農場から提出されたバルクタンク乳検体から、Eurasian系統goose/Guangdongクレード2.3.4.4b遺伝子型D1.1であるH5N1ウイルスの検出を確認した。これは、米国で乳牛から遺伝子型 D1.1 が初めて検出された事例であり、過去に乳牛から検出されたのはすべて遺伝子型 B3.13 であった。
 2025年2月13日、NVSLはまた、アリゾナ州の乳牛から遺伝子型D1.1が検出されたことを確認した。NVSLは全ゲノムシークエンス解析(WGS)を完了し、アリゾナ州での当該検出はネバダ州での検出とは関連しない個別の導入(distinct introduction)であることを明らかにした。APHISの疫学チームは、州の動物衛生当局の要請により、新たな知見を得るための調査に向けてネバダ州及びアリゾナ州に派遣された。
 疫学調査の主な結果
1. WGSに基づくと、ネバダ州及びアリゾナ州のウイルスは、別々の導入事象又は異種間伝播事象によるものであり、これらは互いに、また米国におけるH5N1遺伝子型B3.13の過去の検出とも遺伝的に区別される。
2. ネバダ州で検出されたウイルスには、PB2タンパク質のD701Nの変異が認められ、これは、哺乳動物宿主におけるA型インフルエンザの適応を促進することが知られている。アリゾナ州で検出されたウイルスには、この変異は認められなかった。
3. APHISは両州で野生生物の検体を採取した。
・ネバダ州では、APHISは野鳥やその他の野生生物と畜牛へのウイルス侵入との直接的な関連性を確認できず、検体採取されていない中間宿主の存在を疑っている。野生生物のサーベイランスでは、野生生物が酪農場間のウイルス水平伝播の原因であると示唆する十分なエビデンスは得られなかった。ネバダ州の6か所の陽性が確認された酪農場で採取された野生生物の検体775点のうち、陽性であったのはわずか4点であった。これらの検体のうち3点には、遺伝子配列を決定するのに十分なウイルスが含まれており、酪農場で採取されたものと遺伝子配列も一致した。
・アリゾナ州では、感染農場で検体を採取された野生のカモから、非常に類似した祖先ウイルスの感染が確認された。ハトの肺から採取された別の検体も陽性反応を示したが、遺伝子配列を決定するのに十分なウイルスは含まれていなかった。残りの野生生物由来のサーベイランス検体230点は陰性であった。
4. NVSLのWGSにより、ネバダ州及びアリゾナ州の両州において複数の農場でゲノムが類似したウイルスが確認された。APHISは疫学調査中に複数の伝播リスク要因を特定したが、ネバダ州では明確な伝播様式は特定できなかった。
・アリゾナ州では、畜牛が毎週農場間を移動している、一体となって機能する2か所の農場間でウイルスが拡散した。設備は共有しているものの畜牛は共有していない隣接する農場でもH5N1ウイルスが陽性であった。この農場のゲノム解析結果は、共通の感染源又は水平伝播と一致するものである。
5. アリゾナ州の疫学調査において、APHISによる個々の乳牛、乳牛群、搾乳グループ又は牛舎の検体の検査では、陽性牛舎内であっても、バルク乳検体が陽性であった後21日間にわたり、感染拡大は最小限であることが示された。陽性牛舎内の畜牛の個体検査では、牛舎と搾乳設備を共有していたにもかかわらず、327頭の畜牛のうち陽性率は2%以下であった。
6. H5N1 D1.1の臨床症状は、H5N1 B3.13陽性牛群と比較すると軽度又は亜臨床的である。
・この臨床経過及び臨床徴候の差は、少数のD1.1感染牛群に基づくものであり、より広範な集団では当てはまらない可能性がある。
・D1.1感染牛群の大半は、初回検出時に臨床徴候はないと報告されていた。
・アリゾナ州では、唯一の臨床徴候は乳量減少であり、一部の乳牛にのみ認められた。しかし、牛群内での伝播がなかったため、HPAIによる牛群全体の乳量減少にはつながらなかった。
7. NMTSの一環としてバルクタンク及びサイロからの乳検体採取を実施することで、臨床徴候がないか軽度のために検出されなかった可能性のある新たな異種間伝播事象を特定することができた。これは、NMTSが受動的なサーベイランスを強化し、畜牛への新たな異種間伝播事象を特定する上での成功を示すものである。
地域 北米
国・地方 米国
情報源(公的機関) 米国農務省動植物検疫局(APHIS)
情報源(報道) 米国農務省動植物検疫局(APHIS)
URL https://www.aphis.usda.gov/sites/default/files/20250611-epi-brief-nevada-arizona-h5n1-dairy.pdf